No.006
『ちょいかけて広島』
まずは、福岡、広島公演を観に来てくださったみなさん、ありがとうございました。いやぁ〜、まだまだ余裕ゼロいっぱいいっぱいおっぱいぱいのステージですが、それも含めてお楽しみ頂けたのであれば幸いです。このコラムが掲載される金曜日には、すでに大阪2公演も終了しているわけですが、実際にこれを書きはじめた現在は22日(水)の朝、東京の自宅です。しかし大阪への出発までには時間もないので、がらにもなく借り物ノートパソコンを持ってったりする私はなんだかちょっとIT系です。(意味不明)
さて、福岡ではラーメン食って、ライブやって、高校の同級生とブリ飲みでして、締めにラーメン食って、次の日の昼もまたラーメン食って、広島に移動しました。このように福岡ではあけてもくれてもラーメンですが、じゃぁ広島では?、そう、それは、“お好み焼き”じゃけのう。
最今の異常とも言えるラーメンブームのおかげで、東京でもおいしい博多ラーメンは苦労せず食べれるんですが、この広島式のお好み焼きは、これだ!というところがないんですよねぇ、東京じゃ。まぁ、私も東京で広島式お好み焼きのうまい店を探し歩いたわけではないので、実際には存在するのでしょうが、少なくとも私が東京でトライした広島式お好み焼き店3軒はうぅ〜ん、惜しかったです。それだけに本場広島で3年8ヶ月ぶりに食べるお好み焼きへの期待と興奮はいやがおうにも盛り上がりながらやってきました「お好み村」。
鉄板に粉液をクレープ状にまわして、かつお節粉さっさっさ、キャベツど〜ん、もやしど〜ん、ねぎ、てんかす、オプションのイカ天、その上に豚バラ肉の薄切りを4〜5枚のせて、で、もう一回うえから粉液をたら〜。その横で焼きそばの麺に油をちょちょっとかけて、ヘラでほぐしながら焼き、さっきのお好み焼きの主盤をヘラではらよっとひっくり返してぐぐっと押さえながらしゅーしゅーと水抜き。それを焼きそばの上にのせたら、こんどはとなりに片手で器用に卵を割り落し、黄身部分をヘラでカツッとくずして薄く広げ、焼きそばと一体化したお好み主盤をのせて再び反転。そして待ってました「おたふくソース」が太目のハケでどべらぁ〜っと塗られ、胡椒ぱっぱ、青海苔さっさっさっさ、かつお節粉かっかっかっか、白ごまぱらりんちょで出来上がり。おそらくラーメン、うどん、牛丼など日本のファーストフードのなかでは注文してから目の前に出されるまでの待ち時間は明らかに最長でしょう。もう食べる前からいかにもうまそうです。
しかしこの広島式お好み焼き、見る限りではどう考えても作り方はどの店も同じ。うどんやラーメンのようにその店独自のだしとかタレ、こだわりの手打ち麺、といった違いがあるようには思えませんし、キャベツももやしも、ウチはどこどこ産のなんとかモノを使ってます、といったような限定素材感も特になし。しかもお好み焼きの主役といってもいい濃厚ソースは、私の知る限りそれでなければならないのだという暗黙のルールがあるかのようにどこもきまって「おたふくソース」。そんなお好み焼きやさんが同じビルの中に何十店舗も密在してる「お好み村」はなんだかすごく不思議スポットです。私の場合はキャンディプロモーションの村上さんに連れてきてもらったお店にすんなりすわってあぁうまいうまいと満足するわけですが、広島外の地方からふらりとやって来た人はどうやってお店を選択し、どのように「ここはうまい、いや、イマイチ」と判断するのでしょうか。差があるとすればそれは“焼き”の具合だけ。同じ材料を同じ順序で重ね調理し、同じソースがかかってくるお好み焼きをその“焼き”の具合だけでうまいかそうでないか判断する。これを無理やり音楽に例えるならば、複数のバンドがまったく同じ楽器編成で演奏する共通の課題曲を、そのライブミキシングによる音質の違いだけで良し悪しを判断するといったような感じでしょうか。そう考えるとなんだかすごくマニアックです。
さぁ、いかにもうまそうに焼きあがったお好み焼きがさぁ〜っとスライドされ目の前にやってきました。すると焼き手のお兄さんが「ネギかけますか?」と。すかさず「お願いしま〜す」とキャンディ・村上さん。すると刻みネギがどばぁぁぁ〜っと一面にかけられ村上さんのお好み焼き全体を覆いました。うぅぅ〜ん、ネギは大好きだか、その量そのかけ方はいかがなものか。これを無理やり音楽に例えるならば、全トラックにミキサー卓ごと思いっきりリバーブ(エコー)をかけるようなアバンギャルドな行為ではないか。ボーカルに軽くリバーブをかける程度が自然で気持ちいいんじゃないか、と思った私は「ネギちょいかけ、ってやってもらえます?」ときくと「ちょいかけ、いいですよ」とかけてもらったのが下の写真。どうですか、ほぼ完璧でしょう。いやぁ〜食った食ったうまかった。
というわけでやっと書き上げたのは23日(木)お昼の大阪のホテル。22日のバナナホールを観に来てくださったみなさん、ありがとうございました。これからバシッとインディアンカレー食べて、再びバナナホールに向かいます。
ネギちょいかけ
2005/06/24
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