No.174
『一本の樹 スペシャルライブ』
はい、9月6日(土)札幌・芸術の森での『一本の樹 スペシャルライブ』無事楽しく終わりました。STV創立50周年感謝祭ということで野外ステージ周辺には、STVテレビ・ラジオの人気番組のブースが並び、アナウンサーやパーソナリティが集まって皆さんとふれあい、そんな感じの局をあげての“感謝祭”のメインになるイベントとしてスペシャルライブがあり、そこにSTVゆかりのアーティストが多数出演したというわけです。敬称略でざっと並べますと、干場かなえ/SACON/バイオレント イズ サバンナ/MEN☆SOUL/みのや雅彦/大黒摩季/KAZUMI/m.c.A・T、そんでもって私というわけです。で、よくよく考えてみると、私以外は皆さん北海道出身で、私ひとりだけイメージ出身者でした。イイ感じでしょう。のべ4800人の方が集まってくれたようです。
STVラジオで1988年10月から深夜番組『アタックヤング』のパーソナリティをやらせていた私は、気がつきゃこの10月でSTVに通い続けて丸々20周年です。途中パリ逃亡によるブランクが3年あるものの、STVは創立50周年ですが、私個人的には“STV通い続け20周年感謝祭”のスペシャルなライブでもあったわけです。だからと言ってブータンの男性の民族衣装を着てみました。ちなみに女性の民族衣装は『キラ』と言います。
「やぁ、よかったですよ。後ろのPAのとこから見てたんですけど、KANさんが登場してワァ〜!ってなった後に、お客さんの頭の上に“?マーク”がポツンポツンと浮かんで、それが全体に広がるんですよ」とはWESSの南くんの終演後のコメント。そりゃそうですよね、私にとっては現地ブータンで購入して着るべき好機を待ちながら温めていたスペシャルステージ衣裳である『ゴ』ですが、お客さんにとっちゃ思いっきり“?”でしょう。「KANって、こういう風になっちゃったんだ」と思った方も多くいらっしゃったことでしょうけど、“いろんなもん着たがり”の私は、登場する度に“そういう風になっちゃう”んですからそれもまたひとつ正解です。ブータンの民族衣裳っつったって、普通は知られてないですしね、そりゃ“?”ですよ。でもね、私の出演20分前、楽屋で着替えて廊下に出たら、m.c.A・Tさんのコーラスのデッカイお兄さんが、「あ、ブータン!、ブータンの民族衣裳ですよね」と近寄ってきました。わかってるヤツがいるってのはうれしいじゃないですか、ってことで超得意になってブータン話ぶりぶりしてたらもう出番がやって来ました。
今回も30分のステージ。『何の変哲もないLove Song』『プロポーズ』と野外向けの爽やかな2曲を演奏したあとは、もう野外向けの曲はないよってことで、メチャクチャ室内なナンバー『牛乳のんでギュー』。もちろん衣裳の説明もしましたけど、したところで「なんでまた、今ここで?」というクエスチョンマークを一掃することなどできませんよ。ただ着たいだけなんですから。気がつきゃこの日が200回を迎えた番組『KANのロックボンソワ』では、ビートルズの名曲を敢えてアナログレコード盤でお聴きいただく「Analog The Beatles」というコーナーをやっていることもあり、ビートルズのナンバー『Lady Madonna』演奏し、少しテンポ感をアップして、ついに出ました『愛は勝つ』です。
いやぁぁぁ、何をかくそう何にもかくしてないこの『愛は勝つ』をピアノ1本だけの弾き語りで演奏するのは初めてのことで、私にとって大きなチャレンジです。いや、もちろん弾き語りだろうが『愛は勝つ』を演奏する必要性は誰に言われなくても私本人がとっくの大昔に痛感し、個人練習を繰り返してはいたんですが、いやぁしかし、自身の曲の表現すべきイメージを大きく変えてまで演りたいとは思わなかったというか、演ってなかったんですが、先日のJ-WAVE LIVE でアンジェラ・アキさんの生演奏を観て以降、精神的にはアンジェラさんの弟子になっている私ですから、そんなアンジェラさんから、弾き語りで『愛は勝つ』を演って大盛り上がりしましたって話を直接聞かされた日ニャ、作った本人なんですからこちょこちょ言い訳せずに九州男児らしく正面切って演るべきでしょう、いや、やるべきだ、という結論にアッサリ達し、演りました。
