No.028
『ベランダ・オブ・ドリームス 〜Veranda of Dreams〜』
マンションなどの部屋から屋外に突き出た入居者専有部分、私はそれをなんとなく「ベランダ」と呼びますが、みなさんもそうですよね、普通は。じゃぁ「テラス」と「バルコニー」と「ベランダ」じゃなにがどう違うのかと問われたら適確な説明はむずかしそうですね。 私のイメージ解釈では
【ベランダ】= |
マンションなどの集合住宅の屋外突き出し部分。基本的には洗濯物を干したりするための場所。 |
【テラス】= |
ベランダよりは広く、白いテーブル・イスのまわりにきれいな花などがさり気なく飾ってあり、読書しながらアフタヌーンティーみたいな?そんな、決して洗濯物は干すわけにはいかないイメージ。 |
【バルコニー】= |
高台の住宅地に建つかっこいい大きな家の突き出し部分。ここでは主にヨーグルトを食べ、運動器具などもある健康的な空間。それでいて洗濯物を干すことも可、というリベラル・アメリカンな面も持ちあわせるイメージ。 |
私のいいかげんなイメージだけならべてもなんですから、一応「広辞苑」で調べてみました。
【ベランダ/veranda】= |
家屋に沿って外側に張り出した縁。縁側。濡れ縁。 |
【テラス/terrace】= |
建物の前面にある、コンクリート・煉瓦などを敷きつめた台状の場所。露台。 |
【バルコニー/balcony】= |
西洋建築で、室外へ張り出して作った、屋根のない手すり付きの台。露台。 |
ほぉ〜、さすが広辞苑です。ま、どっちみち私が思っているそれは「ベランダ」だってことが確認できたんでいいんですが、実際のところ、その空間をみなさんはどのように使っていますか。
デビュー前の86年から5年半住んでいたマンションのベランダは部屋のわりにはやや広めだったので、過ごしやすい時期はベランダに遠足用のシートを敷いてベタっと座って、夜な夜なひとり酒飲んでました。夏の夜なんかはお尻の下のコンクリートがヒンヤリしてね、今思えばなかなかのクールビスですよ。景色もなんにもないんですけど、外ってだけでなんとなくイイ感じでした。ある晩、気持ち良く飲んでいい気分だったんでしょうね、ベランダで朝まで寝ちゃいましてね。起きてしょんぼりしましたよ、“自分ちで外泊”ですからね。それ以来やめました、ベランダ飲み。
92年からパリ移住前まで住んでいた家のベランダはあまり広くなかったんですが、イルミネイションとかライトアップとか流行りはじめた頃には、いろんなパターンで点滅するライト買ってきて、ベランダの手すりにそってコード巻き付けて時々灯けたりしてましたが、家の中からだとあんまり面白くないんですよね。ってゆうかず〜っとベランダ見つめるわけでもありませんし。
パリで住んでいたアパルトマンにも幅は狭いが横に長〜いベランダがあり、温かい季節の夕食前はベランダにイス出してビールを飲んで、よく窓を開けて手をふってくれる向いのマダムに手をふりかえしたりしていたものですが、いかんせん5階だったもんですから、高い所があまり得意ではない私にはビール1本15分が限度。正直いって“くつろぐ”にはほどとおいシチュエイションでした。
帰国してから住んでいる家にもベランダはありますが、エアコンの室外機があることもあり、カッコイイ活用法を思いつかぬままなんとなく忙しいフリをしています。別に広くなくてもいいんですが、やはり天気のいい日にちょっとベランダに出ると“あぁ〜気持ちいいなぁ〜”そんなプチ癒し系の場所・空間があると理想なんですけどね。
そんなこんなの11月22日。STVラジオの収録で8年ぶりに訪れた函館でみつけました、理想のベランダ。そこは『湯の川プリンスホテル 渚亭』。客室露天風呂があるときいて期待でおっぱいFカップ(*1)なイメージでやってきた私、部屋にとおされると、おぁぁぁ、これがそれだぁ!ベランダがなんと丸ごと岩風呂になっているではあ〜りませんかぁ。しかも目の前はどかぁ〜んと津軽海峡。うぅぅむ、期待どおり、いや期待以上の展開にエスエスエスエスSカップ!(*2)みたいなそんな状態です。
まずはさっそく客室露天風呂。空をほんのりルビーに染めながら函館山の向こうにゆっくり陽が沈んでゆきます。そして浴衣を着て部屋での夕食。道南産の海の幸を中心とした繊細な一品一品に舌鼓を打ち、あわせて道産・余市ワインをゆっくり堪能した後は、浴衣を脱いでそのままじゃぶんと客室露天風呂。遠くにイカ釣漁船の漁り火がゆらめきます。ゲーセン行ってカラオケやって、あげくの果てにラーメン食って、寝る前にもう1回じゃぶんと客室露天風呂。潮の香りと硫黄の匂いがブレンドされた波音が心地よくしみています。翌朝起きて、あぁ〜また飲み過ぎちゃったと客室露天風呂。今朝は天気がよく海のむこうに下北半島が見えました。こんなかんじで1泊2日4露天風呂。その気になりゃ1−2−7だって、2−3−12だってなんだってOKです。だってガラって開けたらそこが露天風呂なんですから。
この客室露天風呂、私だけでなく、忙しく働く多くの日本人にとっての“理想のベランダ”のあるひとつのカタチといえるでしょう。しかし、メンテナンス、維持費など、ふと現実的なことを考えてしまうと、やはりそれは“夢のベランダ”なのでしょう。でもね、ここに来てここに泊まりゃぁいいんですから、それは条件さえ揃えば充分に手の届く“夢のベランダ”なのです。
いろいろお世話になったから宣伝するわけでもなんでもなく、いやぁ〜、これはねぇ、ホントいいとこに泊めていただきました。みなさんにも本気でおすすめします。「露天風呂は大好きだけど、どうしても人目が気になって・・」という有名女性芸能人の方なんかにはそれこそ“もってこい”でしょう。JR函館駅から車で15分、空港からならたったの5分。休暇が取れないとしても、出張時の宿泊先としても便利な立地です。函館にいらっしゃる際は是非どうぞ。
(*1) 期待に胸が大きく膨らんでいる、という段階的表現のひとつ。
(*2) 流れ上そうなっただけで別に意味はない。
2005/11/25
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