No.417
『靭のハミング』
さぁ、発表になりました。スターダスト☆レビューの皆さんと馬場俊英くん、そして私の3組によるコラボレーション作品『靭のハミング』が、9月11日(水)にCD+DVDで発売になります。「靭」は「うつぼ」と読んでください。今回は、これについていろいろと事前解説してみたいと思います。
そもそもは2011年から始まったライブイベント【靭公園 MUSIC FESTA FM COCOLO 〜風のハミング〜】というのがありまして、3回目の今年は9月14日(土)、過去2回と同様に、大阪の靭公園・センターコートで行われます。FM COCOLO主催ということで、当局で番組をやらせていただいている私と根本要さんってゆうかスターダスト☆レビュー、そして馬場俊英くんが中心になって、その他複数のアーティストによる、アコースティックなコラボレーションを展開しまくるというライブです。テニスコートと言っても、ちゃんとしたスタジアムで、キャパシティは6,000人を越えます。が、客席がセンターステージを囲む形になっていますので、6,000人と言っても、1,500人のホールが4方向にあると解釈でき、そういう意味では、キャパシティのわりに後ろのほうの席の方もそんなに距離を感じない、というとてもステキな空間です。
しかも、そんな会場が街の真ん中に存在する、というのはライブイベントとしてはあまり例のないことだと言えるでしょう。騒音を考慮してアコースティックという縛りはあるものの、これは靭公園周辺の住民の皆さん、商店の皆さんの理解と協力の上に初めて成り立つことで、それは演奏者にとってとてもありがたい環境ですし、観にきていただくお客様にとっても、イベント終了後、近隣のカフェやレストランで食事やお酒などを楽しめるというのも、とてもよろしいのではないかと考えます。
3回目の今年の出演者はスターダスト☆レビュー、馬場俊英くん、私、そして佐藤竹善さんという、いろんなタイプのコラボレーションをいろいろ演れるラインナップですから、楽しみでしょうがないでしょう。
で、レギュラー番組【KANと要のWabi-Sabiナイト】の収録時に、プロデューサーの塚越くんから「今年はイベントのテーマソングを作ってほしい」という依頼がありました。要さんは「まぁ、曲はKANちゃんが作るとして、問題はそのあとなんだよなぁ・・・」と言います。そう、問題はそのあとのことなのは確かにそうなんですが、ちょっと待ってくださいよ。「曲はKANちゃんが作るとして」って、そう簡単に言い放つのはどうでしょう。と言ってみると「だいじょぶ、できるよ。みんなで作ろうったって気ぃ遣い合うだけだからさ。作るべき人がひとりで作ったほうがいいんだって、こういうのは、ね。はい、満場一致」・・・ですって。満場一致って・・・、要さんが決めつけてるだけじゃないですか、なんてことを言う気もあまり起きなかったもんですから、まぁ、作りますよ。どっちかっていうとそういうの好きですから。・・・というのが、3月か4月のことだったと思います。
で、“問題はそのあと”の件ですが、そう、そこも問題なんです。作ったはいいけど、イベントに来てくださった皆さんに楽しんでいただくだけで終わっちゃう、ってのちょっとさみしいじゃないですか。1999年の【Pacific Heaven Club Band】と時に作ったオリジナルテーマ曲は、当時の各アーティストのファンクラブで販売したLIVE VIDEOでしか見ることができませんし、2010年の【星屑の隙間に木村基博】の時に作った『オリジナル』というタイトルのオリジナル曲は、そのライブを観ていただいた方々の記憶の中にしか存在しないのです。せっかく作るんだったら、この状況は避けたい。イベントを観なくても、その楽曲を聴きたいと思ってくださる方には、当然お聴きいただきたいわけですから、つまり、発売を前提として曲作りに臨みたいのです。言い換えれば、この歳になって先の見えないおつきあいをするつもりはありませんの。結婚を前提としてのおつきあいを・・・、みたいなことですかね。
というわけで春から、過去2回のイベントを思い起こしながら、どのような曲を作るべきかイメージします。過去に靭公園でのライブイベントを観ていただけた皆さまが、「そうそう、この感じ」とお楽しみいただけるものにするのは当然ですし、また、今年初めてこのイベントを観ようと思っていただいている方々の期待を充分に増幅させるものでもあるべきです。そして、イベントを観た観る観ないは別として、単に音楽作品として“良い曲”でなければならないのです。・・・んんん、考えれば考えるほど、こりゃまいったなぁ、という感じになってはきますが、まぁ、最終的にはスタレビュ・KAN・馬場くんという3組名義での作品ですから、そのぶん精神的には責任が分担されますから、自分自身の作品を作ることに比べると、意外とやれそうです。・・・って感じで、作り進んでいた頃、制作をひとりで請け負っている私に申し訳ないと思ったらしい馬場くんから、「ぼくも何か協力したいんですけど」という話をいただきましたが、その頃には作品全体のイメージがかたまりつつある状態だったので、丁重にお断りして、単独でデモ音源を作成しました。
