No.221
『問題は歌詞です』
さて、8月ですが、皆さまいかがお過ごしデスカー・ピーターソン。はい、こういう入り方のときは、そうです、書くことないんですよ、これといって。最近の私は何をしてるかと言うと、LIVE DVD【じゃぁ、スイスの首都は?】の最終段階の諸作業、【弾き語りばったり #11】に向けての個人練習。で、毎週の札幌STV、それからinter FMの収録、とそんな中で次作アルバムの曲づくりです。
そう、曲づくりですよ、最も重要なのは、はい。脳みそはすっかり“創作モード”になってはいるんですが、あいかわらず問題は歌詞、それだけだと言っても過言の滝でも華厳の滝でもジュゴンのワキでもありません。私の知る多くのアーティストも同じように悩んでいます。でも、みんなちゃんと良い作品出してますからエライですね。私も“さすが”といわれる作品を出さなければなりません。であるからこそ、問題は歌詞なのです。
先週からの東京は雨の日が多く、ちょっとたすかってます。考えてみれば最近は雨のほうがいい、なんて思うようになってきてます。気温が上がらないからクーラーつけなくて我慢できますしね。朝起きたとき雨降ってたら、お、今日は走んなくていい、と思えるからかもしれませんけど。ま、降っても晴れても、問題は歌詞です。
テレビがぶっ壊れて、音は出るものの画が映んなくなりまして。もうこの期におよんでテレビなんかかくてもいいか、とは思ったものの一応修理屋さんに来てもらったら、御丁寧に代替えのテレビ置いてってくれましてね。そんな代替えテレビで『音楽寅さん』をなんとなく見てたら、スゴイことやってました。日本文学に桑田圭祐さんが曲をつけて演奏するという企画。これはすごかった。昨今の民放でこれほど内容の濃い番組見れるとは思っていなかったのでビックラコキコキ古今和歌集でした。さすが桑田さん、恐るべき才能です。ってことでちゃっかりテレビ見ちゃってる私ですが、だからと言って「じゃ、オレも」と日本文学に曲つけてアルバム、ってわけにもいかないですし。そもそも日本文学というものを読んだことすらとないんですから。即席でそんなことできっこありません。だからやっぱり、問題は歌詞です。
なんか他に書くことねぇかなぁと考えながら、夕暮れのカフェでコレ書いてますが、となりのとなりのテーブルにやってきた今どきの大学生風の男の子ふたり、メニューを見ながら「ハイネケン、850円」「たけぇ!」「あ、ごめん650円だ」「ちょい高じゃん」なんてこと言ってます。そういや、ビールがいくらかなんて気にしたことない私は優雅な身分です。レストランでのワインやシャンパンは一応値段気にしますけどね。「ほぉ、この店、良心的なお値段ですね」とか「えぇぇぇぇぇ。これでこんなにとるんだ」とかね。どうあれ、問題は歌詞です。
そんな問題の歌詞については“書くことない”わけではないんですよ。書きたいこと、言いたいことはあります。えぇ、けっこうあります。しかし、それをメロディに乗せて、歌として成立させ得るかが問題なのです。そう、“メロディに言葉を乗せる”これが最も困難なことなのです。「じゃぁ、メロディがなきゃいいんじゃん」、と思い立って作ったのが2001年のラップ作品『東京熱帯SQUEEZE』、アルバム【Gleam & Squeeze】に入ってます。あれはあれでかなり気に入っていますが、だからと言ってラップだったらホイホイ作れると思ったら大間違いです。メロディ無しで聴く人を感動させられるか、と考えるとそれはとてつもなく高度なワザです。そういう意味でもKREVAさんはとんでもなくスゴイです。だからラップ作品もまた作りたいんですけど、やはりここでも、問題は歌詞です。
とそろそろこのへんで今週はお開きにしようと思っていた4日(火)、とんでもないものを観てしまいました。【Boyz II Men】のパシフィコ横浜・国立大ホールでのコンサート。昼間個人練習してたスタジオにチラシがあって、New York Symphonic Ensembleとの共演ってことで、「お、これは観てぇなぁ」と思ったら日付け見たら、うわっ、今日じゃないですか。電話してみたら当日券ありってことで行きました。いやぁぁ、まいった、スゴスギ。2階の後ろのほうの席でしたが、完全にやられました。こういうの観ちゃうと「これじゃ、オレなにやったってダメじゃん」って、しょげかえっちゃうんですよね。もう、なんつったって歌がスゴスギてね、総勢30人強のオーケストラが“伴奏の皆さん”に見えてしまうくらいですよ。ひゃぁぁぁぁ、まいった。
と、打ちひしがれててもしょうがないので、ことあるごとにイチから出直しますってことで、翌日も朝から個人練習。つけめん食べて、午後からはデモ録音に励む私です。なにがどうころんでも問題は歌詞だということに変わりはありません。
余談ですが、国立大ホールの2階席に入るドアのところでアーティストのAIさんとすれちがったので、「こんばんは」と声をかけたら、「あ、いえ、あの・・」と言うので、あれ?認識されてねぇかと思い「あの、KANです」と言うと、「はい、それはわかるんですけど・・」と困っているので、「AIさんですよね」と確認すると、「いえ、違うんです、似てるってよく言われるだけで、違うんです、ごめんなさい」って。「うぇぇぇぇぇ! ホントに、いやぁ、これは失礼しました。ごめんなさいね。だけど似過ぎですよ、ホント」なんてことがありました。似過ぎどころかファッションも帽子も、どこからどう見てもAIさんでした、ホントに。しかも【Boyz II Men】のコンサートですから、AIさんだと思いますよ、誰だって。
とそんな珍事もありながら今週はこのへんでお開きとさせていただきます。 あ、【ばったり#11】札幌追加公演と、大阪府貝塚市での公演が発表になりました。周辺の皆さん、よろしくお願い島津製作所。
2009/08/07
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