No.204
『【じゃぁ、スイスの首都は?】前半をざくっと振りかぶって』
はい、BAND LIVE TOUR 2009【じゃぁ、スイスの首都は?】、すべての公演を終了しました。各地観に来ていただいた皆さま、本当にありがとうございました。今週はこのツアー前半の内容をざくっと振りかぶってみようと思います。
では、まず演奏者と演奏曲目から。
【演奏者】 清水淳(ドラム)・西嶋正巳(ベース)・中野豊(ギター)・矢代恒彦(キーボード)、そして私。
【演奏曲目/オリジナル発表年/収録アルバム】
01. 健全 安全 好青年 | ’90『野球選手が夢だった』 |
02. Happy Birthday | ’90『野球選手が夢だった』 |
03. Fusion Top Secret | ’87『テレビの中に』 |
04. Rock’n Soul in Yellow | ’99『KREMLINMAN』 |
05. RED FLAG | ’06『遥かなるまわり道の向こうで』 |
06. 愛は勝つ | ’90『野球選手が夢だった』 |
07. GO PLAIN | ’89『Happy Title』 |
08. 結婚しない二人 | ’94『東雲』 |
09. 涙の夕焼け | ’96『MAN』 |
10. 1989 | ’90『野球選手が夢だった』 |
11. 香港SAYONARA | ’93『TOKYOMAN』 |
12. けやき通りがいろづく頃 | ’90『野球選手が夢だった』 |
13. 今夜はかえさないよ | ’87『NO-NO-YESMAN』 |
14. カラス | ’01『Gleam & Squeeze』 |
15. ときどき雲と話をしよう | ’91『ゆっくり風呂につかりたい』 |
16. まゆみ | ’93『TOKYOMAN』 |
17. 恋はTONIN’ | ’88『Girl To Love』 |
18. Oxanne | ’98『TIGERSONGWRITER』 |
19. Superfaker | ’01『Gleam & Squeeze』 |
20. MOON | ’93『TOKYOMAN』 |
21. REVOLUTION (The Beatles) | |
22. 適齢期LOVE STORY 2009 | ’88『Girl To Love』 |
23. 50年後も | ’99『KREMLINMAN』 |
各アルバムからまんべんなく、というのは毎回の基本姿勢ですが、今回は『弱い男の固い意志』を除く全アルバム13枚から、結果的には『野球選手』からの選曲が多くなりました。
◆オープニング
もしかすると、自身のツアーでは初の紗幕なしのオープニングかもしれません。紗幕を張らずに楽器丸見えの状態で登場への期待ハードルを若干さげておいて、なんらかのドハズシな登場を企むことにしました。前ツアー【NO IDEA】が全体的にちょっとおとなしめだったかなという印象が残っていたこともあって、のっけから明るくウヮァ〜ッ!と行きたいなという気持ちもあり、1曲目は99年以来10年ぶりの『健全 安全 好青年』あたりで、となんとなく決めていました。そのイントロには99年同様、プリンスの『1999』のシンセフレーズをつけますが、それだけでは“登場”としてはちょっと弱い。なんか「えぇぇぇ、そっちぃ〜?」みたいなイントロはできないものかといろいろ考えていた時に、ふと「Perfumeかな」と思いつき、早速アルバムを買いに走り、やっぱコレでしょう、ってことでド頭に『ポリリズム』の出だしのメロをつけることにしました。
そこまでは決まったものの、いきなり『ポリリズム』も、あまりに流れがなさすぎますし、流れ、流れと考えるうち、「そうだ、開場時のBGMがそのままオープニング、つまり『ポリリズム』につながっていればいいのだ。ってことで、DJ.ARAKIに開場BGMの制作を依頼します。『健全安全〜〜』と同じテンポで、約20分間の80年代ものノンストップミックスが最終的に「ドッチー、ドッチー、ドッチー、ドッチー」というクラブ系のビートループになり、そのビートに乗って『ポリリズム』、これでOKでしょう、ということになりました。
