No.394
『台北十菜』
さて、2月に入り、中国はそろそろ春節(旧正月)、同じ時期、南半球のブラジル・リオデジャネイロでは、サンバカーニバルが始まりますが、みなさんはどのようにおすごしでしょうか。私は、まだ発表できぬひみちゅのお仕事を着々と進めながら、先輩アーティストのライブを観せていただきながら、4月に行われる京都市交響楽団とのコンサートの編曲に最も時間を費やしながらも、でも飲み会はやるよ。そんな2月です。
さて今週は、年末に母と兄夫婦と小旅行した台北で食べたものをざっと十品、なんかわかんかいけどランキング形式で御紹介しようと思います。だって、みんなランキング好きでしょう。順位に意味はありませんけど。今後台北に行く機会がある方には、適度なガイド代わりになるように、お店のリンクも合わせて書いておきます。滞在中にもいろいろ見ましたが、【台北ナビ】というのがもっとも見やすく内容が充実しているようですので、主にそうします。ではどうぞ。
第10位:鍋貼儿 【一條龍餃子館】
http://www.taipeinavi.com/food/406/
滞在2日目、母と兄夫婦が到着する前日、12月28日(金)の晩。若者を中心にすごい人々で賑わう西門(シームン)という街は、ちょっと昔の渋谷のセンター街のようでした。『地球の歩き方』に載っていた【一條龍餃子館】で餃子とビール。ちなみに中国の餃子は蒸すか茹でるかが基本で、いわゆる焼餃子は、中国東北部の食べ物。余った餃子を次の日に再び鍋で焼いて食べていたものだそうで、これが日本では一般的な餃子になったそうです。ちなみに中国では「焼餃子」ではなく、「鍋貼儿/グォティエ」と呼ばれます。ガツンと10個盛りだったので、私の腹はもうこれで充分です。サービスで出された大根のキムチがうれしかったです。
第9位:炸醤麺・酸辣湯 【福大山東蒸餃大王】
http://www.taipeinavi.com/food/25/
滞在3日目の29日(土)、母と兄夫婦到着前の単独昼飯。店名から、山東省の蒸餃子が看板料理だとわかりますが、なんとなく炸醤麺と、流れで酸辣湯。日本で言ういわゆる「ジャージャー麺」ですが、私の発音解釈では「ザァチャンミェン」です。ここのは椎茸がぶりぶり入ってて、味も濃く食べ応えがありました。後半は、豆板醤とお酢をぶりぶり入れてみました。頼む前から薄々感づいてはいましたが、やっぱ酸辣湯はいらなかったかなぁ。
第8位:魯肉飯・萝卜湯 【通化街胡家米粉湯 林森北路店】
http://www.taipeinavi.com/special/5000822
私だけ先に帰国する元旦のお昼。今年最初の食事です。私が空港に行くまでの時間が限られてることもあって、ホテルのすぐ近くの食堂へ。あとで調べたら、有名な夜市【士林市場】にあるお店の支店のようです。甘辛く煮込んだ豚肉の細切れがかかった台湾のローカルフード「魯肉飯/ルゥロウファン」を軸に、茹でレタスのオイスターソースがけ、蒸した蝦、豚皮煮など、いろんなおかずをつつきます。大根のスープがたいへんおいしゅうございました。
第7位:爆葱牛肉蓋飯 【金華快炒】
31日(月)のお昼。“台北の代官山”と複数のガイドブックに載っていたファッショナブルエリア「東區/トンチュィ」を散策しながら、なんとなく見つけて入ってみた小さいお店。「烩飯/ホイファン」と「蓋飯/カイファン」の違いはなんだ?ということでたのんでみた「爆葱牛肉蓋飯/バオツォンニュウロウカイファン」は、牛肉と葱を生姜と醤油でザッと炒めたものがのっかってました。どうやら、「烩飯/ホイファン」はあんかけで、「蓋飯/カイファン」はそうでない、みたいです。おいしゅうございました。写真奥は、兄がたのんだ肉なし焼きそば「素炒麺/スゥチャオミェン」。この店はサイトで見つけられませんでした。台北市大安区延吉街131巷付近の小さい弄にあります。
第6位:鮮肉扁食湯 【高雄五福扁食專賣店】
http://www.tabitabi-taipei.com/more/2010/0318/index.html
12月27日(木)、単独到着直後の遅い昼食。「捷運/チエユン」という地下鉄で忠孝復興駅へ。『地球の歩き方』を見ながら入ってみたワンタン専門店。福建省ではワンタンを「扁食/ピェンシー」と呼ぶそうですが、店名には「高雄」と書いてあるので台南のお店なんでしょうか。夕食まで時間も短かったし、また外も明るかったので、ビールも飲まずに肉ワンタンスープのみ。たいへんおいしゅうございました。壁にジャッキー・チェンさんとノリピー来店の写真が飾ってありました。
第5位:小籠包・担々麺 【伍柒玖牛肉麺】
http://www.taipeinavi.com/food/35/
12時ロビー集合だというのに、12時10分に兄の電話で起こされたという“家庭内ド遅刻”をやらかしてしまった30日(日)昼。母と兄夫婦はすでに予約してある有名小籠包店に行ったので、仕方なく私はゆっくりシャワーを浴びて、ホテルの近くで単独昼食。小籠包で有名な行列店【京鼎楼/チンティンロウ】の隣にある行列のできないお店に入って、台湾ローカルヌードル「坦仔麺/タンツミェン」と小籠包をいただきました。