で、どのような曲かというのを、あえて文章だけで表現してみますと、この曲は“2元構成”になっています。“2部構成”ではなく“2元構成”です。ひとつは、ライブが行われるテニススタジアムの外、公園を歩く二人の男女。この男女がどのような関係で、どのような気持ちでそこを歩いているのかについては、これから曲をお聴きいただく方それぞれの解釈にまかせます。私には作者としてのイメージがハッキリとありますが、それを書いてしまうと、聴き手のイメージの広がりに制限を加えることになりますので書きませんよ。
で、もうひとつはスタジアムの中の“ライブ”。このスタジアムの外と中での2元構成というわけです。
音楽的には、奇しくも来日が発表になったPaul McCartneyさんのWINGS時代の『Band On The Run』的な、でも前半部分は秦基博テイストで。なんでここで秦くんなのか、ってのもありますが、今年前半は秦くんのアルバムをよく聴いていたので、なんとなく伝染っちゃったんでしょうかね。途中一瞬だけ秦くんの『言ノ葉』に似たメロディがありますが、時期的に私のほうが先に作ってたと思うんで、だいじょぶです。そして、馬場くんのパートは馬場くんらしさを勝手に必要以上にデフォルメしたイメージ。デモ音源を聴いた馬場くんは「森進一さん本人よりも、森進一さんのモノマネの印象のほうが強くなっちゃった、みたいな」と言ってましたが、それはまったくそのとおり。理解の早い人ですね。
で、根本要さんですが、私と馬場くんは声の音域的にほぼ同じくらいか、馬場くんがちょっと高いかなくらいですが、要さんは男性ボーカルとしては常軌を逸した高い地声を出す方ですから、それをふまえた上でおいしいところをちゃんと作らなければなりません。そんな音域の差をうまく1曲の中でいかにやりくりするか、ここで“転調”という技が必要となるわけです。ま、そういう意味では、へたなアイドルちゃんと同じくらいの音域の中で、長年にわたり自身の多くの楽曲を作ってきた私だからこそ、自然に習得したある意味・逆に・ある反面、“得意技”でもありますから、それなりにアタマをヒネリながらうまいことまとめました。
こうしていっくら文章で書いたところで、聴かないことにはわかんないですよね。はい、それはわかってます。私は一生懸命作ったんですよ、ということを書いて、ほめてほしいだけです。
で、このあとレコーディングをやりまして、それが滞りなく行ったら、早ければ8月3日(土)18:00からのFM COCOLO【KANと要のWabi-Sabiナイト】でOAできると思いますし、FM COCOLOの他の番組でも、なにかとかけていただけると思います。
っつったって、大阪じゃないから聴けないよ。とお嘆きの皆さま、だからこそ発売を前提としての作品であるわけなのです。9月11日(水)を待って、是非お聴きいただけることを強く希望します。
カッペリングは過去2回のこのイベントでエンディングテーマになった、ってゆうか無理矢理そうしたドボルザークの『新世界より』より、日本では通称『家路』で知られているあの曲を私なりに編曲して、スタレビュ・馬場くんと私の計8人によるアカペラ・ハミングで録音します。
初回盤にはCDの他に、レコーディングドキュメンタリーのDVDが付きますから、今からなに着てスタジオに行こっかなぁ〜♡って考えてます、ふふっ。そして、初回盤には購入者特典というものがあります。っつたって大阪に住んでないし、と再びフテクサレている皆さま、決してそれだけではないことがあるかもしれませんよ。8月5日(月)頃には、なんらかの発表があると思いますので、今後の情報に充分注意してください。
これだけ書いときゃ、なんかわかんないけど買って聴いてみようって気になっていただけたでしょうかね。なにしろ、お聴きいただきたいですし、9月14日のイベントに行こうかどうしようか迷ってらっしゃる方々には、数々のコラボレーションが展開されるこのイベントを、どうやったって観に来る決断をする時ではないかと思います。
はぁ〜、なんか久しぶりに、長い宣伝したなぁ。
ってゆうか、これ・・・、心霊写真じゃないよね・・・
2013/07/19
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