で、リハーサルでそんな音の流れをやってみますが、どうもねぇ、なんかいまひとつキターッ!という感じに欠ける。バックライトでピアノの上に登場した時に「みんな、行っくよぉ〜!」みたいなの叫びたいですよね、という気持ちになります。それも私の声ではなく、バリバリの現役アイドルみたいなピーンと遠くに飛んでくようなフレッシュな声で。
気がつけば私は、現役のかわいいアイドルちゃんがわんさかいるアップフロントの所属ではないか、ってことで、アイドル系のマネージャーに構想を話して「ピーンと声が遠くまで飛んでくコは誰でしょう」と聞いてみたところ、「だったら、℃-uteの鈴木がいいでしょう」ということになり、リハーサルスタジオに℃-uteの鈴木愛理ちゃんを呼びつけて、事情を話し、彼女はその状況を想像できずにキョトンとしながらニコニコしてましたが、とにかく「みんな、行っくよぉ〜!」を録音しました。これで今回のオープニングは決定。
開場時は80年代洋楽のオムニバスCDを流し、開演15分前にDJ.ARAKIの80’sミックスに切り替えて、その最後のビートループに向かって客席照明をゆっくり落として、ドラム・清水さんとキーボード・矢代さんがスタンバイ。ビートループにハイハットが重なり、清水さんの首振りカウントを私と矢代さんとで確認して、シンセによるシュ〜ッというエフェクト音を合図にミキサーの中本さんがビートループをカット、照明の大熊さんがカラフルなライトカーテンをメラメラメラメラさせて『ポリリズム』が始まります。私はピアノの後ろに置いたボコーダーシンセ【Roland VP-550】を弾きながら「と〜て〜も〜だ〜い〜じ〜な〜」と歌い、次なるプリンス『1999』のフレーズでバックライトを浴びながらピアノの上に登場し、ここでステージ袖のモニターエンジニアの三瓶さんが、鈴木愛理ちゃんの「みんな、行っくよぉ〜!」をマニュアルで再生するという仕組みです。と説明がたいへん長くなりましたが、それなりにいろいろ考えたオープニングだったわけです。
そんなM01『健全 安全 好青年』に続けてM02『Happy Birthday』でもダンスビートを持続し、そのままM6『愛は勝つ』までの6曲を一気にやります。
◆M03『Fusion Top Secret ’09 〜矢代さんに促されて〜』
98年の夏、大阪の南港であったスタレビュとの野外イベントにむけてのリハーサルで、矢代さんから「インストのフュージョンとかやらない?」と提案があり、インストってのもなぁと思った私は、「だったら『Top Secret』をそんなふうなやつに改造しましょう」ということにして作ったのが『Summer Fusion Top Secret 〜矢代さんに促されて〜』でした。これをやや修正したバージョンを98年のライブハウスツアーで、『Bon Marché』が去った後の本編オープニング曲として演奏し、今回さらに若干の修正を加えて『Fusion Top Secret ’09 〜矢代さんに促されて〜』として11年ぶりに演奏しました。今となってはチョーなつかしめのフュージョンテイストが、ある意味・逆に・ある反面、新鮮だったのではないでしょうか。
◆M04『Rock’n Soul in Yellow』/M05『RED FLAG』/M06『愛は勝つ』
そんなフュージョンの後は、WINGSの『Rock Show』を目標に作った私としてはかなり納得度の高い楽曲であるにもかかわらず、ほとんどどこからも評価されることのない長編ロックナンバー『Rock’n Soul in Yellow』、そして交通違反ハードロック『RED FLAG』で、押せ押せながらも音楽的に大きなギャップをつけました。ピアノの上に乗りギターソロを弾くセンパイのロングヘアーは必ず扇風機でなびかせられます。『RED FLAG』で私が弾くGibson Flying-Vはセンパイのギターソロのバックとエンディング18小節のみ実際に音を出し、それ以外はオフっています。
