No.157
『帯広名物・豚丼』
はい、行って来ました帯広。来月から始まるツアー『弾き語りばったり#7』で、なにしろ“15年ぶりに帯広でライブをやるのだ”という意気込みを更に増幅させるためだけに行ってきました帯広。でもって、食ってきました帯広名物・豚丼。飲んできました十勝ワイン。今週はそんな話題です。
いやぁ、ほんとにまぁ、なんと言いましょうか、私の場合は、かなりの偏りはあるものの、食べる作るの両方向からの“グルメ系アーティスト”であることは自他ともに認めてもらっても良いんじゃないかと思える事実ですから、まぁ、いろんな街に行きゃぁ、その土地のおいしいものを食べたり飲んだりして喜んでいるわけですが、しかしあれですね、どこの土地にもなんらかの“おいしい”といわれる名物がありますし、近年はインターネットでだいたいのことは事前に調べがついてしまう世の中ですから、“おいしい”と言われるものはどのような形態でどのような味わいで、それをどこのお店で食べるのが最も“おいしい”らしいのか、なんて情報は充分頭に入った上で現地に到着して食べるわけですから、多くの場合、ほぼ間違いなくそれは“おいしい”のです。
日本のロックポップス界に多く存在しているであろうグルメ系アーティストの中でも、ある意味・逆に・ある反面、極めて贅沢な発想を持つ私なんかになってくると、インターネットのおかげで、食べに行こうとしている対象の形態やその味わいまでしっかりイメージして、特に苦労することもなく目的地にたどり着き、それを食べて“おいしい”と思う。こういうのを何年もいろんなところで繰り返していると、この“予定どおりにおいしい”ってことに慣れてきてしまいまして、確かに“おいしい”んですけど、それほど“うれしくはない”というか、そんな変な感覚になってしまっています。というようなこともあって、先々週のコラムNo.155にもチラッと書きましたように、最近の私は“予定どおりにおいしい”よりは、“不可解な味わい”とか、“うわっ、すげぇマズイ”とか、“どうでもいいけどめちゃくちゃ感じ悪い”とか、そんな予想していなかった、誰かに話したくなるようなものや状況に出くわした方がよっぽど盛り上がる、とそんな感じになっちゃってるのは大げさではない事実です。
そんなひねくれすぎて1周してきちゃったような私が、このような前置きをするってことは、北海道・帯広までわざわざ行って、一生に一度もやったことがない“バク宙”できちゃうくらい恐ろしい食べ物に遭遇したのではないかと淡く期待していただいているマニアック・グルメな皆さま、その反対の反対の反対です。
いやぁぁぁ、うまかった。めちゃくっちゃうまかったですよ。まぁ写真見てください。
はい、帯広名物【豚丼】です。私は食べることと同じほどとは言いませんが、写真を撮るのも大好きで、デジカメを使うようになってからは「接写」も容易にできるようになりましたから、こういう料理の写真はいつもなかなかうまく撮れてるとJIFしてんるですが、いやぁ、今回はちょっと違います。この写真なんかから想像するよりも何十段もうまいと思ってください。この場合の単位がなぜ“段”になってしまったのかは自分でもよくわかりませんが、いやぁ、とにかくうまかった。ううぅぅぅん、このうまさをどのように書けばいいんでしょうか。豚肉を口に入れてかんだ最初のひとくちで、同行の木村ディレクター(=キムデレ)さんと、「うめぇ、これ、うめぇよ」と顔見合わせて笑っちゃいましたからね。お腹の奥からこみ上げてきて喉と鼻の奥でくっくっくっくっとなって上半身が揺れる、そんな感じの笑いですよ。このうまさ、具体的に分析するとなんなんでしょう、スライスされた豚肉の微妙な厚みのある薄さ加減、やわらかすぎないやわらかさというか、うぅぅん、とにかくこの“焼き”なんだよね、“焼き”ですよ、うぅぅぅん、いくら書いたところで表現するのは無理ですが、とにかくうまくてうまくて笑っちゃいましたよ。いや〜実際、笑いますよ、これ食べたら、くっくっくっくって。
“おいしい”と言われる名物を予定どおりに食べにきて、それが予想を何十段も越えて誰かに話したくなるほどおいしかったってのは、ほんといつ以来でしょうか、というくらいの感動の【豚丼】でした。「いやぁ、あれはうまかった」ってキムデレさんと一日中ずっと言ってましたから。
で、「どこの店なんだよ」ってことですよね。もう最近の人はなんでも即座に答えを要求しますからね、はい『はげ天』というお店です。もちろん事前にインターネットで「ここがいいか、それともこっちか、いやそれはどうだろう」といろいろ調べはしたんですが、空港到着から『FM-JAGA』さんの生放送出演までの時間を考えると、なるべく近いところで食べるべきだろうということで、『FM-JAGA』の方に薦めていただいた『はげ天』さんに行って食べてうまくてうまくて笑っちゃいました、というわけです。
私が食べた標準の【豚丼】は御飯の上に肉4切れ、【特豚丼】は肉6切れと書いてありました。キムデレさんはランチメニュー、肉3切れの【豚丼】と茶そばがセットになってました。『はげ天』さんはその店名から予想できる通り本来は天ぷら屋さんのようですが、【豚丼】もおいしいってことで評判になったのでしょう。そのあたりのことや、もともとなにがどうなって帯広に於いて豚丼なのか、などは『はげ天』さんのサイトを御覧ください。
とこのように感動しまくっている私ですが、【豚丼】は今回が初めてだったわけではなく、ウルトラたぶん1988年くらいにキャンペーンかなにかで帯広に来た時に、普通の昔ながらの食堂っぽいお店で食べたことがあったと思います。おいしいなぁと思って食べたんでしょうけど、「こんなにシンプルで誰でも好みそうなものがなんで全国的に知られてないんだろう」と思ったことはよく覚えています。その後、90年代半ばくらいに札幌で一度食べたんですが、その時はタレがたいへんにしょっぱくて困ったことが強く記憶に残っています。あれ以来、約10数年ぶりに本場帯広での【豚丼】でした。いやぁよかったよかった、だってうまくて笑っちゃいましたから。(←まだ言ってるよ)
そんな流れで『FM-JAGA』さんに生出演させていただき、帯広畜産大学にオフィシャルTシャツを探しに行って、6月21日にライブをやる『MEGA STONE』を下見して、夜は帯広の新名所『北の屋台』ってとこに行きました。これがまたちょっとおもしろいところでして、そのことについてこのままの流れで書こうと思ってはいたんですが、いや、ここでそこまで書いてしまうと、来週の自分をきつく苦しめることになるのが目に見えミエミエ山口美江なので、『北の屋台』については来週にとっておきます。だって来週の私はたいへんなんですから、書くこと決まっててもそれ書く時間がないかもしれないんですから。というわけで今週はこの辺でフェイドアウト。この日、帯広の各地でいちいち収録された音声は、5月17日(土)24時からのSTVラジオ『KANのロックボンソワ』で「オビヒロックボンソワ」ってことで放送されますし、番組のホームページでは、この日の全行程をキムデレさん撮影の写真とともにお楽しみいただけます。そうだ、そっちの原稿も書かなきゃなんですよ。いやぁ〜、それにしてもホントおいしかったですよ、豚丼。だってうまくてうまくて笑っちゃいましたもん。(←しつこい)
2008/05/16
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