No.108
『カスタマイズド・ポカリスエット』
先週は曲作りのために“頭を揉む”という意味でいろんなCDを聴いている、な〜んちゃってめずらしく音楽の話なんか書いて自分でテレてしまいましたが、今週は、揉まれた頭からいくつかのアイディアがやっと芽を出してきたような、そんな状況なんで、そうなると他の音楽はやっと出た芽の健やかな成長の股裂けではなく妨げになるので今はな〜んも聴いてません。
なので今週は音楽とは全く関係ない爽やかな飲み物の話題です。“爽やか”といえば、ちょっと昔じゃ「コカコーラ」だったんですが、今この時代はやっぱ『ポカリスエット』でしょう。『ポカリ』と言えば今やスポーツドリンクの代名詞です。そんな『ポカリスエット』を敢えて“カスタマイズ”する、これが今回のテーマです。
『ポカリスエット』が発売されたのは1980年。忘れもしない高校3年生の時、初めて飲んだ『ポカリスエット』は、それまでに経験したことのない不可解な味わいでした。翌年上京し、その後成人してお酒を飲むようになって、二日酔いの朝に飲む『ポカリスエット』、あの冷たい液体がぐわ〜っと内臓にしみ込んでいく感覚を体験して、初めてその比類なき偉大な存在感に気づきました。そして月日は流れて2006年の暮れ、ポカリスエットの姉妹品的新商品『ポカリスエット・イオンウォーター』が発売されました。
この『ポカリスエット・イオンウォーター』が喉を通る時のなんともクリアーな感覚、そしてそのあとくされないクールな後味をおぼえてからは、それまでのスタンダードな『ポカリスエット』が妙に甘く濃く、ちょっとしつこい存在に感じられてきたもんですから、コロッと『ポカリスエット・イオンウォーター』派に転じました。この後この『ポカリスエット・イオンウォーター』という名称が何度も繰り返し出てくることになりますので、便宜上省略して『ポカイオ』と記します。
ワインを少し飲み過ぎた翌朝、イマイチ気分がすぐれない午後、いつも私はこの『ポカイオ』を愛飲し、また、弾き語りばったりの孤独なリハーサルだけでなく、本番中のステージドリンクとしても、いつもピアノの傍らに置き、喉を潤していました。
しかし、今年に入ってからというもの、私の生活圏内のコンビニから『ポカイオ』は徐々に姿を消し、ふた駅先のコンビニにはつい最近までかろうじてあったんですが、おとおい行ったらもうありませんでした。毎週通う札幌での行動範囲内のコンビニにも『ポカイオ』は売られていません。「うぅぅん、売れないのかなぁ、オレ好きなんだけどなぁ」とひどく落ち込んでいたそんな時、草薙剛くんが出てる『ポカイオ』のテレビCMが流れたんで、「おっ、これまでは試験的販売で、これから一気に展開するんだなぁ!」と思ったものの、やはり依然『ポカイオ』は私のまわりには現れません。
しかしこれが大阪に行くとホイホイあるんです。偶然かも知れませんが、私が大阪でぷらりと入るコンビニにはなぜか必ず『ポカイオ』が売られています。だからといって大阪で『ポカイオ』買いだめして、飛行機で持って帰ろうったって、空港の手荷物検査場でペットボトルは専用の機械でいちいち検査されますから、「お客さん、別室へお越しいただけますか」ってことでパンツの中まで調べられたりしても困っちゃいますからね。
もちろんいつも問題はないんですが、検査した後、検査員が決まって「Wオッケーで〜す」って言ってます。あの「Wオッケー」の「W」ってのがなんなのか疑問です。「Water」の「W」なんですかね。ってゆうかそもそもあのペットボトル専用の検査機自体、どのようなメカニズムでなにを検知してるんでしょうか、それこそが疑問です。ボトル内の液体に光をあてて、はね返ってくる時間の数値で、普通の飲料と可燃性の液体を選別するんでしょうか。そういえば一度「中を確認してよろしいですか」と言って検査員がキャップを開けて液体のにおいを嗅いでいたことがありました。むかし流行った飲尿健康法を地道に続けてる人がペットボトルにおしっこ入れてたらどうなるんでしょう、それでも「W オッケーで〜す」なのかどうなのか見てみたいです。とかなんとか言っちゃってあの機械、ただ単に重さ計ってるだけだったりして。だとしたらそれはそれでなんだかすごく楽しいですけど。