兄の知人の現地在住日本人の情報によると、このお店で小籠包をたのむと、隣の有名店に発注され、そこから持ってくるらしい。とのことで観察していると、たしかに、坦仔麺はこの店の赤い制服を着たお嬢さんがさっさと持って来てくれましたが、小籠包は、店の奥の厨房ではなさそうなところから、この店の店員さんとは違う黒いポロシャツを着たお兄さんが運んで来ました。・・・ってことは、やはり、行列に並ばずに【京鼎楼】の小籠包が食べれる、噂どおりの穴場店なのかも知れません。
第4位:滷猪脚 【大來小館 麗水店】
http://www.taipeinavi.com/food/428/
12月27日(木)、到着日の単独晩食は台北で最も有名な飲食街「永康街/ヨンカンチェ」へ。いろいろうろうろ歩いたあげく『地球の歩き方』に載っていたこのお店に入ってみました。なんか味の濃いものでビールを飲みたかったので、「滷猪脚/ルゥツーチャオ」という豚足の醤油煮を注文。ぶ〜りぶりのベタベタでたいへんおいしゅうございました。「魯肉飯」でなんらかの賞を獲ったらしいこのお店は、永康街に本店があり、こちらは並行する麗水街にあります。
第3位:鱔魚油麺羹 【台南 阿輝炒鱔魚 門市二】
http://www.taipeinavi.com/food/565/
滞在2日目、28日(金)のお昼。一青窈さんに事前に教えていただいていたレストラン数店のなかで、【台南𩵚魠魚焿】という店が気になり、いろいろと検探してみましたが見つからず、それに類似した店をみつけたので行ってみました。台南地方の人気店が台北にも出店し、盛り上がり始めているようです。
一青さんに教えていただいたのは「ヨコシマサワラ」という魚を揚げた黒酢あんかけ麺のようでしたが、ここは「タウナギ」という淡水魚。「タウナギ?」んんん・・・、うまそうに思えん。いやしかし、やはり外国に来ているからこそ、食べたことのない、味の予測がつかないものを食べることが旅の楽しみの大きなひとつであるのですから、トライしますけど、いや、でも、正直言って“勝負”です。お昼時で数人の待ち客がいます。数分待って卓につきメニューを見ると、タウナギのとろみ汁麺、タウナギの焼きそば、他にイカのそのようなものもあります。麺も「油麺」「意麺」「米麺」とあり、いろいろ迷って、「鱔魚油麺羹」に決定。どうやら「油麺」がいわゆる中華麺らしく、「羹」とは“とろみのついたスープ”を意味する字のようです。
果たしてそれは給されました。黒黄金に輝く“あん”からのぞく、黒いそれが噂の“タウナギ”なのでしょう。決して食欲をそそるヴィジュアルではありませんが、いただきます。・・・で、お味はというと、・・・んんん、それは、いわゆるひとつの、初めての経験、でした。はい、そうです、それで良いのです。そんな未知の味覚との出会い、その経験こそが旅のおもしろみの大きなひとつなのですから、これで良いのです。そしてこの「鱔魚油麺羹」、例えば【鼎泰豊】の小籠包のように、日本人に好まれて日本国内でチェーン展開、ということは、まぁ、どう考えてもありえないでしょう。そんな味わいでした。であるからこそ、ここ台北でそれを食した、この事実に大きな意義を感じての第3位なのです。そういう意味では、ある意味・逆に・ある反面、いちばんのオススメかもしれません。
第2位:紅焼烏参 【紅豆食府 遠企店】
http://www.taipeinavi.com/food/155/
大晦日の晩食はちょっと高級なところに行こうということで、【紅豆食府】の遠企店にやってきました。せっかくだから普段食べないものを食べたい系の私は、比較的食べ馴染みのあるものをたのもうとする母と兄夫婦の怪訝そうな表情を無視して、ナマコの葱醤油煮を強行注文。見た目はやはりかなりグロいですが、私がこれまで食べたナマコのなかでは、最も食べやすかったと思います。強行注文の責任を負って半分くらいはひとりでいきましたよ。深夜、ナマコが胃袋の中で元のカタチに戻ろうともがく、そんな感触も含めて、みなさんも是非一度。
第1位:酸菜白肉火鍋 【長白小館】
http://www.taipeinavi.com/food/42/
30日(日)の晩食。「酸菜白肉火鍋」とは、中国東北部・黒竜江省の鍋料理。白菜の酸っぱい漬け物「酸菜/スァンツァイ」と、自然凍結した豚肉の薄切り「白肉/パイロウ」をぐつぐつ煮込みます。数種類の醤や薬味を自分の好みで組み合わせたタレでいただきます。写真では極シンプルに見えますが、実は鍋底に、カニ・椎茸・干海老・鰹節などがたっぷり隠れていて、たいへんに深く優しい味わいです。店を埋め尽くすお客さんは若者ばかりでしたので、台北で今もっともナウな鍋なのかもしれません。たいへんおいしゅうございました。
はぁい、そんな感じで食った食った、はぁぁぁ〜、いなかおっぱい!の台北十菜でした。
台北の料理は日本と味付けが近いのか、中国大陸のそれよりも食べやすい印象があります。2009年夏の 「コラムNo.218」と合わせて、なにかのときのグルメガイドとしてお役立ていただければと思います。
2013/02/08
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