No.179
『携帯10年物語 〜後編〜』
鮭、じゃなくて、さて、今週のコラムはツヅキモノです、お時間のある方は先週のNo.178からの流れでお読みください。そんな時間などあるものかという方のために前回のあってないようなあらすじをいいかげんに書いておきますと、まわりの誰も携帯なんて持ってなかった91年から【mova D】を大事に使っていた私は、98年のある日、路上に落として破損してしまいます。そこで登場した新機種【P205】を使い続けて丸10年、いい感じに前時代の名機として珍しがられるようになりましたが、つい先月、【P205】にたいへんなピンチが訪おとずれます。
この【P205】用の「電池パック P002」はもう世間に在庫などとっくになく、DoCoMoに問い合わせても「端末の記録ではもう在庫は0です。あとはどこかの販売店にたまたまなんかの手違いで残ってない限りは・・」ということで、去年何軒かのDoCoMoショップをまわって探しましたが、「ちょっと前なら覚えちゃいるが、10年前だとちとわからねぇなぁ、アンタあのコのなんなのさ」というブギウギな状況でした。現在私の手元にあるバッテリーは2枚。このバッテリーがダメになったらそれは【P205】の最後を意味するのです。そこに大ピンチがおとずれます。
ひと月ちょっとくらい前でしょうか、そんな、そんな貴重な最後のバッテリー2枚のうちの1枚を、私としたことが、なんと、なんと洗濯機で洗ってしまったのです。がぁぁぁぁぁ〜〜〜ん。家に帰る車の中でピーーーーっと電池切れの警告音が鳴り、信号停車した時にもう1枚のバッテリーと付け替えて、電池切れのバッテリーを車の速度計のところに置き、再び車を走らせ家に帰りました。翌朝、ナウなジャージを着てジョギングして家に戻り、とても暑い日だったもんですからシャワーを浴びる前に車庫から出しておこうと車に乗った時に、昨日速度計のところに置いたままだったバッテリーに気づき、「そうだ、充電しなきゃ」とジャージのポケットに入れました。そしてそのまま忘れてたんですね。翌日「バッテリーがないない」とあり得るいろんなところを探しまくりましたが見つからず、なかばあきらめかけていた数日後の朝、ジョギングしようと洗濯されたそのジャージを着たらポケットに入ってました。「うわぁ、バッテリー洗濯しちゃったよ」ってことで、死んじゃったのかまだ生きてんのか、とにかく携帯電話に装着して電源を入れてみると、よかった、生きてました、通話もできました。
がしかし、1時間もしないうちに電池切れの表示が出て警告音が鳴り「やっぱダメか」と思っていたら、さっさと勝手に画面が消えて、しかし、ボタンを押して電源を入れ直すと、ありゃりゃりゃ電池容量表示の目盛が増えてるじゃないですか。いったいどうなったのかはわかりませんが、とにかく復活増量し、通話もできるので良しとして使い続けていると、やはり勝手に画面が消えることもしばしば。しかし電池切れの警告音が鳴っても、一旦電源をオフにして再びオンにすると電池容量が増えるんだよね、みたいなことが日常的に繰り返されるもんですから、それはそれでいいんじゃないの、と私もこの状態に慣れてきました。
しかし問題はないわけではありません。電話がかかって来たはいいが、とろうとした瞬間にマナーモードの振動で画面が消えたり、また電話をとれたはいいが通話中にいきなり切れることもたまにあります。どちらもかけ直せば済む話ですが、例えば年末旅行のキャンセル待ちの件でJALマイレージバンクのオペレーターさんと話をしている時にいきなり切れたりすると、同じフリーダイヤルにかけた直したところで同じ担当者にはつながりません。まぁJALさんですから「途中で通話が切れてしまいました、申し訳ございません」と必ずむこうからかかってはきますが、ちょっと面倒であるのはいなめなめなめなめません。そんなことを繰り返しているうちに、本体の左下の角を親指と人差し指でギュッと強く挟んだ状態で電話をすると電源は切れない、ということを発見します。それ以降この洗濯バッテリー装着時の私は、こんなスタイルで通話をしています。親指と人差し指とで角っこを強く挟むもんですから、手の構造上つい小指が立ってしまいそうになるんですが、「げ、あいつ立ってやんの」と言われたらはじゅかちぃので、必死で堪えるのです。
そんなある日、今まで見たことのないこんな表示も出ました。
ある朝、電源を入れると「しばらくお待ちください」って、いったい私は何をしばらく待てばいいのか、とにかく待っては見ましたが、何分たっても状況は何も変わらず、電源をオフにしようとしても反応無しなので、しかたなく一旦バッテリーを外しました。この画面が出たのはこれまでこの1回だけ。もう一回出たら、今度はなんらかの変化が見られるまで何時間でも待ってやろうかと思いますが、なかなか出てくれません。
そんなステキ携帯ライフにすっかり慣れてきたつい先々週、今度は他のどの携帯にも装備されていないであろうたいへんにマジカルな特殊機能を発見します。電池切れの表示が出て警告音が鳴っても、一旦電源を切ることなく、本体をバシッと手で叩くと復活して容量表示も増える、というマジカル機能。まるで昭和40年代のテレビです。そう、私が小さい頃のテレビって、映りが悪くなってもバコッて叩けばクリアになったりしてました。で、またしばらくすると映りが悪くなって、バコッ! その繰り返しです。あれって、理論的にはどういうメカニズムなんでしょうね。ま、とにかくそんな昭和レトロなアトモスプヒアまでも醸し出すこんな携帯、どこのどなたも持ってないでしょう。いっくら叩いてもダメで、バッテリーを外して付け直すのを5回繰り返してもそれでも電池切れ表示が出る場合は、真の電池切れだとやっと認めて充電器にのせます。
電池が切れて |
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ピーッと鳴っても |
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バシッと叩けば |
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容量増える |
どうですか、うらやましいでしょう。しかし“携帯愛護団体”には決して見られてはならない画像ですね。
こんなステキでマジカルな携帯電話【P205】を使い続ける私を見て、カメラ付きの最新機種を使うナウなオーディナリーピープルは「携帯替えたら」とか「それダメになったらどんなの買うの」などと言ってきます。ふっ、そんなこと私は考えませんよ。いや、実は心のどこかで考えてたりもすることもいなめなめなめなめないんですが、このカッコイイ携帯にとって代わるエクセレントなアイディアが浮かばないのが正直なところ。携帯電話のない生活を送ってみるってのも、生活様式も街の景色も変わってきていいんじゃないかと思うんですが、もう今や街に公衆電話がほとんど無いですからねぇ、現実的にどうなんでしょう。
うぅぅん、前編後編に分けたわりにうまいエンディングがみつかりませんが、とにかく、私の携帯はピーッと鳴ってもバシッと叩くと電池が増えるんですよ、いいでしょう、ということを2週かけて言いたかっただけなのです。一応満足したので、ほなサイババ。
2008/10/17
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