No.467
『TAKE OFF』
7月3日(木)は、大阪のフェスティバルホールで、財津和夫さんのコンサートにシークレットゲストで出演させていただきました。これは私の音楽人生に於いて特筆すべき出来事で、今回はこの件についていろいろと思い出しながら書いてみようと思います。
なにをかくそうなんにもかくしてませんが、私が初めて買ったレコードは財津和夫さん率いるチューリップのアルバム【TAKE OFF 〜離陸〜】でして、調べてみるとそれは1974年4月発売だったので、私が小学6年生になった時だと思います。『心の旅』のヒットでチューリップの存在を知り、その曲でリードボーカルをとっている姫野達也さんの家が学校のすぐ近所にあるということがわかり、姫野さんの家を見に行ったこりして、友達うちでにわかにチューリップブームが起こります。その後発売された『銀の指環』を聴いて「ううう、レコードが欲しい」と思い、「今度チューリップのアルバムが出るばい!」「飛行機の運転席が表紙ばい!」みたいな会話があり、ちょうどこのころ家の近所にできたレコード店『モア』に行って、飛行機の運転席のレコードをみつけて迷わず購入。それがアルバム【TAKE OFF 〜離陸〜】だったのです。
初めて買うレコードがシングルではなくアルバム、ってこところが、お坊ちゃんぽくって良いでしょう。で、買って来たのはいいんですが、家に帰って開けてみると、あらららら、目当ての楽曲『銀の指環』は収録されていませんでした。お坊ちゃんだったけどバカだったんでしょうね。「コックピット」って語も知らなかったんですから無理もないです。
しかし、70年代の福岡の小学生が初めて買ったレコードですから、それはそれは聴きまくります。盤が擦り切れるくらい聴きましたよ。レコードの時代は、それを聴きまくる表現として、「擦り切れるほど」というのがありましたし、カセットならば「テープがヨレヨレになるまで」という表現がありました。しかし、時代がCDになってからは、劣化しないもんですから、そのような表現も聞かなくなりましたね。「CDが光んなくなるまで聴いたよ」なんて言わないですもんね。ま、とにかくそのくらい聴きましたよ。
思えば、自分の意志で初めて観に行ったコンサートもチューリップ、福岡の九電記念体育館でした。調べてみたら、たぶん1976年ではないかと思いますから、中学2年です。2階席の後ろのほうで「遠いなぁ」と思いながら観ましたが、気がつきゃ最後のほうは、最前列の鉄柵にしがみついてかぶりつきで観てましたよ。私が特別にかわいい中学生だったから許されたのか、昔ってそんなもんだったのかはわかりませんけど。
そんなチューリップの財津和夫さんのコンサートにシークレット出演のお話をいただき、さらに姫野達也さんも一緒に出演するってことですから、それはそれは一大事です。今回、このお話をいただいて、数年前に買っていた紙ジャケ仕様の復刻CDを久しぶりに聴きましたが、いやぁ、良いです。The Beatlesからの強い影響がアルバム全体に確認できますし、B面は【Abbey Road】のB面のメドレーを目指して作られたであろう、ということがよくわかります。
財津さんに初めてお会いしたのは、たしか91年頃、財津さんがやっていた大阪のテレビ番組にゲストに呼んでいただき、【TAKE OFF】に収録されている『青春の影』を一緒に演奏しました。2度目は96年、ビートルズのプロデューサーのジョージ・マーティン氏を迎えて、なぜか石川県の加賀市で行われた【ビートルズ音楽祭】。3度目は2009年、北海道・岩見沢でのイベント【MUSIC GARDEN WITH 2009】。この時は、【TAKE OFF】に収録されている『あのゆるやかな日々』という曲を勝手にひとりで演奏しました。で今回が4回目。姫野さんとは、たしか20年くらい前に、当時私がやっていたFM802の【MUSIC GUMBO】に、ギターの安部俊幸さんとともにゲストに来ていただいた時以来、すごく久しぶりの2度目です。今回は【TAKE OFF】から『セプテンバー』とか『おしえておくれ』とか歌う気まんまんだったんですが、『愛は勝つ』だけでだいじょぶです、ってことだったので、力を込めて演奏しました。それもあの『銀の指環』に続いて、財津さんと姫野さんと一緒に『愛は勝つ』ですから、いやぁ〜、人生っていうのは、なんていうんでしょうね。とにかく、すごくうれしかったです。
で、もちろん、財津さんと姫野さんにサインをいただきましたよ。本当は当時買ったレコード盤を持っていきたかったんですが、家の中の段ボール群から発掘できず、紙ジャケ仕様のアルバム【TAKE OFF】の裏面に書いていただきました。
どうですか、いいでしょう。 いや、ただ自慢したいだけじゃなくて、このアルバム、真におもしろいですから、今からでも是非お聴きください。初めて買ったレコードが【TAKE OFF】で良かったなぁ、と心から思います。
このアルバム【TAKE OFF】からロック・ポップスに強い興味を持ち、まもなく、The Beatlesにのめり込んでコピーバンドを始め、ロックンロールなオリジナルを作り、その後、Billy Joel、Stevie Wonder、Hall&Oatesなど多くの素晴らしいアーティストの音楽に影響を受けた私が、【TAKE OFF】から40年経った今、きゃりちゃんの新アルバム【ピカピカふぁんたじん】をフラ毛して夢中聴きしながら、「こんな曲つくりてぇ〜」とピアノに向かっているわけですから、人生はいろんな楽しいことがまだまだいくらでも起こりうるってことですよ。
はぁ〜い、というわけでした。さて、【北青山イメージ再開発】の会員の皆さまから、次の弾き語りツアーのタイトルを募集する企画【ユー・アー・ザ・タイトリスト】もエントリーを締め切らせていただきました。これから、特別審査委員の常田真太郎くんを交えて厳正な審査を行い、7月21日(月)にツアー日程とともに発表しますので、お楽しみに。
2014/07/11
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