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Friday Column

No.149

『BAND LIVE TOUR 2008【NO IDEA】をさらっと振りかぶって』

BAND LIVE TOUR 2008【NO IDEA】、全11公演が終了しました。いやぁホントに楽しいひと月半でした。観に来ていただいた皆さま、ありがとうございました。終わっちゃったのはたいへんにさみしいんですが、それと同時に清々しい開放感もあり、火曜日にはさっそく御殿場でスカーッとゴルフなんかやっちゃったりして、その前日は日本武道館に『Maroon 5』の東京最終公演を観に行きました。いやぁこれがカッチョイイ。2004年、2007年の私の中での【Album of the Year】を獲得した素晴らしいバンドですから、もうめちゃくちゃ期待して行ったんですが、その期待以上にカッチョよかったです。アダム・レヴィンの歌もギターもキンキンのギンギンで、ギターとベースが妙に70年代っぽいのも良かったですし、ドラムまたがすげぇイイ。やっぱ彫りが深いってのは大事ですねぇ、と痛感して帰ってきました。何が良かったってなにより“席”がめちゃくちゃ良かったんですけどね。でもホント冗談抜きでロックバンドとしてたいへんに素晴らしく、やはりアメリカで一流になるってことはとんでもないことなんだと思います。今後の私の作品・コンサート作りに大きく影響を与えること必至です。水曜日は札幌行って、皆さんから送っていただいたライブの感想メールを「あぁ、そう」「ふ〜ん、なるほどねぇ」とひとり言を言いながら読ませていただき、東京に帰ってきた今日・木曜日これ書いてます。

というわけで今週は、数点の写真を御覧いただきながらバンドライブツアー【NO IDEA】の内容をさらっと振りかぶってみようと思います。メンバーは久しぶりに帰ってきました清水淳(Drums)・西嶋正巳(Bass)・中野豊(Guitars)=以下「センパイ」・矢代恒彦(Keyboards)と私の5人。では演奏曲目から。

■演奏曲目/収録アルバム(発表年)

Opening:Sco Sco Sco Sco Scottish
01. IDEA / IDEAS (07)
02. Close To Me / Gleam & Squeeze (01)

03. サンクト・ペテルブルグ / TIGERSONGWRITER (98)・IDEAS (07)
04. Happy Time Happy Song / KREMLINMAN (99) ・IDEAS (07)
05. 秋、多摩川にて / 弱い男の固い意志 (93)

06. 彼女はきっとまた / 遥かなるまわり道の向こうで (06)
07. まゆみ / TOKYOMAN (93) ・IDEAS (07)
08. 世界でいちばん好きな人 / 遥かなるまわり道の向こうで (06) ・IDEAS (07)

09. 何の変哲もないLove Song (弾き語り) / 何の変哲もないLove Songs (05)

10. 星屑の帰り道 (Unplugged) / 東雲 (94)・IDEAS (07)
11. 言えずのI Love You (Unplugged) / Girl To Love (88)・IDEAS (07)

12. Cover Girl / 弱い男の固い意志 (93)
13. 僕のGenuine Kiss / NO-NO-YESMAN (87)
14. TOKYOMAN / TOKYOMAN (93)
15. 愛は勝つ / 野球選手が夢だった (90)・IDEAS (07)

* センチメンタル17歳 / 未収録 (95)
16. テレビの中に / テレビの中に (87)
17. West Home Town / 東雲 (94)
18. 僕の彼女はおりこうさん / ゆっくり風呂につかりたい (91)

19. すべての悲しみにさよならするために / 東雲 (94)

* スペイン国家 (Recorder Quintet)
20. 適齢期Love Story 2008〜全曲つなげ / Girl To Love (88)
21. 50年後も (弾き語り) / KREMLINMAN (99) ・IDEAS (07)

