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Friday Column

No.363

『ヴァイオリンとヴィオラについての専門的な話』

はい、まずは御挨拶です。1987年4月25日にデビューした私は、このたび芸能生活まる25周年を迎えさせていただきました。数年前にも書きましたが、これは、決して私自身の努力とか、その程度のものではなく、私の作品に好意を持っていただき、私の活動を応援してくださる皆さまの存在なしには継続し得ないことであります。素数年ではありませんが、一般的には節目ですし、ここはふつうに、改めて感謝の意を表します。今後とも、よろしくお願い四万十川 (196km)。

・・みたいなシメにしちゃうから、信用されないんだよなぁ。ま、そんなことも含めて、今後ともよろしくお願いスマッシュ! ・・・とスポーティに表現してみたところで、どっちもずっと前に書いたことあるやつですし、新鮮味に欠けてます。まぁ、そんな感じですので、こんごんともともよろぴきゅねっ!(これ新出)

はぁ〜い。さて今回は、【violin/ヴァイオリン】と【viola/ヴィオラ】の話です。

私たちがそれを普通にそう呼んでいる【violin/ヴァイオリン】、これは英語です。ということは、それが日本に入ってきたのは英語圏の国、たぶんアメリカかイギリスからだと思います。しかし、ヴァイオリンという楽器自体の発祥はイタリア。という説が最も有力で、そんなイタリア語でのそれは【violino/ヴィオリーノ】です。

【世界カタコト協会】主宰である私は、これまでの研究から、イタリア単語の語尾につく「-ino」 「-ina」は、その語の“小さいもの” もしくは “かわいいもの” という表現であると認識しています。

つまり【violino/ヴィオリーノ】とは、私たち日本人の一般的な意識とはちょっと違って、そこには先ず【viola/ヴィオラ】があって、その小型版として、後に作られた“小さいヴィオラ”が【violino/ヴィオリーノ】ではないか。ということが充分考えられます。

例えばそんな「-ino」「-ina」は、実は私たち日本人の生活の中にも多く存在しています。

もはや日本に現地化(*)したと言えるイタリア南部発祥の乾麺【spaghetti/スパゲッティ】。都市部の若い世代は白飯と同じ頻度で食べているんじゃないでしょうか。これをお読みの多くの皆さんの御家庭にも当然のようにあり、ふつ〜に【spaghetti/スパゲッティ】と呼んでいるそれは、チョトマテクダサイ、よ〜く見てみたら【spaghetti/スパゲッティ】ではなく【spaghettini/スパゲッティーニ】だったのね・・・、ということにこのあと気づく方も少なくないのでは、と思います。パスタ屋さんのメニューに“スパゲッティ”と書かれていても、実際に出されるのは“スパゲッティーニ”であることもよくあります。日本では、いつの間にか“スパゲッティーニ” が “スパゲティー”になっちゃったような気がします。この件について書き出すとかなり長い話になりますので、また別の機会に。

イタリアの食べ物で言うと【panini/パニーニ】もそうですね。イタリア語の「パン」=【pane/パーネ】を、サンドイッチ用に “小さく” カットされたものが【panino/パニーノ】で、それがサンドイッチであるがゆえ、2枚の【panino/パニーノ】で挟むわけですから、それは複数形で、語尾の「o」が「i」になって【panini/パニーニ】なのです。

急に話が飛びますが、もう生産されていませんが、例えばTOYOTAの車【カリーナ】。これをローマ式アルファベットで書くと【carina】です。これは、人に対しては「親愛なる」、物については「高価な」などの意味を持つ【caro/カーロ】という単語の「-ina」版で、その語尾が「a」であるということは女性名詞を形容する場合ですので、【carina】=「かわいい」という解釈になります。なので、TOYOTAのカリーナに乗ってた人は、どんなにかっこつけようが、どんなにいきがってようが、それはいわるゆひとつの “かわいい” だったのです。

話を少し戻すと、野菜のジャンルにもあります。イタリアのファッションがお好きな方であれば御存知であろう【zucca/ズッカ】。そのバッグがどんなにオシャレなデザインであったとしても、単語の意味は “カボチャ” です。・・・で、その小さいのが【zucchini/ズッキーニ】。

ズッキーニってのは、見た目も食べた感じも “キュウリの太いやつ” という感覚でいる方がほとんどだと思います。が、しかし、【zucchini/ズッキーニ】がイタリア語である以上、その語の解釈は “小っちゃいカボチャ” なのです。

ここで問題なのは、先の【panino/パニーノ】は、サンドイッチ用で2枚だから複数形になって、語尾の「o」が「i」になって【panini/パニーニ】ってのはわかるけど、ズッキーニが “小っちゃいカボチャ” だとしても、それは複数じゃないから【zucchini/ズッキーニ】じゃなくて【zucchino/ズッキーノ】なんじゃないの? ・・ということに気づいた方には、30point差し上げましょう。

そう、そこなんです。
私自身この件については、94年にフィレンツェに超短期留学した時から、かれこれもう18年くらい頭の隅にこびりついている問題です。が、たぶん、ウルトラタブンですが、現段階での私の答えは、それは、いわゆる、「一本でも人参」と同じことではないか。 つまりは、「-ino でも -ini」。それを敢えて日本語に訳すならば、「イーノでもイーニでイーノニ!」。・・そう考えてみると、うん、それでいいんだよ。いやむしろ、そのほうがいいのかも。・・と、なにか小さな良いことをしたような、そんな温和な気分になれるもんですから、世の中まだまだ捨てたもんじゃないな、と思えます。

はい、意味が分かんなくなってきたのでもういいですかね。

というわけで今回は、ヴァイオリンとヴィオラについての、専門的にかなりつっこんだお話でした。下の写真は、私個人所有のヴィオラとヴィオリーノ。実家の押し入れの中に40年ほど眠っていたと思われる物を、2001年に発掘し、修復したもので、今年のBAND LIVE TOURでも演奏しました。


俺のヴィオラとヴィオリーノ

私の実家にはピアノが2台もあり、しかも押し入れの中にはヴィオラとヴィオリーノが眠ってたわけですから、それは相当ステキな豪邸だったのだろうとイメージされそうですが、これが、団地だったんだよなぁ。ふつ〜の、公団の。なんでなんだろうなぁ。

そんなことはどうでもいいとして、なにしろ現在の私の頭の中は、5月1日の【弾き語りばったり DL ~Col Quartetto Da Quano~】ことでいっぱいです。下の写真のメンバーで、“上品な” 演奏をおとどけしたいと思います。公演を観に来ていただける皆さま、充分に御期待ください。



さて、このサイトでは、このあと大小強弱複数の発表がありますが、そんななか今ここで事前に、やや強めに示唆しておきたいことがあります。それをハッキリと遠回しに平たく言うとすると、

大阪の皆さん。

いや、大阪を含む関西地方の皆さま。
もっと広い意味では、大阪が好きな皆さま方。

6月26日(火)の夜・・、あけといてください。

詳しいことは5月1日に、このサイトでちゃんとお知らせします。
それもあって、先週書きました“そーとー風変わりな企画”の発表は、少し後ろにずらそうと思いますが、それはそれで充分に心の準備をしておいてください。
では、良い連休をお過ごしください。

2012/04/27

*「食の現地化」については、コラムNo.093をお読みください。



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