No.048
『にわかに梅ブーム』
去年末、コンビニでふと目にとまり買った『NOBEL 梅ねり』という商品、見た目は決して健康的とは言えない昔っぽい着色料系の赤色なんですが、「ねりり かんでしみ出す 梅ぼしをねってかためました」とパッケージに書かれているとおり、じわじわとしみ出す変な酸っぱさが妙にクセになりまして、切らすたびにまた買ってます。あるとき同じNOBELの『ウメのたね』という商品をみつけて食べてみると、これはいわゆるチューイングキャンディで、『梅ねり』と比較すると“妙な感覚”に乏しいのですが、ふと、この『ウメのたね』と『梅ねり』をひと粒ずつ一緒に合わせ食べしてみるとどうなるかと試したところ、どうでしょう、互いのない部分を補い合いながらの相乗効果がエクセレントな梅味を醸し出しました。
つい先日、『ウメのたね』が切れたのでコンビニに行ったのですが、残念なことにこの商品はなく、かわりに類似するリバティジャパン社の『かむかむ梅』というのを買ってみました。これはこれで梅味のチューイングキャンディとしては充分な味わいなんですが、NOBELの『梅ねり』と合わせ食べしてみると、う〜ん、どうも相性がピッタリこないというか、やはりNOBEL同志のほうが相性がいいんですね。と、そんな感じでコンビニに入る度そのあたりの棚を見てるんですが、気づくと『梅ねり』の棚にはなんだかさまざまな梅関連商品がぶらさがっていて、「カリカリ梅」系のものの他、『梅風味の茎わかめ』『海苔と梅ごまのはさみ焼き』などという複雑なものもあり、興味本位であれこれ買って、レコーディングスタジオに持っていってみんなで試食し、それぞれの梅に対する価値観をたたかわす “梅討論”をくりひろげた翌日、ディレクターの渡辺さんが、思いっきり根本的なものをぶつける感じで中国産の“干し梅”を持ってきたりして、スタジオはなんだかにわかに梅ブームです。
そんな流れで、やっぱ梅モノの定番はコレでしょうって感じでLOTTEの『小梅』を買ってきました。キャンディなのになんかしょっぱい、でもってだんだん甘酸っぱくなるこの『小梅』を初めて食べたのは中学生くらいだと思いますが、それはそれは衝撃的でした。ほんの数個だけはいっている“大玉”には表面のしょっぱい粉末がなく、口中で溶けきるまでの時間を妙にもてあましてしまう、うれしいのかうれしくないのかよくわかんない感じも斬新でした。70年代、この商品は全国的に大ヒットし、「小梅ちゃん」というキャラクターがテレビCMとパッケージに登場した80年代には、名前に梅の字がはいった小柄の女性は皆「小梅ちゃん」とニックネームがついたものでした。
しかし、すごくひさしぶりの『小梅』、口に入れた瞬間のしょっぱい感じを懐かしみながらナメ進むと、内部がなにやら“甘ずっぱい梅肉ペースト入り”になっていて、そのペーストがでてきたとたんに急に最近っぽい味わいになり、あの懐かしい『小梅』とはなんだか別のキャンディになってしまいました。いつも着物きてたあの娘を、久しぶりに見かけたら髪染めちゃってジーパンはいてたような、身勝手な残念感です。いわゆるひとつの時代の流れなのでしょうし、またその流れに適応して進化し続けることが現代における定番のあり方なのかもしれません。
なんだかやりきれない思いから、高校時代に常時携帯していた森下の『梅仁丹』が無性に食べたくなり薬局に走りましたが無く、聞くと「商品自体は存在する」ということなので更に走り、3軒目でやっと見つけて買ってきました。パッケージが昔とちがったので、これもまたなんらかの進化をしているのかと食べてみると、それは昔と何も変わらないままの『梅仁丹』でした。「そう、これがオレの高校時代の青春の味なんだ」とノスタルジーにひたりながら、そしてこの『梅仁丹』がコンビニの棚にチャラチャラぶら下がったりしないことを願いながら、レコーディングは進みます。
スタジオはにわかに梅ブーム |
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かわらぬよろこび『梅仁丹』 |
2006/04/14
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