今回はまず最初に衣裳の話をしなければなりません。
今回の衣裳はスコットランドの民族衣裳“キルト”、どっからどう見てもスカートなんでしょうけど、コレれっきとした男性の正装です。いやぁ、前からずっと着たかった衣裳でね、やっと今回ドゥリーム・カムズ・ツルーしました。しかし、この衣裳ってやっぱ“バグパイプ”持ってたほうがだんぜんカッコイイんですね。ってことでレンタルとかなんとかいろいろ調べては見たんですが、何しろモノがなくて、やっと見つけたとしてもエラく高かったもんですから、しょうがねぇ、ニセモノ作っていただきやしょう、ということになりました。本物のバグパイプではないし、本物があったところでニワカ練習で弾ける楽器ではありませんから、ってことはそのオトシマエはリコーダーでつけるっきゃないでしょう、ということで“リコーダーが刺さる部分アリで”と優秀なこだわりの作り手に注文して、短い期間でしたが素敵な“ニセ・バグパイプ”を作っていただきました。それはつまりバグパイプに見せかけた大げさな“リコーダー・ホルダー”だったというわけです。とにもかくにもこの“キルト”をかっこよく見せるためのもので、要はつまり“どうしてもコレが着たかった”だけの話なのです。でもそれこそがもっとも純粋で正当な根拠なので文句言われる筋合いはどこにも存在し得ないのです、はっはっは。

でもってその純粋で正当なる“キルト”を着て皆さまの前に登場するための音楽として作曲・録音したオープニングナンバーが『Sco Sco Sco Sco Scottish』。【Scottish】とは【Scotland】の形容詞型、タイトルの読みは『スコ・スコ・スコ・スコ・スコティッシュ』で結構ですよ。私が打ち込みで作った音源にセンパイのアコースティックギターと矢代さんのシンセサイザーをダビングして、ライブのエンジニア・中本さんがミックスしてくれました。


ジェントルでポライトなオープニング

さて、今ツアー唯一の新曲『IDEA』なんですが、これはねぇ、ここしか置き場がなかったというか、幕が落ちての1曲目としてはミディアムテンポのちょっとどっちつかずな気もしてたんですが、いや、どう考えても他に置き場がありませんで、かといってやんないってのも違うでしょうし、というわけで1曲目でした。でまた、この曲ってどう考えてもうまい終わり方ができなくてですね、なもんですから同等テンポのシャッフル(タカタカタカタカではなくタッカタッカタッカタッカと跳ねるビート)ものにそのままつなげるしかないでしょうということで2曲目になったのが『Close To Me』でした。結果的になかなかイイつなぎだったと思います。

前半の選曲はメロディラインに安定感のある楽曲を並べました。見た目に特に動きはなくじっくり曲を聴いていただくイメージでの構成です。アルバム『遥かなるまわり道の向こうで』の収録曲でまだ一度も演奏していない『彼女はきっとまた』『小さき花のテレジア』『おしえておくれ』をリハーサルで試してみましたが、最もライブ向きではないと思っていた『彼女はきっとまた』が意外とやってて楽しいなぁってことになったもんで選曲し、6曲目に置いてみました。


秋、多摩川にて

中盤のアコースティック編成では、ふざけたい気持ちが強くあり、リハーサルでなんやかんやと5〜6曲、ああでもないこうでもないと試してみたりもしたんですが、コレだ!という感触まで到達するものができず、じゃぁ無理してふざけるのはやめましょうということにして、『星屑の帰り道』『言えずのI Love You』の2曲に落ち着きました。


言えずのI Love You

後半は、久々ライブでやりてぇ曲ばかりを並べました。『Cover Girl』は前ツアー【座ってポン!】で最後の最後にはずした曲なので今回はじぇったいやると決めてましたし、『僕のGenuine Kiss』はCDとはまったく違うアプローチのライブならではのアレンジですし、『TOKYOMAN』はビリー・ジョエル式ピアノロックの王道作品です。


Cover Girl

『テレビの中に』の前のイメージデビュー曲『センチメンタル17歳』は、当初やる予定ではなかったんですが、リハーサルの後半になって「やっぱここで“センチメンタル”ほしいよねぇ」「やっといたほうがいいですかねぇ」「衣裳的にもやっとくべきでしょう」ということになりました。それ以前は12曲目『Cover Girl』から18曲目『ぼくの彼女はおりこうさん』までだぁーっと一気に行く構想だったんですが、『センチメンタル17歳』やるんだったらその前に“感動するトーク”を挟んだほうがいいでしょう、ということになりました。ちゃんと調べてみないと記憶があやふやですがたぶん95年のツアー以来の『センチメンタル17歳』です。でもこういうのは歳をとればとるほど意義があるというか、キモチワルサが深まる感じがして良かったでしょう。

