No.261
『“ルッぴっぱ”を振りかぶって その3』
はい、すいません。この金曜コラムを毎週楽しみにしていただいている皆さまには、度重なる遅延アップ、申し訳ないです。でもそこをあえて申し訳るとすると、とくにここんとこの内容は、ちゃちゃっと書き流せるタイプのものではないですし、かといって別の話に逸らすってわけにもいかずに、時間かかっちゃってごめんなチャーリーズエンジェル。終わってもう3週間が経とうとする【芸能生活23周年記念逆特別 BAND LIVE TOUR 2010 ルックスだけでひっぱって】の振りかぶり、その3。今回は後半のシークレット・ゲスト登場部分について、解説していきます。しかしながらあくまでシークレットなゲストアーティストさんの写真はありませんということを予め御了承いただき、演奏曲表をときどき確認しながらお読みください。 【演奏曲表はコチラ】
初日・3月13日(土)と最終日・4月25日(日)の東京公演には、桜井和寿くんが登場してくれました。交通違反ハードロックナンバー『WHITE LINE』に続けて、私が「1、2、3、4!」とカウントを出し、『Oxanne』のイントロギターストロークをセンパイが奏でた直後、真っ赤な大きめのストールを巻いた桜井くんはピアノの上に颯爽と登場し、「Oxanne〜〜!」とBの高音を響き渡らせます。突然の登場にお客さんはいったい何が起っているのかわからぬまま悲鳴にも似た歓声があがり、それはパニックとも呼べる狂乱状態と化しました。いやぁぁぁ、予想はしてましたが、それ以上の興奮です。メインボーカルを桜井くんが、ハモリを私が歌唱しての『Oxanne』、選曲はごく自然に決まりました。98年に作った「オッパイパイパーイパパーイパーイパパイパイ」の4段階に積み上げるコーラス、リハ時に私が「どのパートやる?」と聞くと、「せっかくだったら一番長いパートを」ということで、一番下のパートを、そこにベース・西嶋さん、私、センパイと3度ずつ積み重なって、「オッパイパイ、オッパイパイ、オッパイパイ、うわぁぁぁぁぁ(清水)、ボイン!!」というキメからギターソロへと繋がる感じは極めて音楽的でした。そのまま勢いを止めずに私からのリクエスト曲、Mr.Childrenのロックンロールナンバー『everybody goes』傾れ込み、会場のヴォルテージは最高潮に達します。桜井くん自身によるギターソロはもちろんピアノの上で扇風機を当てながら、せっかくなのでサイズを倍にしました。このソロのために「風になびく衣装で」とリクエストしていた故の真っ赤なストールでしたが、ややサイズが大き過ぎたためか、初日はギター弾くのに邪魔になっちゃって邪魔になっちゃって、近藤くんの検討も虚しく、ストールはあまり風になびかなかったことが初日の唯一の反省点だったこともあり、最終日にはストールの巻き方・留め方、風の当て方などをリハーサルで入念に検証し、ストールは見事“仮面ライダー”風に劇画タッチではためき、ソロを終えた桜井くんはピアノの上からのジャンプも披露したのでした。曲を締めたと思えば桜井くんはサァーッと下手に消えていきました。狂乱の余韻に便乗しながら『愛は勝つ』へと進みます。ここで話が飛びますが、ゲスト登場部分をまとめて書いたほうが良いかと思います。
本編が一応終了し前列に並んで礼をした後、メンバー5人でステージ下手にハケたと思えば上手から登場するという“イリュージョン”の後は、再び桜井くんを、今度はちゃんと呼び込んでトークします。そして、06年のイベント【LuckyRaccoonNight】のために共作した“パイロットとスチュワーデス”の唯一のオリジナル曲『弾かな語り』。楽器演奏は一切ない、ふたりだけのアカペラ曲なもんですから、その緊張感はぶり高千里です。そして、桜井くんは退場。完全にやりきってくれました。いやぁ、しかしその存在感、歌のパワーは圧巻でした。ありがとうございました。
3月14日(日)の東京公演2日目はaikoさん。アコースティックセットでの『Day By Day』終了後、再び“男子!女子!”のコール&レスポンシビリティ。「男子!女子!メガネ!コンタクト!裸眼!」との基本フォーマットの流れで、「あいこ!」と叫んでみると、「ハイ!」ってふたりくらいいらっしましたね。一部のお客さまは「なに?なに?そういうこと?」と思ったことでしょうが、「そんな名前の人、ひとりくらいいるかなぁと思ってね」としらばっくれておいて、もう一度「男子!女子!メガネ!コンタクト!裸眼!」の基本からコール&レスポンシビリティして、次に「aiko!」と私が叫んだ直後、「ハ〜イ!」とピアノの上に本物のaikoさんが登場して、きゃぁぁぁぁぁぁ〜!というわけで、すぐさま『8 days A week』のイントロへ。
aikoさんは選曲に悩みに悩んでくれたようで、この『8 days A week』が出てきた時は意外でしたが、イメージしてみると「うん、アリかも、イイかも」と思いました。スティービー・ワンダー作品をイメージした曲ですが、その歌の節回し・こぶし・フェイクまで、私のオリジナルを完コピ精神で歌ってくれたのはうれしかったですね。それでいて気がつきゃすっかりaiko作品になっちゃってたってのはメンバーもみんな驚きましたよ。私の曲もaikoさんの曲もあまり知らずに友達に連れてこられた方なんかは、自然にaikoさんの曲だと思ったことでしょう。
