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Friday Column

No.391

『どげんもこげんもなか! 宮崎』

今回は宮崎の話です。話っつっても、私の場合は案の定、何食べたかってことに終始しますけどね。09年の4月にイベントに呼んでいただき、アイザックスターンホールで数曲演奏しましたが、単独公演では、92年以来ですから実に21年ぶりの宮崎に、前乗り含めて2泊。いろんなものを食べました。

いやぁ、宮崎はすごいっすよ、いろんな意味で。なにがすごいって、空港到着時。私はそういう意味ではJALカードのある程度高い位置にあるステイタスのカスタマーなので、預けた荷物は優先的に出していただけるんですが、ここ宮崎空港はちょっと違いました。私の荷物の前にまず出てきたのは“宮崎牛”それもかるく30kgはあろうかという塊。“日本一2連覇”だそうです。と、続いて出てきたのはこれまた巨大な“ピーマン”。これもなんらかの日本一的なことが書かれてありました。そんなインパクトの後に出てきた私のトランクなんて、ただの箱に見えましたよ。


うわぁぁぁぁっ
 

えぇぇぇぇぇぇ

さて、宮崎と言えばとりあえずは“釜揚げうどん”でしょう。92年と09年の初日は【重乃井】さんで食し、その翌日は【第二江戸屋】と【岩見・青島店】に行ったってことで、今回は【辰吉】というお店。釜揚げうどんにばら寿司もいただきました。予定どおりに、たいへんおいしゅうございました。


【辰吉】さんの釜揚げうどんとばら寿司

老舗【重乃井】さんは、有名人やスポーツ選手のサイン色紙が店内の壁中にびっしり飾られていましたが、ここ【辰吉】さんはまだほんの数枚。見てみると山崎まさよしくんの色紙があり、そこにはなんともステキな名言が残されていました。


うどんありがとう

そういう意味でいくと、また別の意味ですごい色紙をホテルのロビーで発見しましたよ。


マジすか・・・ (*)

さて、気を取り直して、夜は宮崎地鶏の炭火焼きも食べてみましたが、んんん、どぉなんでしょう・・・。宮崎では、親鳥のゴリゴリっと抵抗のある食感を期待していたんですが、ここのはどうやら若鶏のようで、ふつうに柔らかかったです。それはまぁ良いとしても、・・ってゆうか、塩ふりすぎです。あまりの塩っ辛さに“つまみ”としてもどげんもこげんもならん一品でした。んんん、残念。


残念鶏

というわけであまり食べてなく、ホテルに帰ったらやっぱりお腹がすいてたので、ラーメンを食べることにしました。土曜日の橘通は遅くまで多くの人で賑わっています。ラーメン店を数店見つけましたが、どれもなんだか最近っぽくてイマイチ入ってみる気がしません。そんな時、路地を入ったところに昭和な佇まいのお店を発見。【こぐま】と言いますから、もしかして札幌ラーメンでしょうか。わざわざ宮崎であえて札幌ラーメンを食べる、ということになぜか優越感のようなものを感じてしまうタイプなもんですから、入ってみました。メニューを見てまず眼に飛び込んできたのは“牛乳ラーメン”。はい、これでしょう、どう考えても。なんでしょうかねぇ。もうラーメンも正直食べ飽きてるというか、どんなラーメン食べてもみんな同じに感じてしまう域にとっくに達しちゃってる私ですから、こういう珍しいのを見つけると、迷わずにそれにします。「牛乳ラーメンください」と明るく言うと、おかみさんはやや引き気味でしたが、それはそれは、見た目とは裏腹に、何の違和感もなくサラッとイケる、完成度の高い一杯でした。おいしゅうございました。


【こぐま】の牛乳ラーメン

1月6日(日)、21年ぶりの宮崎単独公演は楽しく終了。その夜は小料理屋さんで、チキン南蛮のタルタル抜き、穴子の炭火焼などをいただき、その後はやはりシメに釜揚げうどんでしょう、ということで再び橘通を徘徊。昨日のひとごみはどこへやら、日曜の夜はあれっ?ってくらい閑散としてます。釜揚げうどんの老舗【織田巻】も【戸隠本店】も日曜は閉店で、さてどうするか、とうろついていたら“飲食店案内所”というのを見つけました。


飲食店無料案内所 夢link

“風俗店案内所”だったら、いろんな歓楽街で見たことがありますが、そのような見た目で“飲食店案内所”というのは初めてなもんで、訊ねてみましたが、やはり、日曜のこの時間に釜揚げうどんをいただけるお店はないようで、「じゃぁ、ラーメン」と言うと、ハードなメイクのお嬢さんがわざわざ通りまで出てくれて、近くのラーメン屋さんを案内してくれました。



深夜の食欲を煽る赤い提灯がステキなお店ですが、覗いてみたらどうやらいっぱいのようです。じゃぁ、食券買って待ってますか、と入口手前の券売機を見てみます。



辛さかないにかに段階があるのでしょうか。「じゃぁオレは、3階防火戸にエレベーターシャフトをトッピングしちゃおうかなぁ」「ちがぁぁぁ〜〜う!」ということで、なんかわかんないけど、別の店にしましょう、ということになりました。