『ぼくの彼女はおりこうさん』の曲後半では今回もメンバーの“年齢紹介”をやりました。今年は矢代さん47歳、西嶋さん48歳、センパイ49歳と上がっていき、ドラムの清水さんは08年6月で50歳で、実際にはまだ49歳なんですが、47→48→49ときて、最後が“49”ってのはないでしょう、ということになり「じゃぁ50で」ということにしてミラーボールをキラキラ回して『メリー・ジェーン』を熱唱します。


ぼくの彼女はおりこうさん

今回、コンサートを観てくれたいろんな人に最もよく言われたのが、あの『おりこうさん』でさんざんふざけた直後にそのまんまの流れで『すべての悲しみ〜〜』ってのはどうなんでしょう、ってことでしたが、私としてはこの“ふざけ”と“シリアス”のギャップもまたKANというアーティストのあるひとつの本質ではないかと考えているもんですから別になんの問題もないんですが、観てるほうの気持ちの切り替えがたいへんだということでした。逆に迷惑かかっちゃったみたいでなんかすいませんでした。

でもって、前々から着たかった今回の衣裳“キルト”を正当化するために作ってもらった“ニセ・バグパイプ”のオトシマエとしてのリコーダー演奏です。私とセンパイと矢代さんがソプラノで、清水さんがアルト、西嶋さんがテナーの3種5重奏です。ホントはここもそれ用のオリジナル曲を作りたかったんですが、さすがの私もそこまで余力がありませんでした。ならば“国歌”です。STVラジオのレギュラー番組では周囲の反対を押し切って『世界の国歌のコーナー』しつこくやり続けてきた私ですから、ある意味・逆に・ある反面、専門分野です。で、どこの国の国歌をやるかなんですが、リコーダーの音域内に収まる曲で、「♯」「♭」などの変化記号が付く音はなるべく少ないほうがいいし、でもってポップなメロディで、といろいろ探してみて、もちろんスコットランド民謡系のものがあれば設定としては良かったんですが、上の諸条件を満たす曲をみつけられず、結果的に『ポーランド』『スペイン』『ボスニア・ヘルツェゴビナ』の3曲に絞り、うち2曲を5本のリコーダー用にアレンジしてリハでやってみて、最終的にこれがメロディ的にもいちばんいいでしょうと『スペイン国歌』に決定しました。

『適齢期Love Story』では94年から続く伝統的演し物『全曲つなげ』。この日の演奏曲を1曲目から全曲ワンフレーズずつ繋げます。で、そこに毎回じぇんじぇん関係ないよそ様の曲を紛れ込ませるんですが、今回はもうこれしかないでしょうと『千の風にのって』を選曲し、歌詞の「は」と「な」を微妙に入れ替えたりして歌いました。


私の〜おなかのまえで〜、はかないでください〜♪

とまぁ、ざっとふりかぶるとこんな感じなんですが、実際のライブを御覧いただいてない方には、どうもよくわからん内容であると思います。でも、基本的に無理ですね、ライブを文章で表すのは。だからといって書かないってのもイヤですしね。こんな感じでゆるく御理解ください。

有料サイト【北青山イメージ再開発】では、今回の【NO IDEA】についてさらにつっこんだ解説を数多くの写真とともに御覧いただける準備をもうすぐ始めます。・・つってもかなり先の話になりそうですが。だって去年の【弾き語りばったり #5】の振りかぶり記事が今ごろやっと掲載されるくらいですから。そんなラグジュアリーなイメージでお待ちください。一応急ぎますけど。

いやでもホントに楽しかったです。何度も何度もありがとうございました。やっぱバンドですよね、バンド、ねぇ。それにひきかえ“弾き語り”はねぇ・・・。でもね、本物のアーティストになるためには重要な活動ですから。そんな事言ってるとっくに前に次なる【弾き語りばったり #7 〜ウルトラタブン〜】の日程もすでに発表しちゃってますからね、まじめにやりますよ、おふざけ一切無し。ひとりじゃなぁんにもできないボクちんをウリウリウリウリ〜と棒でつつきにくるイメージで是非いらしてください。そんなコンサート本当にあったらおもしろいそうですよね。

2008/03/21



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