で、もう1曲。出演依頼のお話をした当初aikoさんは、「KANさんのライブに出してもらって自分の歌うたうなんて、そんなめっそうもない・・」と言っていましたが、「いやいや、是非aikoさんの歌もうたってください。だってそうでしょう」とお願いして、aikoさんは再び悩みに悩みまくったあげくの数週間後、「じゃぁ、“えりあし”を」と選曲してくれました。イイ曲です。間奏がビートルズテイストになるところもグッと来ます。当のaikoさんは、「吐きそう・・」というくらい緊張したと言ってましたが、いやぁぁぁぁ、素晴らしい歌唱でした。
本編終り・イリュージョン後、再び呼び込んでトーク。ここでは本家本元の元祖のオリジナルの“男子!女子!”をaikoさんにやっていただきました。いやぁぁぁ、すごいね。aikoさんのコンサートは何度も観せていただいて頭ではわかっていましたが、なんと言うんでしょうか、ホントにほんの10分で会場全体がお客さんみんなが友達同士になっちゃう、みたいな、それは技術なのか人間性なのか、その両方でしょうけど、「はぁぁぁぁ、そうやるんだぁ」と真に感心しました。その後の私の“男子!女子!”はこの日のaikoさんのそれを目指してやるようにしましたが、いやぁ、なかなかそう上手くはいかんですね。それは技術なのか人間性なのか、その両方でしょうけど。
で、aikoさんにもう1曲うたっていただきます。やはり悩みに悩んだあげくの選曲は私の『今度君に会ったら』です。大阪のテレビ番組で2人でセッションした以来11年ぶり、今度はバンドで演奏しました。これもまたスティービーワンダー作品をイメージした曲ですが、『8 days A week』同様、私の節回し・こぶし・フェイクまで完コピ精神で歌い、それでいて気がつきゃすっかりaikoさんの曲みたいになっちゃってる、ってのはすごいですね。その声・ボーカルスタイルの比類なき個性を再確認しました。ギターのセンパイはリハーサルの時点でもうすっかりaikoさんのファンになってしまったようですし、キーボードーの矢代さんもすごく感動していた、ということを私に直接は言いませんでしたが、後で人づてに聞きました。ありがとうございました。
3月19日(金)の大阪公演と27日(土)の名古屋公演には、山崎まさよしくんが登場してくれました。事前の打ち合せと称した飲み会の時に、「後半の盛りかがってるところにイェ〜イ!って出てくのは無理っすわぁ。もっと“ゆるっと”なにげなく出たいっすねぇ」ということになり、ならばと私は考えました。アコースティックセットでの『Day By Day』終了後、暗点になってスタッフがセッティングを換える、との時に、山崎くんが“ゆるっと”フェイドインします。ジーンズにTシャツというナチュラルスタイルの山崎くんは、スタッフにまぎれながらまず清水さんのカホーンをそでにハケ、西嶋さんのマイクをハケ、モニターの向きを変え、自分のマイクをセッティングして、ギターを持って椅子に座り、あくまでスタッフがアコギのチェックをするようなニュアンスでギターを弾き始め、チェックのわりにはなんかエラく上手くねぇ?なニュアンスを醸し出しながら、ここで譜面台の小さなランプを点灯。前列のお客さまが「え?誰?もしかして」とざわつき始めたころに、山崎くんは『カレーライス』のイントロをアコギで奏で、これに合わせて“ゆるっと”スポットライトがあたり、きやぁぁぁぁぁぁぁぁ、というわけです。この選曲は私から、あからさまに山崎くんっぽく歌ってほしいと、モノマネしながらお願いしました。えぇ、イイ曲です。もともとそうだとは自分でもうすうす感づいてはいましたが、山崎くんに歌ってもらうことで、それを確信させてもらいました。
で、もう1曲はどうしようか、なんらかのセッション的なところから曲に流れるか、と打ち合せやリハで試してみて、結局『月明かりに照らされて』に決定しました。イントロに入る前にボトルネックのギタープレイを聴かせ、そこから徐々にセッション的になり、でイントロに入り、アコギをじゃきじゃきストロークしながらブルースハープをぶりぶり吹き鳴らす、うん、それがいいでしょう、やっぱり、ってことで、たいへんにカッチョイイ演奏になりました。
イリュージョン後の再登場時は、これも私からのリクエストで『One more time, one more chance』を。えぇ、この曲はねぇ、沁みるんですよ、ホント。山崎くんが来る前のリハで、私たちはまずCD音源をコピー演奏して備え、それをどういうアレンジに変えて行くかは山崎くんが来てから決めましょう、ということにしていましたが、ドラム・ベースとの3人編成でツアーをやることが多い山崎くんは、リハに来て私たちの演奏を聴いたとき、「うわぁぁぁ、めちゃくくちゃ懐かしいっすわぁ、このアレンジ。いやぁぁぁ、久々このまんまでやりましょう。」ということになり、センパイのギターの音色、矢代さんのシンセの音色も含めて、あえてバッチリCDどおりに再現してみました。後半のサビメロのリフレインもたまりません。「桜木町で〜〜」のくだりから「横浜駅で、大倉山で、武蔵小杉で、自由が丘で〜〜」と東横線を上って行き、中目黒で日比谷線に乗り入れて「ドコドン、恵比寿、スレプリー!」に戻る、というアイディアも出たには出たんですが、いろいろ試してみることなく即時却下になりました。
とういうわけで今週はここまで。昨日15日は大阪城音楽堂でのイベントライブでアオザイを着て演奏してきました。観に来てくださった皆さま、ありがとうございました。そんな私は金沢行きのサンダーバード21号、ナウ。
2010/05/16
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