No.190
『あぁ大晦日』
やぁ、よかった。よかったけどまいった。あ、あけましておめでとうございます。いやぁ〜、まいったけどよかったよ、ホント。2009年最初の『金コラ』は、そんなまいったけどよかった私の大晦日、札幌JRタワー「T38」でのカウントダウンライブイベント出演へのドキュメントです。
12月31日、11:30〜13:30に都内のリハーサルスタジオで個人練習後、昼食をとって羽田に向かい、16:30発のJAL535便で18:05新千歳空港に到着。JRで札幌移動して一旦ホテルに入り、小仕事を処理して夕食をとって、21:30会場入り。イベントは23時から始まり、私の演奏時間は23:20からの20分間。というのが当初の予定でした。
しかし午前10時頃、携帯電話の電源を入れて留守電を確認すると、08:40頃に札幌のキムデレさんから「千歳天気やばいかも。飛行機だいじょぶ?」とメッセージが入ってたので、インターネットでJALの札幌便運航状況を見てみると、13:15発の527便まで“天候によっては羽田に引き返すかも”という条件付きフライトの表示があり、それ以降の便にはまだ特記事項なし。続いて「YAHOO!天気情報」で千歳空港付近の天気を確認しましたが、午後はどの時間も湿雪1mm程度って感じです。JAL国内線予約に電話して雰囲気をうかがってみると、「御予約いただいています535便もおそらく条件付きフライトになると思われます」とは言いながらも、この時点ではそれほどの緊迫感はなさそうだったので、とりあえず予約は変更せずに電話を切りました。10:30頃、家を出る前に一応もう一度JAL札幌便の運航状況を確認すると、最終までの全便にぶわぁ〜っと「搭乗手続きを中断しています」と赤文字特記されていたので、ん、こりゃマズいかも、という気持ちになって再びJAL国内線予約に電話して、この時点で空席のある最も時間の早い便を尋ねたところ、14:50発の531便ということだったのでその便に予約を変更しました。
というわけで、なんとなくゆっくり食事をする時間もなさそうだと思って、ドトールでザワークラウトドッグを買って、スタジオでの個人練習を13時で切り上げて、とりあえず羽田へ直行し、チェックイン後になんか食べることにしました。空港の駐車場が満車状態だったので焦りましたが、30分ほど待って駐車完了。14:20頃、搭乗手続きカウンターに行くと、11:05発の521便と12:00発の523便は欠航。525・527・529便はいずれも2時間遅れての出発予定。私が予約している14:50発の531便は天候調査中で搭乗手続き中断という状態でした。その後の15:35発の533便と18:05発の539便にもすでに欠航表示。18:30以前の便はすべて満席表示。
うぅぅん、これはマジでマズイぞ、とりあえずなるべく早く飛びそうな便に乗るのが安全だろうと判断し、航空関係に詳しい知人に電話で相談したところ、「こういう状態はもうコンピューターでの座席管理はせず、すべて空港での現場処理。満席の表示なっていても流動的なので乗れる可能性もなきにしもアラブ。とりあえずカウンターでかけあってみれば」ということで、JALグローバルカウンターに行って「搭乗手続き中の14:15発529便に乗れませんか?」と尋ねたところ、10分ほど待った後、なんともラッキーなことに「お席が御用意できました、出発が迫っていますのでお急ぎください」ってことでピギーバッグをあずける間もなく搭乗券を受け取って手続きをしたお嬢さんとゲートへダッシュ、彼女にバッチリお礼を言って駆け込み搭乗したのが15:20。何かと混乱していたのでしょう、30分ほど機内で待ち15:54、満席の529便は離陸しました。とりあえずひと安心、いや、条件付きフライトなので千歳に着陸しないことには安心できません。