話戻しますが、そんな感じで『ポカイオ』がなかなか手に入りません。しかし、もはや普通の『ポカリスエット』には戻れませんし、他社の類似商品も同様に甘く濃く感じてしまってダメです。サントリーから『ポカイオ』風の透明飲料が出ましたが、うぅん、ちょっとシックリきません、味のニュアンスが。
そんなこんなの5月の連休のベトナム・ハノイ旅行。旅行は疲れますし、暑い国ならなおさら携帯する飲料は重要です。ポカリ系飲料が流通していないであろうベトナムってことで、ポカリスエットの粉末のやつを買って持っていきました。ホテルの冷蔵庫にはだいたいミネラルウォーターが無料で入ってますから、それに持ってった『ポカ粉』入れて、リュクサックに入れて持ち歩きます。これがいやぁよかったですよ。なにが良いって“ポカリの濃さ”調節できるんですから。1リットル用の『ポカ粉』ですから、通常のポカリスエット的濃度でいくと500mlのミネラルウォーター2本分ですが、これを薄めにしてちょうど『ポカイオ』クラスの甘さで留めとくわけですよ。リュックサックに入れてあちこち行ってるとぬるまってきますしね、普通のポカリだとぬるまっちゃうとちょっとねぇ。これが濃度を薄めにコントロールしておくと、多少ぬるまったって爽やかさは維持したまま乾きをいやしてくれるというわけです。
1箱に1リットル用が5袋入りの『ポカ粉』ですが、ポカイオクラスの濃度にコントロールすると1袋で軽く4本分はとれるもんですから、旅行先で消費したのは1袋半。なので残った分を今この曲作りの時期に東京で消費していくわけですが、あまった『ポカ粉』を消費する目的でポカリと同等価格のミネラルウォーターをわざわざ買うってのも、なんだか七転八倒じゃなくて言語道断じゃなくて本末転倒な気がします。だからといって水道水で、という気持ちにもイマイチなれませんし。
そんなある日、いつものように事務所に行っていつものようになんとなく飲み物を買おうと販売機を見ていたら、おっ、値段がエラく安くなってました。缶コーヒーは一律50円。ペットボトルものはジュースもお茶も350mlなら50円、500mlでも80円。福利厚生の一環なのでしょうか、ありがたいことです。これなら余りポカ粉消費目的でもなんだか納得できるじゃんってことで、それ以降私は事務所に行くたび販売機で80円のミネラルウォーター買っては家に帰って『ポカ粉』をシャラシャラシャ〜っと薄めに入れて、振って振って冷蔵庫で冷やして翌日飲む。これがここ最近の私の、私自身の都合にあわせてカスタマイズされた日常飲料『カスタマイズド・ポカリスエット』=略して『カスポカ』です。どうですか。合理的なのか回りくどいのかよくわかんないところがステキでしょう。それもまたひとつの私らしさ?です。
先週と同様にオススメしてるわけではありませんからね、単に今こうなんだという報告ですから、お気になさらずに。
問題は、残りあと1袋になった『ポカ粉』を消費し終わった後どうするかってことなんですが。あらためて『ポカ粉』を購入して、事務所に行くたびに80円のミネラルウォーターを買って帰るべきなのでしょうか。だとしたらそんな生活を私はいったいいつまで続けるのでしょうか。『ポカリスエット・イオンウォーター』が普通にコンピニの店頭に並んでくれさえすればなんも問題はないんですが。近頃のコンビニはラーメンもスナック菓子も日本茶・烏龍茶までもが“味の濃いもん勝ち”みたいな傾向にありますから、そっちのほうが売れるってことなんでしょうけどね。なんだかすごいヘンな終わり方ですが今週はここまで。来週は何を書けるのかまったく考えてませんが、ってゆうか、どっちかっつうと新しい曲、どんなのが書けるのか、ってゆうか書けんのか、ってこと自体のほうが問題っちゃ問題なのです。
2007/06/08
|