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Friday Column

No.219

『皆既日食の日に考える』

特になにがどうというわけでもない7月22日、午前11;20分頃でしょうか、アレンジをするのに事務所に向かうため、車庫から車を出そうとしていたら、近所のお宅からやや興奮気味に「ほら、今見えてるよ〜」という声が聞こえてきました。「おっ、なになに、パンチラか、胸チラか、それとも」とあたりをキョロキョロすることもなく、それはもしかしてアレのことかと空を見上げたら、見えました、皆既日食。ちょうど三日月型くらい感じでね、曇ってましたがハッキリ見えました。

皆さんは見ましたか、皆既日食。7月22日が何十何年ぶりのその日だということは、うすうす感づいてはいたんですが、これといって特別に興奮しているわけでもありませんでしたが、見ました。で、車で事務所に向かうんですが、至る所でいろんな人が空を見上げてるのが、なんだかおもしろかったです。



通りの角でぼーぜんと空を見上げたまま動かないおじさん。歩道橋の上で空を見上げる小学生とお父さん。ずっと空を見上げたまま横断歩道を渡るカップル。路上の喫煙所で煙草を吸いながら空を見上げるサラリーメン。信号待ちで車の窓から首を出して空を見上げるトラックの運転手さん。店の前に出てきて空を見上げるプリン屋さんのお嬢さん。自転車に跨がったまま空に携帯電話のカメラを向けるスラリとモデルさん風のお姉さん。と、とにかくいろんなところでいろんな人が空を見上げてました。あの携帯カメラを高く掲げるのって、見ていてあんまり好きになれないんですけど、でもまぁ、事件や事故現場でそれやっちゃうやつがいる昨今の日本を考えれば、今日のそれはなんだかとても平和な光景です。空を見上げて少しだけ宇宙のことなんかを考えてみる、いい日じゃないですか。

私も何度か車から顔出して見てみましたが、今日の東京は曇ってましてね、見えたり見えなかったり、見えたと思うと雲に隠れたり、そんな感じでしたが、またその感じが“見たい”という欲求を増幅させ、見えた時の満足感はより強いものになるのでしょう。そう、これがいわゆるひとつの“チラリズム”です。今日の東京での皆既日食を、見たい、見てぇ、見えた、やった、という見るものの精神構造は、パンチラや胸チラとまったく同じだと言い切れます。近所の人の「ほら、今見えてるよ〜」という声がした時、反射的にそのようなことを思ってしまった私の習性は決して間違ってはいないのだと断言できます。

さて、話をパンチラに戻しますと、最近アレですよね、見えるってわかりきっててミニスカートで自転車乗ってるギャルがいるでしょう。あれはダメです。また、“見せブラ”なんてものも存在するらしいじゃないですか。私はそれらのすべてを否定的にとらえています。情緒にかけます。そう、大切なのは情緒です。

というわけで【情緒】という語を改めて辞書で調べてみましたら、「人にある感慨をもよおさせる、その物独特の味わい」とありました。そう、そうなんです。“チラリズム”とはあるひとつの“情緒”であり、パンチラも胸チラも、私に“ある感慨をもよおさせる独特の味わい”なのです。じゃぁ【感慨】ってなんなんだと調べてみたら、「心に深く感じること」とありました。つまりは、パンチラも胸チラも、私に“心に深く感じることをもよおさせる独特の味わい”であるわけです。さからこそ私はとっさの判断で角度を合わせるのです。このことこそが私が今週最も言いたいことなのです。

ここんとこの『金曜コラム』はなにかと旅行記化していましたが、うん、今週はなんだか久しぶりに『金曜コラム』らしいことが書けたんじゃないかと満足しています。なので、なんやかんや結構忙しいこともあって、短いですがこのへんでお開きとさせていただきます。

最後にパンチラか胸チラの写真を1枚、と思ったんですが、そんなもんの撮り置きがあるはずはありません。情緒は情緒として脳の中にイメージとして大切に保存しておくものです。それにそんな写真とか持ってたら立派な犯罪者ですし、それ掲載したりしたらこのサイトはさっさと閉鎖です。

というわけで皆既日食の写真を1枚。ってゆうか撮れてませんけど、一応。



2009/07/24



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