No.214
『すっかりコンサートづいている京子の吾郎』
バンドツアー終了後の4月・5月は、ここ数年では久しぶりにゆったりした時期で,いろんなことに追われることなく、自分のための作品づくりについて考える時間がたっぷりありました。だからといってたくさん曲ができちゃった、というわけにはいかないところが人生の難しいところです。まぁ、作ってます、ホントに。と、時間がけっこうあったこともあって、5月・6月は多くのライブやコンサートを観に行きました。こんなに短い期間でいろいろ見たのは初めてかも知れません。というわけで今週は、最近見たコンサートの簡単な感想なんかを勝手に書いてみようと思います。
■5月2日(土) GUEEN 渋谷O-EAST
QUEENのコピーをやる“GUEEN/グイーン”というバンドがいるということはなんとなく知っていましたが、それが私の後輩だったとは知りませんでした。去年12月ある日、楽器メーカー【Roland】さんの取材を受けたときに、波多江さんという担当者が「ぼく中学・高校とKANの後輩なんです」ってことでいろいろ話しているうちに、当時の波多江くんを思い出しました。で、波多江くんは3月の私のバンドライブを見に来てくれて、そんでもって「ぼく、GUEENというバンドやってまして・・」と言うもんですから、ライブもやるってことで観に行ってきました渋谷O-EAST。やぁ、おもしろかったですよ。なんつたってあのQUEENの楽曲の数々を、クイーン・マニアの前で完コピ演奏するんですから。『ボヘミアン・ラプソディ』も完コピですよ。ただものではありません。複雑なコーラスワークの生演奏での再現には、たいへんに手の込んだワザを使っていました。フレディ・ハタ(波多江くん)は、曲によって前期・後期と衣裳・ヅラを差し替え、顔もパフォーマンスもフレディ・マーキュリーに入りきっていました。それでいて、妙にコビた感じの下手に出るMCとのバランスがたまらなくよかったです。
■5月3日(日) MEN’S 5 吉祥寺 Silver Elephant
日本で最も音楽的におもしろいバンドのひとつMEN’S 5のライブを観るのは、いつ以来でしょうか。7〜8年ぶり、いや、もっとかも知れません。とにかくすごく久しぶりのMEN’S 5。吉祥寺の小さなライブハウスはぎゅうぎゅう詰めでした。MEN’S 5の曲はほとんど知っていますが、初めて聴く曲も複数あり、なかでも、森進一さんの『おふくろさん』が歌詞問題で歌えなくなった時期に、「それならば」と作ったという『ママさん』は、いい意味でMEN’Sらしさ? が出ている、かなり素晴らしい楽曲でした。それにしても『へ〜コキましたね』は改めて素晴らしい作品だと思わされます。もう10年以上前、この曲が初めて演奏された吉祥寺【曼荼羅】でのライブを観ましたが、もうそん時はすごかったですよ。その完成度の高さにお客さんが笑って笑って、曲が進むつれて立っていられなくなったお客さんが次々と笑い崩れ、曲が終わる頃にはフロア全体のお客さんが腹を押さえてしゃがみ込んでいるという、ものすごい状態なりました。その光景は見ようによってはちょっとしたテロでした。話戻して、今回初めてSilver Elephantに入りましたが、ステージの後ろの上全面が斜めの鏡張りになっていて、ドラムやキーボードのプレイが左右逆ですが真上から見えたので、それもよかったです。
■5月5日(火) 国府弘子 昭和音楽大学 テアトロジーリオ
国府弘子さんはクラシック出身のジャズピアニスト。今回、昭和音楽大学の学生オーケストラと共演するってことで、昭和音大さんとは個人的にややつながりがあるもんですから、観に行ってみました。いやぁぁ、やっぱジャズやる人ってのは尊敬しますよ。あの感覚的で高度な技巧、私にはまったくないですからね。すごいです。学生のオーケストラも予想以上によかったです。プロのオーケストラと演奏する場合は、リハーサルだけでたいへんな経費がかかってしまいます。もちろんみなさん初見OKですから、短時間で譜面に書かれたとおりの演奏は可能なんですが、私たちこっち側の人間からすると「バンドってのはそういうんじゃないんだよなぁ」的なところがあったりもするもんでしょう。そういう意味でいくと、演奏技術的にはまだまだ未熟な学生さんでも、じっくり時間をかけてリハーサルを繰り返せば、同じステージで演奏する“バンド”としての意識の“かたまり”みたいなものが生まれてくるはずです。これがたいへんに重要だったりもするんですよね。そういったことも含めてたいへんに興味深いコンサートでした。
■5月9日(土) アンジェラ・アキ 千葉県文化会館
