No.120
『テーマ茶屋』
レコーディングも終わり、ってのは先週も書いたと思いますが、終わった以上私にはやらなければならないことがあります。それは、そう、ゴルフです。“レコーディングが終わったらやりましょう”とのびのびになっていたスケジュールをやっと調整できたので、やりました。今週はこの日のゴルフについて書こうと思います。
8月××日、千葉県のとあるゴルフ場。メンバーは、このウェブサイトを一緒に作成し、そのシステム管理を一手に引き受けている亀山さん。私のライブ関係担当者、アップフロントプランニングの近藤くん。Gホイズ主宰で過去には私のコンサートにもコーラス・振付けで参加していた野沢トオルくん、そして私の4人。
近藤敏郎 ポロ |
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亀山健一 パロ |
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野沢トオル ピロ |
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木村和 ペロ |
それぞれ“プロではない”という意味で、パロ・ピロ・ペロ・ポロと表記しました。力量的には、ゴルフ歴10年、自己申告でも年間40回はコースに出ているというが、実際にはじぇったいもっとやってるはずの近藤パロ(37歳)が80台でダントツ。ゴルフ歴はかれこれひれはれ18年くらいの私(44歳)は、今年始めにベストスコア105を出したものの、まぁ基本は110〜120くらい。ゴルフ歴5年の野沢ピロ(40歳)も過去2回ほど一緒にプレーした感じでは私と同じかちょっと上かなくらいのイメージ、しかしこの日は丸1年ぶりにコースに出る。亀山パロ(33歳)は今年初めてコースに出たというのに、3回目でもう105をマークしたというスピード上達者、この日のゴルフが6回目、“105を切る”を目標に調整してきたようです。
天気予報によると、この日の千葉県の最高気温は32度。先週・先々週ほどの猛暑感はなさそうなものの、ゴルフをやるには充分すぎるブリ暑です。8時半には皆ゴルフ場に到着し、ドライビングレンジで練習しましたが、もうこの時点で汗がダラダラ流れ出す、そんな感じで9時20分スタートしました。で、どのようなプレー内容だったかは、あとでスコアを掲載しますのでそれを見ていただくとして、近藤ポロ以外は結果的にかなり緊迫したイイ勝負になりました。
ナイスショーッ! |
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思ったよりヘッピリ腰だ |
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ナイスアウトー! |
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うわ、右いったぁぁぁぁぁぁ |
しかし私の場合、スコアで勝負するつもりなんて毛頭ありません。なんつたって私ですから、つい、なんか変な遊びを考えたくなるのです。過去に、フェアウェイの広いロングホールでの“ドラコン”=ドラマチックコンテスト、ショートホールでは“ニヤピン賞”=ニヤニヤピンコダチ、などのイベントを考えてきた私ですが、いずれも“むずかしい”“意識が散漫になる”などの不評をくらうことがほとんどでした。そんなこともあって、プレー中ではないところになんらかのイベントを設ければいいのだと気づき、ある遊びをあみだしました。
通常ゴルフは前半9ホール、後半9ホールの計18ホールでワンセットですが、前半後半ともに中盤=4つめか5つめのホールの後あたりに“茶屋”があります。“茶屋”に入るとだいたいカウンターの中に女性がひとりかふたりいて、そこでちょっとおにぎりかなんか食べてなんか飲んで小休憩します。この“茶屋”でなんらかのイベントができないものかと考えぬき、茶屋に入る度にあらかじめ決められテーマにのっとって演技をする“テーマ茶屋”を発案しました。
“テーマ茶屋”の演技者をどうやって決めるかについては、同級生のアイディアを借りました。ゴルフは基本的にグリーンに遠い人から先に打ち、グリーン上ではカップ(穴)に遠い人から先に打つというコモンセンスでプレーが進みます。そこで“茶屋”の手前のホールで最後にパットしてカップインした人が“茶屋”でテーマにのっとった演技をしなければならない、という選定法に落ち着きました。ま、平たく言えば罰ゲームのようなもんです。初めての“テーマ茶屋”は、2007年6月の福岡、高校の同級生4人でのゴルフ。ここでのテーマは、茶屋に入るとロマンチックな会話をしなければならない“ロマンチック茶屋”です。前半の茶屋前は、古池(実名)が最後のパットを入れて“ロマンチック茶屋”をやるハメになりました。古池は茶屋に入りカウンターに座ると、カウンターの女性に向かって自身の初恋体験を語り出しました。そしてなぜか照れくさそうに生ビールを飲み干します。その演技は素晴らしく、またカウンター女性のリアクションもピュアでリアルで、茶屋はピリピリとロマンチックな緊張感に包まれました。この“ロマンチック茶屋”で精神力を摩耗した古池のその後の数ホールはボロボロ。ティーショットの打球はことごとく右の林に消えてゆきました。