と、そんな時に限ってそうゆう店に出くわしちゃうんだよなぁ、と出くわしたのが“激辛麺専門店”。いっぱい歩いて探しましたがもう選択肢は他にありません。ということで激辛屋【桝元】さんに突入。

メニューを開いたとたん、うわぁぁぁ〜、と声がもれる真っ赤な写真のオンパレード。ここの基本はそば粉入りの“こんにゃく麺”。韓国の温麺・冷麺みたいなものでしょう。好みによってうどん・中華麺にもかえられるそうですが、いやしかし、ここは“こんにゃく麺”でいきましょう。でもって、辛さは、小辛1/中辛3/大辛5/特辛8/激辛15/スーパー激辛25とあり、まぁ、私ももう50ちゃいですから、大辛8くらいが限度でしょう。と思っていましたが、マネージャー・平川くんは中辛3、で、流れ的に大辛5に行くだろうと思っていたBEAの中村さんは、「じゃぁ、ぼくは特辛8で」と言ったので、・・・ってことは、オレは・・? へんなところで急に九州男児な私は、“より辛いのを食べたほうがエラい”という福岡的な発想で激辛15を注文してしまいました。果たしてやってきたそれは、いやぁ、もう、見るからに。


辛麺屋【桝元】の激辛15!

こんにゃく麺の上に卵でとじたニラ、その上に大量の唐辛子がぶっかかりやがってます。写真からも充分御想像いただけると思いますが、それはそれはもう、スゴイですよ。どげんもこげんもなか!とはこのことです、えぇ。はぁぁぁ、なんども天を仰ぎながらもなんとか完食。もちろんスープは残しますけどね。いや、でも、ちゃんとおいしかったと思います。こんにゃく麺の食感もよかったですし、容赦なく入ってたニンニク片も、こうなりゃ逆にうれしいものです。せっかくだったらスーパー激辛25行っといたほうが、もっと威張れたんでしょうけどね。

店を出た3人は、「いやぁ〜、なんだったんでしょうねぇ」と、ここ数日の疲れがどっと一気にでちゃった感じ。いや、でも、がんばったよね。ちゃんといろいろ探したし、案内所のお嬢さんもがんばってくれた。ね。日曜だからしょうがないよ。だからこれでいいんだよ。と、意味もなく慰めあいながらホテルに戻りました。

では、最後にもう一品。宮崎空港のレストランに、昭和37年のターミナルビル完成から50年間、変わらぬレシピで作られる“ガンジスカレー”というものがある、というのを事前にインターネットで発見していた私は、帰京便搭乗前にそれを食べることを決めていました。

空港ビル3階のレストラン【コスモス】に入り、メニューを開きますが、ビーフカレー、黒豚カツカレーはあるものの、“ガンジスカレー”という表記は見当たりません。そんなはずはないと、店員さんに「このビーフカレーがガンジスカレーなんですか?」と聞いてみると、「いえ、それは違いますけど、御希望であればガンジスカレーもできますし、カツカレーにはガンジスのルウがかかってるんですよ」とのことでしたので、じゃぁ、とガンジスカレーを注文しました。


噂の“ガンジスカレー”

いやぁ、これは・・・、うまい、うまいじゃないですか、えぇ、とてもうまい。まろやかで深みがあり、時間が経ってじわじわと来る辛さもたいへんに上品なのです。後で調べてみると、主な具材は、ひき肉・玉ねぎ・マッシュルーム。隠し味にピーナツバターが使われているようです。この味が昭和37年に完成されていたと思うと、さらに味わい深く感じます。

これは私の推測ですが、昭和37年のターミナルビル完成時に【ウィング】というお店で“ガンジスカレー”が出されていて、その後、ターミナルビルが新しくなった時に【コスモス】ができ、ここがメイン的なレストランになり、いやしかし、“ガンジスカレー”はあくまで、現在に2階にある軽食スタンド【ウィング】のもので、しかし、それを食べたいと思って宮崎空港にやって来たお客さんが【コスモス】に入ったら“ガンジスカレー”がない、ってのも、それはちがうでしょう。となって、あくまで“ガンジス”発祥の【ウィング】の存在を尊重しながらも、【コスモス】でも食べれるのは食べれますよ。というようにしたのではないかと思います。だとすると、とても繊細な配慮でステキだと思います。

どうあれ、たいへんおいしゅうございました。オスメスです。・・・じゃなくてオススメです。

はぁい、というわけで、21年ぶりの宮崎公演、そして長崎・福岡公演と観にきていただけた皆さま、ありがとうございました。福岡では、まさかのダブル・サプライズとして、スキマスイッチのシンタくん・大橋くんが登場してくれました。それはそれは楽しかったですし、たった1曲のためだけに、ああしようこうしよう、いや、でもここはやっぱり、と執拗にアイディアをぶつけ合うことに大きなやり甲斐を感じました。今後もなにかと絡みたい二人です。

【弾き語りばったり #17 もしもヒアノがぴけたなら】も残り3公演。今日1月18日(金)は19年半ぶり、の単独では初となる釧路公演です。くしろよろしく!

(*)5点目の写真は、このコラムの筆者により作為的に画像処理された可能性があります。

2013/01/18



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