はい、アンジェラさんです。去年夏のJ-WAVEのイベントで、3曲だけですが初めてアンジェラさんの生演奏を観たときの衝撃は、自身の弾き語り演奏のあり方を根本的に考え直すキッカケとなりました。それ以来私は精神的にアンジェラさんの弟子に勝手になりました。そんなアンジェラさんのコンサートを初めてフルで観せていただきました。いやぁぁぁ、素晴らしい。なんつったって曲がいい、歌がスゴイ。そしてとってもチャーミング、これもたいへんに重要なことです。コンサートを観せていただいたことを含めていろんな意味でのお礼に、私の最も好きなシャンパーニュを献上し、たいへんによろこんでいただきました。最新アルバム『ANSWER』の内容も素晴らしく、私の中での【Album of the Year 2009】、現時点での最有力候補にあがっています。
■5月15日(金) Mr.Children 日本武道館
はい、Mr.Childrenさん、素晴らしかったです。終わった後のなんとなくの感想ですが、私が今まで観たMr.Childrenのコンサートで、いちばん好きな内容だったかもしれません。と思って、過去に私は何回Mr.Childrenのコンサートを観たのかと振り返ってみると、横浜スタジアム・真駒内アイスアリーナ・国立代々木第一体育館・横浜国際総合競技場・横浜アリーナ、そして今回の日本武道館と、イベントものを除いて計6回、すべて違う会場で観てきました。もちろん、毎回素晴らしかったんですよ。でも今回は特に楽しかったです。なんかこう、サッカー場で「いくよぉ〜っ!」って感じで、できるだけ遠くにボール蹴っ飛ばすみたいな、そんな感覚で演奏を楽しんでいるんでしょうか。スポーティな爽快感に満ちたステージでした。私の後ろの席の10代だと思われるお嬢さん2人が「やばい、もぉ〜、マジやばいよぉ」と連発していたのも、私の脳裏にとても爽やかに刻まれました。
■6月6日(土) 真野恵里菜 中野サンプラザ
はぁ〜い、真野恵里菜さん、満を持してのデビューコンサートです。初々しく古き良き清く正しい正統派アイドル感100%のとてもいいコンサートでした。また、演奏された9曲中8曲が私の作曲したものだったというのも、過去にない不思議な感じで楽しめました。ハロプロエッグの踊りも気に入りました。2階席から1階のお客さんの声援や動きを見ていると、初のソロコンサートということもあってか、いろんな人がそれぞれの個性的なアクションで応援していて、まだ画一同化されてないのがいい感じでした。これからも応援よろしくお願いします。
■6月16日(火) 山崎まさよし 神奈川県民ホール
山崎くんに会うのはいつ以来でしょう、たぶん8年ぶりくらいじゃないかと思いますし、コンサートを見るのは山崎くんがデビューした翌年くらいの札幌ペニーレーン以来なので10数年ぶりです。いやぁ、これまた素晴らしかった。ギターが身体に貼り付いてます。身体の芯からミュージシャンです。江川ゲンタさんも中村キタローさんもさすが、打ちひしがれましたよ。終演後の楽屋で久しぶりに山崎くんと話しましたが、今もかわらず携帯電話なんてものは所持していない、ってのが男らしくてカッコイイです。それでいて携帯ウォシュレットは持っているというのもなんだかナイーブです。
とまぁ、こんな感じでこの5月・6月はさまざまなジャンルのさまざまなコンサートをさまざまなタイプの会場で観せていただき、いろいろ勉強になりましたし、「オレだったらここでこうしちゃうよなぁ」というアイディアのモチーフも多くいただきました。ま、どんなコンサートを観ても共通して感じることは「はぁ〜、もっと練習しなきゃ」という私にとってすごく基本的なことだったりもします。
というわけで、来週6月25日(木)・26日(金)の逗子海岸【音霊 SEA STUDIO】でのライブにむけて、菅原龍平くんとヨースケ@HOMEくんとコラボレーションのリハーサルを極めてまじめにやってたり、LIVE DVDのTDだったりで、にわかに忙しくなっていると見せかけて、今日は北海道でゴルフやって、今、東京に戻る日航機内です。【音霊】観ていただけそうな皆さま、楽しみにしていてください。LIVE DVDについては来週6月23日(火)にこのサイトで詳細を発表します。
菅原くんとヨースケくんとの極めてまじめなリハーサル |
では、最後にクイズです。
問題:
最近すっかりコンサートづいている私は、7月4日(土)に、ある都市で行われるあるアーティストのコンサートを観に行きます。
それはどこの都市で行われる誰のコンサートでしょうか?
ヒント:インターネットで調べりゃいいじゃん。
答えは、えぇと、再来週の『金曜コラム』で。
2009/06/19
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