機長からの機内アナウンスは「現在、千歳空港は大雪で、2本の滑走路のうち1本を除雪しながら、もう1本の滑走路だけで離着陸を行っているため、千歳空港上空には多くの飛行機が待機旋回しています。そのためこの飛行機は岩手県上空で40分ほど待機旋回し、指示があり次第千歳にむけて北上します。」ってことでした。ってことで私は「仕方ない、この状況を原稿にしておくか」と高級ブック型コンピューターを開き、この原稿を書き始めました。1時間ほど経ったでしょうか飛行機はすでに千歳空港付近まで北上し待機旋回しています。この時点で時刻は18:30。機長のアナウンス「これから千歳空港に着陸を試みます。しかし、着陸できなかった場合は、燃料の残量を考えますと再度着陸機会は待たずに羽田へ引き返すことになりますので、どうぞ御了承ください。」
うぅぅん、まずい、非常にマズイ。この後羽田に引き返すことになったらもう最終の札幌便に乗れない時間じゃないか。ってことはライブすっとばしじゃないか。これはマズイ。しかし、最悪そうなったとしても大雪による不可抗力、決して私が寝坊したわけでも、飛行機を乗り間違ったわけでもない。仕方ないと言ってしまえば仕方ないことなのだ。と考えていたところで、ふと、重大なことに気づきました。「なぜ、私は旭川行きの空席を調べなかったのか!」。そうです、旭川便に空席があってまともに飛べば、そこから札幌まではJRで90分。それがこの状況で最もとるべき安全策だったのです。なぜ私はそんな簡単なことを思いつかなかったのか、スタッフの誰もが思いつかなくても、20年札幌に通っている航空ファンの私こそが思いつくべきことだったのです。あぁぁ、ヤバイ。もしこの飛行機が札幌に引き返し、その後の札幌便に乗れなかったとしたら、それによりライブをすっとばしたとしたら、誰も私を責めることはないでしょうが、私の中では完全に、旭川便の空席を調べなかった私のミスなのです。
モニターに映る機外の様子はちょっと昔のCGのようにシャーっと流れる雪のみ、そんな大雪の中529便は降下を開始。モニターは何分経ってシャーッと流れる雪。通路側の席の私は窓に顔を張り付けて外の状況を見ることもできません。そして機体は急上昇しました。「あぁ、ダメか・・・ダメだ・・・」。その数分後、機長からのアナウンス。「たいへんに残念ですが、着陸すべき滑走路が閉鎖されました。管制塔からの連絡では約10分後にもう1本の滑走路の除雪が終わるとのことですが、残りの燃料を考えますともうこの飛行機は待てません。これから羽田空港に引き返します。」
スチュワーデスさんに羽田到着予定時刻を尋ねると「今のところ19:50着陸予定です」とのこと。札幌行きの最終便は20:25発、搭乗手続きは20:10締切り。19:50分に着陸しても飛行機の外に出れるのは20:10に間に合うかどうかたいへんに微妙な時間です。ってゆうかその最終便に空席があるのかという根本的な問題もあります。そして19:50羽田に着陸しましたが、スチュワーデスさんのアナウンスは「本日の札幌行きはすべて終了しています。地上係員が明日以降の便の振り替え・払い戻しの御説明をいたしますので、皆さまお席についてお待ちください。」 あぁぁぁぁ、ダメじゃん、ダメだ。この時点でライブすっとばし決定です。2008年最悪のエンディングです。
沖停めの機体を降りてバスで到着ロビーへ着いたのは20:10。「あぁぁ、すいません、羽田に戻ってきました。もう今日中に札幌へは行けません。ライブすっとばしです。申し訳ない」と私を待ち受ける札幌のスタッフに電話しました。でも、もしかしたら、最終便の手続きは終わっていても、今日の状態では定刻では飛んでないはず。飛行機がまだスポットにいれば乗れる可能性はゼロではない。と思ってダメ元春で2階の出発カウンターへ上がって表示板を見ると、最終の549便は定刻出発、手続きもすでに終了しています。しかし、そのひとつ前の545便には遅延の表示、つまり最終便より遅く飛ぶってことです。いやしかし、これもすでに搭乗手続きは終了していました。JALグローバルカウンターに行くと、さっきの529便の時と同じお嬢さんがいました。「戻ってきちゃいました。もう1回乗れませんかね?」・・・えぇぇと、いろんなことを考慮するとここでの詳細な説明は控えたほうが賢明だと思われますのでやめますが、とにかく、幸運にも、いや、気分としては奇跡的に乗れることになったのです、545便。超ファインプレーです、逆転満塁外人ホームランです。念のために書いておきますが、「夜中にカウントダウンライブがあって、多くの人が私を待っているんですよ」みたいな、わけのわからない芸能人的無理強いは一切してませんよ。とにかく乗せてくれるってことで数時間前と同じようにお嬢さんとゲートへダッシュ、荷物を持ったまま駆け込み搭乗しました。果たして20:40、JAL545便は離陸。これがうまいこと降りてくれれば、遅くても23:30には札幌駅に着けます。ライブの出演時間を後ろにずらしてもらえば演奏可能です。もうだいじょぶ、だいじょぶにしてくれ。幸い千歳の雪の勢いもおさまったようで、22:09、千歳空港に着陸しました。
