No.092
『鹿児島 指宿 開聞岳』
今回は、山田タマルさん・スターダストレビューのお兄さん方との『μFMバレンタインスペシャルライブ』出演のため、前日13日の午前、鹿児島へ向かうめずらしく全日空機内で執筆開始。個人的には2001年夏に指宿にある妻の祖母宅を訪れた以来5年半ぶり、演奏的には93年以来14年ぶりぶりの鹿児島。この後、適当に写真を撮りながら少しずつ書き進みます。
私が最初に鹿児島へやってきたのは、たぶん小学校1年生ですから1969年の夏休みの家族旅行です。城山観光ホテルは庭が広く高台にあり、すぐ下に鹿児島の街、遠くに桜島が見えたのを憶えています。なにより記憶に残っているのは“一条直也”を目撃したこと。私と兄がロビーにいると、ホテル正面の自動ドアがシャーっと開き、当時大人気だったテレビドラマ『柔道一直線』の主人公・一条直也=俳優・桜木健一さんが柔道着姿でかっこよく歩いていったのです。兄とふたりで「うぉぉ〜」とはなったものの握手してもらうとかサインをもらうとかいう発想はなく、エレベーターの方に歩いていく“一条直也”をただ見送るだけでした。生まれて初めて見たテレビに出とう人・桜木健一さんは“すごく小さかった”という印象が強く残っています。
2度目の鹿児島は7年後の1976年秋、中学校の修学旅行です。なんたら国際ホテル別館とかそんな感じのところに泊まりました。中学生らしく女湯を覗こうということになり、最初は脱衣場の棚の上によじ登って女子側の脱衣場を無理矢理見るというシンプルでダイレクトな方法でしたが、誰かが誰かと目が合ったのか女子がギャーギャー騒ぎだし、こりゃまずいってことで部屋に退散。私を含む数人の名前があがったらしく先生が部屋に聞き込み調査にやってきましたが、「ここ1時間くらいはずっとトランプ遊びに熱中してましたもんで、一体なんのことやら?」という芝居ですっとぼけ通しました。その後も再び中学生らしく覗けるとこどっかないかどっかないかと館内を歩きまわり、たしか非常階段から女湯の小窓を見下ろすというナイスなポイントを探し当て、数人で数十分ねばりましたが妄想中学生にとっての理想的な対象は可視範囲内に登場せず、一旦部屋に戻って時間をおいて再びそのポイントに行ってねばりますが、やはり期待に応えうる対象は登場せず、世の中そう簡単にはいかんもんなのよねと断念。その後は卓球部の川上らと“ネラン団”を結成し、いろんな部屋を回っては寝てるヤツらを起こして回るというあまり意味のない夜を過ごしました。
話はスパッと飛んで次に鹿児島にやってきたのはもうデビュー後の91年の秋、鹿児島女子短大の学園祭、翌92年のコンサートツアーでもやってきました。もう30歳になろうとしてましたんでさすがに覗きはしませんでしたが、しかしステージの上では“三良子先生”という役でにこやかに女装してました。でもって93年の鹿児島県文化センターでの“ブリーフ星人”が最後の鹿児島。そして今日、14年ぶりのライブ前日単独自主前乗りで鹿児島にやってきました。
現地イベンターさんに借りておいてもらったレンタカーに荷物とギターを積み、まずは義祖母の住む指宿を目指します。九州自動車道をおりたら海岸線を行く方がいいでしょうと勧められましたが、あえて指宿スカイラインに入り、美しい山道をくねくねぶっ飛ばします。もうとっくに春じゃん的天気にも恵まれ、時々車を停めて遠くの桜島をバックに写真なんか撮りながらのドラドラドライブ。思えばこんなこと初めてかもしれません、次の『弾き語りばったり #5』も各地でレンタカーを借りて走るのもいいなぁなんて思いました。
指宿十二町の長寿庵で牛蒡天そばを食べて、久しぶりに義祖母に挨拶をして、そして私にはもうひとつ大きな目的がありました。それはJR九州指宿枕崎線の『西大山駅』、元鉄道マニアの私としては指宿に来た以上必ず行かねばならない“JR日本最南端の駅”なのです。北緯31度11分、そこには切符売り場も改札もない単線の無人ホームがひとつあり、駅の前の花壇に花が植えられているだけであとはな〜んもないところですが、“日本最南端のその駅に来た”という事実が元鉄道マニアにとっては重要で、それで充分満足だったりします。遠くに見える成層火山は薩摩富士と呼ばれる開聞岳(かいもんだけ)。ここ西大山あたりから見る開聞岳が最も美しいと義祖母は言っていました。
これまでに、イギリス・ロンドンのタワーブリッジを背にした“タワーぶりっコ”、手がむずむずする“手ムズ川”、ハンガリー・ブダペストではドナウ川にかかるくさり橋の上で“ドナウなってんねん!”、イタリア・ポンペイでは“左ぽんぺい”と、発表の場もないもまま数々の世界ダジャレフォトを撮影してきた私は、この美しい開聞岳をバックに1枚撮ってみたくなりました。↓
うぅぅ〜ん、ちょっと弱いっちゃ弱いというか、いまいちわかりにくい気もしますが、くやしかったら撮ってみろという優越感も少しあり、でもこの写真を見て悔しいと思う人はまずいないだろうなという爽やかな疎外感も感じながら現在は14日午前、鹿児島のホテルの小部屋。これからFM鹿児島に生出演して、鹿児島一古いと言われる店でラーメン食って、14年ぶりの鹿児島でのコンサート会場「宝山ホール」にレンタカーで乗り込みます。
2007/02/16
|