No.141
『ブータン 旅行 写真 ガイド その2』
さて、ブータン旅行記後編は首都・ティンプーです。お時間に余裕のある方は、前回からの流れでお読みいただければと思います。
■1月5日(土)
朝、ホテルのレストランで西洋風朝食をとり、ガイドのウゲンくんが9時に迎えにやってきました。今日は、午前中は基本的観光、午後は単独でブラブラという計画です。まずは『タシチョ・ゾン』へ。首都・ティンプーのタシチョ・ゾンは、チベット仏教・ドゥク派の総本山であり、国王のオフィスでもあります。しかし歴史や宗教や建築に疎い私にとっては“なんだかすごそうなとこ”というのと“鳩がいっぱいいました”というだけで、これといって説得力のあることを書けなくてごめんちゃい。はい、次は『メモリアル・チョルテン』へ。72年に亡なった3代国王の生前の意志を継いで国家事業として74年に完成した仏塔。比較的年配の方々がチョルテンのまわりをぐるぐるぐるぐる何周も回っていたので、私とウゲンくんもぐるぐる5周くらいまわりました。あたりは工事中で、塔を中心にした公園ができるそうです。
タシチョ・ゾンには鳩がいっぱい |
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メモリアル・チョルテン |
車で山を登りBBSテレビ塔付近でティンプーの街全景の写真を撮ったあと、ブータン王国の動物『ターキン』を見学して山を下り、「よかったら私の家を見にいらっしゃいませんか、すぐ近くですから。築100年以上の古い家です。」ということで、「おぉ、それは是非おじゃましたい」ということで、ガイドのウゲンくんの家に立ち寄ることになりました。
まず、庭のベンチに座っていたお姉さん夫婦に挨拶して木の階段を上がると、ベランダに椅子を出しておばあちゃまが座ってました。4代目国王、5代目国王やダライ・ラマ14世の写真が掛けられた居間のソファに座り、自家製の米菓子とブータン式のバター茶『スジャ』をいただきます。このバターと塩が入った『スジャ』、パロ初日から飲んではいまして、もちろん最初は違和感ありありだったんですが、やっぱ気候風土に合ってるんでしょうね、もうこの日には自分でも不思議なくらいふつ〜に飲んでました。奥には寝室とお祈りの部屋があり、写真は撮ってませんが、部屋ごと仏壇みたいな、それもチベット仏教的に赤や黄色が多く使われた配色の、そんな部屋です。ブータンの一般家庭には必ずこのお祈りの部屋があるそうで、宗教が生活の中心にあることがハッキリと想像できます。軒に牛肉を吊るして干し肉をつくり、夏でもないのに風鈴が鳴り、1歳の甥っ子がうろうろうろうろ、そんなティンプーの土曜のお昼過ぎです。
昼食はガイドブックにチラッと載っていたチベット式のラーメン“トゥクパ”というものを食べたいとリクエストして、街中の小さなホテルのレストランに行きました。いろんな野菜や豆、複数種の唐辛子にトマトも入った固形コンソメっぽいスープにそうめんのような細く脆い麺が入ってます。うまいとうまくないとかじゃありません、そうかこれがチベット式のラーメン“トゥクパ”か、と食験することに意義があるのです。この後は一旦ホテルに戻って休憩し、午後は単独行動です。
街のホテルのレストランで |
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チベット式ラーメン“トゥクパ” |
さて、まずは11日掲載分のローマ字コラムを書かなければ、とインターネット屋さんを探していたら、結構あちこちにありました。看板をたよりになんとなく2階へあがり、そのへんにいた女性に「Internet ?」と言ってみると、「そこです」と指差してくれて、どうやら勝手に始めてよさそうな雰囲気だったのでやってみました。インターネットのページ読み込みが異常に遅かったんですが、まぁそんなもんでしょう。私がコンピューターを買った2001年当初に比べりゃまだ快適だと思えます。ウィンドウズ系のやつですが、キーボードのアルファベット以外の配列が今までに見たことのない感じで、文章を手直しするのにずっと苦労してました。ま、そんな感じで予定どおりにティンプーからのローマ字コラムを書き終えて、さっきの女性のところにいくと、ちらっと時計を見て「1時間」ってことで、いくらだったか忘れましたが料金をニュルタム紙幣で払いました。
入口に古いギターが2本吊るしてある店を発見し中に入ってみると、壁中にカセットテープやDVDが並んでいました。「ブータンの人気の音楽のCDはありますか?」と尋ねると、「CD?」と一度確認されたあと2枚差し出され「こちらはトラディッショナル、こちらはモダン」というので、「じゃ、こっち」ってことでモダンのほうを買ってきました。複数の歌手によるオムニバスものですが、今までに聴いたことのない全体的に不思議なテイストがただようダンスもの中心の全8曲でした。昨日と同じ店でミネラルウォーターを買って一旦ホテルへ戻ります。
ELECTRONIC & MUSIC POINT |
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ブータンのモダン・ミュージック |