そんな流れに『愛は勝つ』をぶつけることで、この曲は“応援歌”なんてもんじゃなく、結婚式の定番曲でも小学校の運動会の曲でもなく、正々堂々バリバリの“ピアノロック”なのだということをやんわりとアピールしてみたんですが、そんなことどうでもいいですか。この6曲を連続演奏することで、コンサート終盤のようなノリを強要するカタチになっちゃったもんですから、『愛は勝つ』終了直後に「サンキュー!」ってことでメンバー全員一旦袖にハケたのも、自然な流れだったと思います。
◆M07『GO PLAIN』
この曲はたぶん95年の熊本・阿蘇での野外イベント以来、14年ぶりの演奏です。センパイを通してRolandさんからお借りしたシンセ【JUNO-G】で、エレキクラビ音をピッチベンドをぶりぶり使いながら弾きました。
今回は事前飲み会で「同期モノは一切使わない」と決めたこともあり、その負担はモロにキーボードの矢代さんにふりかかります。この『GO PLAIN』はでシーケンシャルなクラビのフレーズとリズミックなシンセブラスのフレーズを同時に弾かなければならないだけではない矢代さんは、どう考えても手が足りなくなり、ついに“足ベンド”という恐ろしい技を使います。それは何かと説明しようとしても、キーボードを演奏する人でなければきっとわからないと思いますので詳細はキャッツアイしますが、まぁとにかく聞けば聞くほど恐ろしい離れ技だったわけです。実はM02『Happy Birthday』のエンディングでも身も凍るような凄い技を矢代さんはやっていましたが、あまりに凄いのでふれないようにしました。
◆M08『結婚しない二人』/M09『涙の夕焼け』
『結婚しない二人』は、所属事務所の大先輩・松浦亜弥さんが最近カバーした曲ですが、そうでなくても今年はやろうとなんとなく決めていました。『涙の夕焼け』はシンプルな印象の曲のわりにCDでは実はけっこう音が重なっていて、これを5人でやるにはリハでかなり試行錯誤しましたが、結局イントロの12弦エレキのフレーズは矢代さんのキーボードで、センパイはアコギにするかどうか迷ったあげくストラトキャスターのストロークで壁を作りました。
◆M10『1989 ~A Ballde of Bobby & Olivia~』
これもいつ以来でしょう、たぶん95年か96年に演奏したのが最後だったような気がします。前回・前々回ともにやろうとは思っていたものの、結局なんやかんやで選曲もれし、今年こそはと演奏しました。アレンジとしては95〜6年に劇判風に作ったものと基本的に変わりませんが、当時はツインキーボードだったため、サックス音のソロをギターに振りかえるなどの微妙なチェンジがありました。
ここまでの10曲はバンド5人での演奏です。ここから先、今年は演奏形態にバリエィションをいろいろつけてみました。んなところで、今週はこのあたりまでにしておきます。なにしろトルクメニスタン旅行の出発前日なもんですから、休暇前後はいろんなシワヨセガ当然くるわけで、ほかにもやるべきがたくさんあるので、ごめんなチャーリーブラウン。この続きは来週・・・、と見せかけて、実は来週はアレです、そう、トルクメニスタンからのローマ字コラムです。「もう、アレって読みにくいだけなんだから、さっさとツアーの内容暴露してくれよ」とお嘆きの貴兄に辛口の菊正。そんなこと言わんでさぁ、だってトルクメニスタンですよ、ローマ字コラムもまた書きがい送りがいがあるってもんでしょう、なんかわかんないですけど。とにかく来週はトルクメニスタンの首都・アシュカバードのどこかでインターネット施設を探してのローマ字コラムですから、おつきあいください。
そして再来週はもう帰国してますが、旅行の写真の現像が間に合わないと思うので、『【スイスの首都は?】後半ふりかぶり』を、と思ってます。
じゃぁ、行ってきますよ、トルクメニスタン。これが掲載される10日(金)のお昼、ってことは時差を考えると、経由地モスクワのホテルを出る準備をしている頃でしょう。どうなってるんでしょうかね、楽しみです。
2009/04/10
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