後半も茶屋が近づくにつれてテーマを話し合い決定したのは“英語茶屋”。アメリカ生まれのアメリカ育ちの日系人になりすまし、“茶屋”でのすべての会話をひとりだけ英語で通すというイベント。で、茶屋前の最後のパットは私になったもんですから、やりましたよ、もちろん、堂々と。「Hi, good afternoon !」から入り、カウンターに置いてある食べものをいちいち「What is this ?」と尋ねました。カウンターの女性が結構あっさり対応してくれちゃったので、そんなに盛り上がらなかったですけど。
話戻って今回。この福岡での経緯を説明し、みな乗ってきたのでテーマを話し合います。“ロマンチック茶屋”“英語茶屋“の他に“なまり茶屋”“オカマ茶屋”“ヒルズ茶屋”“ウィルス咳き込み茶屋”“博士と助手茶屋”などいろんなアイディアが出たなか、前半は野沢ピロの発案で、茶屋で“青春”な演技をしなければならない“青春茶屋”に決定。なにがどのように“青春”なのかは演技者の感性にまかせられます。茶屋手前の4番のグリーンはみな変なプレッシャーと戦いながらのパッティング。で結局、私がやるハメになりました。
「こんにちは! 今日は爽やかな日ですねぇ!」と大きな声で茶屋に入り、高校野球・佐賀北と広陵の決勝戦の劇的な満塁ホームランやその感動を見てもないのに爽やかに熱く語り、高校生のように水をガブガブ飲みました。カウンターの若い女性はハナっからドン引き。それもまたひとつの青春なのだとめげずに、串に刺さった真っすぐなキュウリの浅漬けを「スポーティなキュウリですね!」と言うと、やっとちょろっと受けたようです。かなり精神力を摩耗しましたが、ま、なんてったって私ですから、この程度はなんてことありません。後半は、もっとヘビーなやつを誰かにやらせればそれでいいんです。
レストランでランチタイム |
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ボリュームに欠けるクラブハウスサンド |
前半終了後、クラブハウスのレストランでランチを食べて、12時45分、後半スタート。次なる茶屋は14番ショートホールの後にやってきます。ランチタイムにもなんやかんや話し合いましたが再び野沢ピロのアイディアでテーマは“真冬茶屋”に決定。30度を超える真夏の真っ昼間に「寒い寒い」と茶屋に駆け込むというかなりエキセントリックな設定、しかもキュウリの浅漬けをレンジで温めてもらって食べるという条件が“マスト”として付加されました。「考えついた自分でやってみろ」と心の中で野沢ピロの“真冬の演技”を期待しましたが、あ〜あ〜ぁ、茶屋前の最後のパットは今度もやっぱり私でした。
「うっわぁ、さっぶぅ〜」と身体をさすりながら茶屋に駆け込み「なんか温かいもんあります?」とカウンターの女性に問いかけると「ってゆうか、すっごい汗かいてるじゃないですか」と真っ向から突っ込まれてややひるみましたが、すかさず「あ、キュウリ、これレンジで温めてください」と注文すると、女性は「ホントですか? キュウリですよ」「はい、お願いします」「ホントにぃ? そんな人はじめてですよ」と言いながらも、串に刺さったキュウリを手際よくラップで巻きチンしてくれました。「ホントですかぁ〜?」と言われながらも「いやぁ〜、暖まるなぁ〜」とホットキュウリをホクホク一気食い。この“真冬茶屋”はいろんな意味でなんともヘビーでした。最後に「うわぁ、寒みぃ〜」と身体を振るわけながら茶屋を出ると「絶対おかしいってぇ!」というカウンター女性の声が背後に響いていました。
終わってみれば、前半後半ともに野沢ピロのアイディアで私が演技するという結果になってしまいました。うぅぅぅむ、もう一度同じメンバーでまわって、いろんな“テーマ茶屋”を味わわせてやりたいものです。しかしそのためにはパットを練習しとかないとですね。普段、打ちっ放しとかにはじぇったい行かないどころかクラブすら持ってないオールウェイズレンタリストで、“メシがうまけりゃすべて良し”というテキトーレジャーゴルファー(TLG)の私ですが、パットだけは練習しとかないと、毎回“テーマ茶屋”ってのもキツイですからね。
とまぁ、そんな感じで30度越えの猛暑の中、グダグダになりながらの今回のゴルフ、終わってみたらあらららら自己ベストスコアの104でした。OBが前半の1つだけだったし、後半は長〜いパットがなんかわかんないけどスポスポ入っちゃったりしてね。では、スコアカード披露です。字がヨレヨレですが、カードを手に持って歩きながらの筆記ですから、「うわぁ、こんなヨレヨレの字書くんだぁ」とは思わないでください。ホントはめちゃくちゃ字うまいんですから。となんの意味もない言い訳も添えてみたりして。
今回のコラム、ゴルフをやらない方にはほとんど意味が分からなかったと思います、ごめんなさい。でも、この意味を理解するために突如ゴルフを始めてみるなんてのも、キッカケとしてはかなりオシャレじゃないか、とも思います。
2007/08/31
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