夕方再び街を散策するにあたり、どこをどう歩くか考えるんですが、っつってもこれといって目標がないんです。この時間から市バス乗って探検する体力も残ってないしなぁ、なにしろ前日のタクツァン登山で腿筋ハリハリの脹脛イタイタですし、かといってこれから言葉もわかんない映画見る気もしないし、なんか手軽にやることねぇかなぁとガイドブックを見ながら考えます。こういうのって難しくてですね、「せっかくこんな遠くの国まで来たんだから、いろんなとこに行っていろんなものを見て多くを体験するべきだ」という考え方もありますし、また「いや、これはバカンスなんだから無理せずゆったり贅沢にぼ〜っとして、日本に帰ったらまたバリっと仕事できるように体力を温存しながら精神的にリフレッシュするべきじゃないか」という考え方もあります。ここでポイントになるのは“またここに来たいか”否かということです。“もうここには来ることないだろうな”と思っちゃった街では「できるだけ多くのものを見ておこう」という気持ちになりますが、“いつかまた来たい”と思える街では「次ぎに来た時でいいか」という余裕の発想から、「今回は無理せずのんびりしよう」という気持ちになれます。で、今回このブータンについて私はどう感じたのかというと、後者“また来たい”というか、“また来るような気がする”と思えたので、無理しないことにしました。
ってことで、そう決めた以上はホテルでのんびりするべきなんですが、しかし、この日の私はそれでもやはり街を歩きたい。なぜなら昨日から電気ヒーターを2台、もう丸24時間つけっぱなしなので部屋はそれほどブリ寒ではなくなってきたんですが、寒いという基本は依然かわらず、ジャージに着替えてソファにふんぞりかえってのんびりゆったりぼ〜っとするには温度がまだまだ低く、やはり外を歩いていたほうがまだいいのでは、と思えたのです。
ってことで手近な散策目標として、2日後に乗る『Druk Air』のオフィスで搭乗便のチケットをリコンファームする、とう小テーマを掲げホテルを出ます。オフィス自体はすぐに見つかりましたが、土曜日だからかどうやらやってない雰囲気だったんですが、民族衣装の男性がいたので入ってったら「土曜日は休みですよ」的なことを言われましたが、「リコンファーム」と言うとササッとやってくれました。その後はただただ目的もなくガイドブックの地図を見ながら時々写真を撮りながらブラブラブラブラ。これがなんも意味なさそうなんですが、私たち“マッパー”にとっては重要な楽しみなのです。旅行計画時は地図という平面だけ睨みつけながらその街並を頭の中でイメージするわけですが、そのイメージしていた街を現実に歩いてみる、これだけで充分興奮できるのです。
6万人という人口はブータンでは第6位のティンプーは、ガイドブックにも書いてありました“信号のない首都”です。同じく信号のなかったパロに比べて明らかに車の台数は多いようですが、いやしかし、まだ信号機は必要ないかなと思える交通量です。街中の最も大きな交差点には警察官が立ってアクションで交通整理をしています。街を歩く人々の民族衣装の着用率は50〜60%くらいといった感じでしょうか。インド人やネパール人と思われる人々も多く見かけます。盤上の4隅のポケットに指で球をはじき入れるゲームをいろんなところでやってました。いやしかし平和な感じです。どっからどうみても外国人旅行者の私が、こんなに誰からも意識されない街は初めてかも知れません。小1時間も歩いていたらそろそろ日が暮れてきたのでホテルに戻りました。
夜は再びウゲンくんが迎えにきてくれてホテルの近くのレストラン『Bhutan Kitchen』で、微妙なチューニングの民族楽器の演奏を聴きながらブータン料理。ここでは、鶏ひき肉の煮物、青唐辛子のチーズ煮、牛干し肉と春雨の煮物、チーズ、じゃがいも炒めなどをともろこしと一緒に炊いた白米と食べました。ひとつひとつは美味しいというか、違和感なく食べれるものばかりなんですが、3日目にして正直少し飽きてきたというか、どうもなんとなく同じ感じのものばかりを食べているような感覚はいなめなめなめなめません。しかしそれはそれでブータンでの食体験ですし、また、2〜3日くらいでその国の食を語るってのも違うでしょうし、ってゆうか、世界各国の料理をいつでもホイホイ食べれる東京生活に慣れちゃってるこっちが異常なんだよ、逆に、という気がしてきました。翌日6日はパロに戻り、普通の農家を訪問してそこで一緒に昼食を食べるということになっています。果たして一般家庭の食事のスタイル・内容はどのようなものなのか期待でおっぱいFカップです。
で、今週はブータン旅行を最後まで書こうと思っていたんですが、なんせ書きたいことや御覧頂きたい写真がまだまだたくさんありまして。しかし私にはこの時期、もっともっと時間を割くべき重要な事柄がありまして、それはなにかといいますと、そうです、ツアーです、バンドでのライブツアーのリハーサルの真っ裸なのです。私の場合、リハーサルをやりながら内容を作って固めていく、というやり方なもんですから、このリハ期間中はいろんな譜面書きやら、音源データの整理やら、まただいたいライブ用に何かしらの作曲を毎回やってますから、それに気がつきゃ初日の横浜公演までもう10日もないじゃないですか。もうこれ以上この『金曜コラム』に時間を割いているわけにはいかないのです。なので、ブータン話は来週「その3」までひっぱります。ってことで御理解ください。(何を?)
2008/01/25
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