私にすりゃビクビクビッグチャレンジだったんですが、多くのお客さまにとっては私が『愛は勝つ』を歌うことは単に予想どおりのことでしょうし、周辺スタッフもみな「よかった、よかった」と言ってはくれましたが、うぅぅん、どうなんでしょう。ドラムがドンダーンドッドッダーンで、ベースがブッブブッブブで、ギターがヅッジャーヅッヅッジャーで、男性コーラスがウォ〜オ〜!と分厚い壁を作る、そんな基本『UPTOWN GIRL』な曲ですから、私自身はやはりピアノ一本ではどんなにがんばってもスカスカ感がいなめなめなめなめないわけですが、まぁ、この期におよんでぐずぐず言うのはやめますよ。ってゆうか、ピアノ一本の弾き語りでも自分自身のカラダの中のドラムがドンダン鳴ってれば、股間のあたりのぶっといベースがブイブイいってれば、そのビートってのは自然にピアノや歌に出るもんなんですよね。そう、要は表現力ってことです。その表現力的に今回の私はどうだったんだろうか、ってことをまだぐずぐず言ってるわけなんですが、まぁ、いいや、回を重ねながら自分で考えます。で、最後はSTV創立50周年ってことにひっかけるつもりは全くなく『50年後も』で締めました。
いやぁしかし、いい感じでしたよ。【ラッキーラクーンナイト】の時は、出演者がみんな友達みたいな感覚でライブ全体が一個の大きなかたまりになる感じがありましたが、それともまた違ってすごくよかったのは、20年も通ってるSTVのイベントですから、ステージ裏で走り回ってるスタッフの人もみんな私にとって“知り合い”なんです。この感じがなんか不思議で居心地よくて、ホームタウンスピリット激薄で批難されがちな私ですが、なんかほんと“地元”でやってる感じで楽しめました。
で、このブータンの男性の民族衣裳『ゴ』。わかりやすく例えれば、日本で言う“タンゼン”を膝までまくり上げて着てるような感覚でしょうか。国の決まりで、ブータン人はみな民族衣裳を着ています。といっても、ネパールやインドなどの近隣国から移住している人たちは普通にジーパンはいてますけど。でも街を歩いた感じでは7割くらいの人がちゃんとコレを着ています。夏の暖かい時期は裸足に草履らしいですが、標高2000m超えの高地国ですから、私が訪れた冬は激寒で皆ハイソックスに革靴です。この“タンゼンにハイソックス&革靴”ってのがイイんですよね。というわけで今回の私は敢えてブータンの冬の装いで登場しました。自分で言うのもなんですけど、かなり似合ってますね。もともとモンゴル顔の私ですし、ブータン人も大きく分けるとそっち系の顔立ちが多いですから、西欧ブランドの服着て気取ってるよりずっと似合ってるってのは当然ってことなのです。しかしコレ着るのが結構難しくて、うまくいかないと膝の辺りが妙に広がったり背中の辺りがモコモコになったり。なので苦労してうまいこと着れたら、あとは崩れないようにあまり大きな動きをしたくないというか、そんな感じ。ということはつまり、ある意味・逆に・ある反面、“弾き語り向きの衣裳”であると断言できるのです。そうとわかればこっちのもん、この後のイベント数本はどういう状況であろうが私はこのブータンの民族衣裳『ゴ』を着て乗り切ってやろうと決意しました。
はい、というわけで来週は【ラッキーラクーンナイト3】、大阪・東京公演です。今回は『パイスチュ』ではなくKANとしてある意味ソロで登場します。いろんなことやりますから、楽しみにしていてください。
2008/09/12
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