No.033
『2005年を振りかぶって』
今年最後の演奏のため大阪に向かう満席の新幹線の中で書きはじめた今年最後のコラムです。皆さんの2005年はどのようなそれでしたでしょうか。私の2005年はいやぁ〜、長かった。パリ1年目の2002年もやたら長かった印象がありましたが、今年もえらく長かったです。そんな私のデビュ—正味15周年(延べ18年)、しかも素数年であった2005年を、10大ニュース形式で振りかぶって第1球投げました低めボール。
■ 3月 『弾き語りばったり #1』
パリにいる間に、この歳になってひとりじゃなんにもできないってのは、アーティストとしてニセモノではないか。それは非常にたいへんにまずいことなのだよね。と、そんなところからいろいろ考えたあげくの単独ステージ敢行。いっぱいいっぱいおっぱいぱいの倍の倍の倍の反対の反対だったこの弾き語りシリーズ第1弾。観ていただいたみなさんはどうだったんでしょうか。後にあれはいろんな意味で貴重なステージだった、それを観たってことで良しとしてください。6月からはシリーズ第2弾、全国8都市で公演するというだけの理由でタイトルは『8都市て!Good』。これもひとつの私らしさ?なのかも?。この弾き語りシリーズを始めたってのが、今年を長〜く感じさせた大きな要因のひとつであることは間違いありません。といいながらも年明けすぐツアーですから、年末・正月は受験生のように練習してます。
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『弾き語りばったり #2 〜8都市て!Good〜』がどのような内容のものであったかは、有料サイト『北青山イメージ再開発』でお楽しみいただけます。 |
■ 5月 オフィシャルサイトwww.kimuraKAN.com開設
これはうれしかったですね。なんつたって2001年頃からず〜っと考えていた企画が遂に現実のものとなったわけですから。今このコラムを読んでいただいているってことは、このサイトのいろいろなコンテンツもお楽しみいただいているものと希望的に考えています。システム的なことはもちろん専門業者の優秀なスタッフのみなさんによるものですが、企画、構成、文章、写真はすべて私が責任を持って作ってます。まだちゃんとは見てないって方がいらっしゃいましたら、お時間のある時にゆっくり見てください。今後も私の活動の重要な足場として常に成長させていきますし、そんな私のわかりにく〜い微妙な世界に興味を持っていただいたハイイマジナブルなセレブの皆さんのための有料サイト『北青山イメージ再開発』もまた更にアレです。でも、なんつったってこのコラムですね。これを毎週毎週書き続けるってのが、今年を長〜く感じさせた最も大きな要因でしょう。ってことは、来年も再来年もまたそのあともず〜っと長〜い年になるってことなんですけど。まぁ、でも年に50個くらいは思うこと書きたいことありますし、このコラム書きが習慣になってからは、それまでなら通り過ぎていたようなこともなんとなく見過ごすわけにいかなくなったり、物事を必要以上に疑問視してみたり、どうでもいい考えをムリヤリ膨らませてみたり、と結構、自分自身にとってイイことなんじゃないかな、と思います。いろんなサイト見てみると、毎日きっちりなんらかの日記書いてる方もいらっしゃいますし、一言も語らず毎日の写真だけが更新されるなんてのもありますね。とりあえず私は限界を感じるまでこのスタイルで。
■ 5月 VAN 石津謙介さん死去
小学生の頃から着せられ、大学生くらいからは自主的に着るようになり、43年の人生のうちの30年近く愛着している私のメインブランドのひとつVAN。 その創業者であり日本のアイビーファッションを作ったデザイナーの石津謙介さんが亡くなったことは悲しいニュースでした。新聞記事で知ったのですが、“TPO”という言葉を発想し提案したのも石津謙介さんだそうです。6月の『弾き語りばったり #2』は石津さんを追悼してVANで作ったマドラスのブレザーを着て演奏しましたし、来年1月からの『ばったり#3』用のスーツもVANで作ってつい先日出来上がりました。
■ 7月 10年ぶりのベトナム旅行
『ばったり#2』ツアー終了直後の4日間の隙き間にスパッと行った10年ぶり3度目のホーチミンシティ。いやぁ〜いいですよ、ベトナム。熱いんですけど、街中バイクがブ〜リブリ走ってるんですけど、でもなぜかしっとりしてるんです。人が静かなんですね、どこか知的で。食べ物いろいろあっておもしろいし、日本人にも親しみやすいものが多いと思います。
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『ホーチミンシティ旅行記・3泊4日全10食』は撮りおろし写真43枚とともに、有料サイト『北青山イメージ再開発』に、1月あたりに掲載します。 |
■ 7〜10月 『スタレビュ』屋外コンサートかくれゲスト出演
尊敬すべき先輩バンド『スターダスト・レビュー』の野外コンサートシリーズ「楽園音楽祭2005」、静岡県河口湖・香川県さぬき市・富山県太閤山・東京日比谷屋音の4公演にスペシャルかくれゲストとして出演させていただきました。久しぶりのデカい音、久しぶりの野外、気持ちよかったです。ロックって楽しい、バンドって楽しいなぁ〜、と久しぶりに体感させていただきました。
■ 10月 初の映画出演
43ちゃいにして初めての映画出演。っつってもほんの端っこのほうの役なんですけどね。監督直々の出演依頼があり、「こんな私でよければ」とやらせていただくことになりました。私が登場するシーンの撮影は、10月末からの数日間、なぜか大島で行われました。いやぁ〜、それにしても私、ホンット演技の才能は丸っきりないですからね。とかなんとか言ってコンサートではいろんなことやってきましたが、あくまで曲中のライブアレンジとしての演技と、カメラが廻っての役者としての演技とは全く別もんですからね。現段階、まだこの映画に関する情報は公開できませんが、映画制作者が設定する情報解禁日を待ってくわしくお伝えしたいお思います。というか見ていただければ説明するより早いんですが。いやぁ、でもなぁ、はじゅかちぃ〜演技だと思いますよ、見てるほうがですよ。