JRは平常運行ですが、この時間はもう電車の本数も少なく、最終22:50発の快速エアポートの指定席に乗って、23:30JR札幌駅に到着しました。カッコイイ衣裳にも着替える時間もなく、もうこうなりゃ仕方がないので、コートもマフラーもしたまま、着の身着のまま木の実ナナで、ピギーバッグをコロコロ引きずりながら38階のイベント会場『T38』に入ったら、いきなりカウントダウン。一応3の倍数でアホになりながら2009年を迎えました。2008年最後のはずだったライブは2009年最初のライブになりました。演奏曲は予定どおり『50年後も』『セカイチ』『愛は勝つ』『雪風』のわずか4曲でしたが、待ち時間も含めて6時間半も機内にいたもんですからノドはカラッカラになってましたが、いやぁ、とにかく演れてよかった。よかったです。
しかし、なんとも幸運が重なった1日でした。まず、満席表示の529便になぜか乗れたこと。ピギーバッグを預けることなく機内持ち込みしていたことによって、引き返し後、すぐに出発カウンターへ直行できたこと。そこに529便の時と同じお嬢さんがいて話が早かったこと。そして最後の545便のマジカルファインプレー搭乗。いくつもの幸運が重なりました。はぁ〜、まいったけど、よかったです。ライブを終え、スタッフと朝近くまで飲みました。気がつきゃ午前中のザワークラウト以来、なぁ〜んも食べてませんでした。というのを理由に明け方ラーメンで締めました。
で、ここからがなんとも大きいオチです。元旦のお昼前、ホテルの部屋でインターネットを開き、昨日のJAL札幌便の発着記録を見てみたら、あららららら、どうでしょう。早朝の臨時便を含む20便中、欠航は4便、羽田に引き返したのは私が乗った529を含めて昼過ぎの3便のみ。これ以外の13便は、最大3時間半の遅延はあるもののすべて千歳に着陸しています。更に良く見てみると、羽田に引き返した529の次便、私が予約を入れていた14:50発531便は3時間22分遅れで19:47に千歳に着陸。・・・ってことはつまり、結果論ですが、あわてて529便に乗る必要はなかったんじゃないかってことです。そして、いちばん最初に予約していた16:30発535便も2時間18分遅れで20:33に千歳に着陸していました。・・・ってことはつまり、予約の変更などせずに最初に乗るはずだったやつに黙って乗ってりゃ、それでよかったのです。当初の入り時間21:30にノープロブレムで会場入りしてたわけです。チャンチャン♪です。
はぁぁぁぁ、私の大晦日はなんだったんでしょうか。取り越し苦労の轟二郎です。しかし、なんとも私らしいオチでしょう。でもね、明らかに状況は緊迫してましたし、その時点でのベストを判断し選択したことに間違いはなかったってことにしてください。それにしても、あの545便に乗せてくれたのは幸運、いや、奇跡です。だってそうでしょう、それに乗れてなけりゃ、ライブすっとばしてたわけで、それでもって翌朝、発着記録を見たら、こりゃもう、後悔先に担々麺、それも激からです。でもまぁ、とにかくよかったです。
そんな感じで今年もたいへんに効率悪そ〜な私ですが、よろしくおつきあいください。今年の仕事始めは、管弦交響のオーケストラのアレンジをするという初体験の大仕事があります。12日まではず〜っとそれにかかりっきりです。その前にまず、今日はゴルフに行ってきます。だってしょうがないじゃないですか、同級生が予約しちゃってたんですから。
2009/01/02
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