■ 10月 スティービー・ワンダー10年ぶりの新作
最も尊敬する音楽家のひとりスティービー・ワンダーさんの10年ぶりのニューアルバム『A TIME TO LOVE』が発売になったのは10月末ですが、私がそれに気づいて買って聴きまくりはじめたのは11月にはいってから。期待どおり、いやそれ以上の素晴らしいアルバムです。でも、ここで考えたのは私がこの新作に“期待”していたものは何か。別に考える必要はないんですが、このように文章を書いていると、私はいったい何を“期待”してそれを聴いて、“うむ、期待以上”だと満足しているのか、ということを自分で理解しておきたくなったりするもので、それはたぶん“スティービー・ワンダーさんにはこういう曲をやってほしい”みたいなものが漠然とあって、その漠然としたイメージに近い楽曲が多く収録されていたので“期待どおり”になったんだと思います。うぅ〜ん、書いててちょっと違う気もしてきましたが、とにかくこのスティービー・ワンダーさんの新譜を聴きまくって、「あぁ〜、作りてぇ〜、すごくなにかを作りてぇ〜」という気持ちになったということがたいへん重要なことですし、と同時に「私はその気になれば作ることができる、その才能と最低限の技術を持っているのだ」と今さらながら改めて気づいたことが、非常にうれしいことであったわけです。だって、テレビでフィギュアスケートみながら、「オレもあんなの着てトリプルアクセルやりてぇ〜」と思ったところでできませんもんね。
■ 11月 『インデアンカレー』東京進出
あの大友康平さんをして世界一と言わせた大阪の『インデアンカレー』。私もその存在を知った90年代半ばから大阪に行く度に食べていたあの『インデアンカレー』が、ついに11月、東京に進出しました。これは“日本のカレー地図”なるものがあるとすれば、それが大きく変化する極めて重大な出来事です。出店したのは丸の内に新しく建った『東京ビル・TOKIA』の地下。普段練習している事務所のスタジオからは車でほんの10分なので、行こうと思えばいつでも行けるのですが、まだ実際に行ったのは1回のみ、あえて距離をおいています。めちゃくちゃおいしんですよ、もちろん。でもね、これまでは『インデアンカレー』を食べるのは大阪に行った時だけ、多くても年間4回くらいでした。これが近くにできたからといってホイホイ通ってさっさと飽きちゃったりしたら自分自身にとって大きな損失です。もうひとつの考え方は、例えばパリ・ブローニュにある大好きなレストラン「グラン・キャスキャド」が六本木ヒルズに出店したらどうであろうか。いや違う、あれはあの場所にあるからステキなのだ、六本木じゃダメなんだ、ってことでたぶん私は行かないでしょう。というようなことでもあります。わかんないでしょう、だいじょぶです、書いてる私もわかんないんですから。それとは関係なく、実は東京・東銀座にたいへんにおいしいチキンカレーを出す小さいお店を去年の秋に発見し、以降何度も足を運び、いつか『世界のレストラン』に掲載するべくそのタイミングをうかがっています。
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2月に発売されるニューシングル『カレーライス』とこの件は一切関係ありません。 |
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『インデアンカレー』の存在自体を御存知ない方は、当サイトの「世界のレストラン」→「大阪」を御覧下さい。 |
■ 12月 29年ぶりレコーディング
いやぁ、もうね、そのくらいのイメージですよ。でもね、実際スタジオに入っても、じぇんじぇん久しぶり感はありませんでした。「さて、今回はですね・・」とそんな感じではじまり、これといったトラブルもなく、納得度の高い録音ができました。当サイトでは1月7日から2月1日まで、発売に先がけての『段階的試聴』という企画をやります。だって、普通に試聴してもサイトのあり方としてつまんないでしょう。興味を持てれば、おもしろいと思います。あとは、実際に発売される新曲を聴いてくれた皆さんが、その楽曲をどのくらい長く気に入り続けてくれるだろうか、それがすべてだったりします。『段階的試聴』もCDもお楽しみに。
■ 1月〜12月 120軒200杯
ええ、そうですよ、ラーメンですよ。 それがなにか? お気にさわることでもございまして?(昭和の映画女優さん風にここまで一気に早口で)。というわけで、今年はこのくらい食べました。でもまぁ平均すれば週4杯ですから、たいしたことではないですね、年相応ってかんじじゃないでしょうか。
とこんな感じの今年の私の10大ニュース、その重要度に順位をつけず、1月から単に時間的順番でならべてみましたが、奇しくも10位から1位を発表するのとほぼ変わらぬ順番になったような気がしてなりません。
とこのようなその場その場の“書き逃げ系コラム”におつきあいいただきありがとうございます。書き逃げ系といってもちゃんと残っていくわけですからね、逃げ切れてない感じもしますが、“継続は山なり!”と良いのか悪いのかよくわからない雰囲気を残しながら、来年ってゆうか来週からも引き続きおつきあいいただければ幸いです。
今年1年ありがとうございました。来年もまたよろしくおねがい島崎藤村。
書き終えた現在は大阪フェスティバルホールの楽屋、ライブイベントが開演しました。私の出番まであと・・・、ゲッ、あと1時間です。
では、股。
2005/12/30
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