No.067
『できた。』
できた。 8月30日発売の新作アルバム『遥かなるまわり道の向こうで』のパッケージされた商品が出来上がりました。うぅ〜ん、うれしい。なんだか久しぶりの感触です。レコーディングが終了した!という開放感も絶大なものがありますが、それとはまだ異質のうれしさに包まれています。去年夏にこのサイト内のみで受注販売した限定弾き語りCD『何の変哲もなLove Songs』の時ももちろんうれしかったんですが、全曲新作のいわゆるフルアルバムの完成品を手にするのはやはり格別です。というわけで、今回は雑誌やラジオのインタビューではあまり語ることのない、アルバムの“パッケージ”についてたらたらと書いてみたいと思います。
まず、ジャケット。当サイトトップページの看板からアルバム告知ページへ進み見てみてください。うん、いいんじゃないですかねぇ。軽く何かを飛び越えた感があります、それが何かはわかりませんが。パッケージデザインは、過去にアルバム『TOKYOMAN』『弱い男の固い意志』『東雲』『MAN』などを手がけた片山裕さん。片山さんによりやや粗めのフラスコ画的処理にしてありますが、もとは合成写真でもなんでもありませんよ。石の獣像から吐かれる噴水にうまく位置を合わせて撮影された単純な写真です。場所はパリ左岸、5区のSt. Michel(サン・ミシェル)という交差点付近。在住時の生活圏内でよく通っていた場所ですが、この噴水はいつも出ているわけではなく、たまぁ〜に出てると「おっ、出てる!写真!」という感じで撮ってました。2年5ヶ月の在住期間にこの場所で3回にわたり十枚ほど撮影したなかの1枚。このアルバムを手にして気に入っていただいた方が、次にパリを訪れる際はきっとここで同じ構図での撮影を試みてほしい、そしてそれはたいへんに高度な撮影だということを体感していただきたい、そんなことも含めてある意味パリの新たな観光ポイントの提案でもあります。ちなみにジャケットの裏側はこの噴水横の通りを挟んだバス停でバスを待つ人々です。
この他の写真も“オールパリロケ”ってゆうか住んでる期間に撮った、ルーブル級の所蔵量を誇るプライベートフォトライブラリー(PPL)から今回のアルバム用に選び抜いた写真で構成しています。ブックレットの最後のほうに“作者の近影”として掲載した写真などは特に期待していただきたい一枚ですし、また演奏者クレジットのページには、演奏終了後にいちいち撮った写真を数多くコラージュしています。
そう、今回の演奏者クレジットは表形式で表してみました。各曲の演奏者構成を横に見るのはもちろん、「はぁ〜、古川さんは5曲も弾いてる」とか「打ち込みドラムは4曲か」とか「な〜んだ、言ってるほどピアノ弾いてねぇじゃん」など、表を縦に見ることによりアルバム製作の全体像もイメージしていただけることでしょう。ブックレット冒頭の収録楽曲表示も同じ考え方で表形式にし、それぞれの楽曲の「作詞作曲年」「Sound Image」「Theme」「Key / Tempo / Vocal Range」などを記載しています。歌詞面は“読みやすさ”に重点をおきました。
とまぁ、ジャケットやブックレットにもあれやこれやアイディアを詰め込んでいますんで、そのあたりも気にかけながらアルバム全体を楽しんでいただければと思っています。楽曲のダウンロードなど音楽をデータ化して容易に楽しむことができるようになってきた今だからこそ、“パックされた製品としての存在”の楽しさが浮き彫りになり、これまでとはちょっと違った価値感をそこに見いだせるのです。
先日、『丁半コロコロ』(旧・X-GUN)さんのラジオにゲスト出演させていただいた時のこと、以前から私の音楽を熟聴し、またライブにもず〜っと足を運んでいただいている西尾さんの「(番組スタッフ)から先にサンプル盤もらってたんですけど、すいません敢えてまだ聴いてません。やっぱタワーで予約して自分で買ったやつを開けて最初に聴くときの感動をとっときたいですから」というお話、とてもうれしかったです。パッケージも含めてこだわって作ってきてよかったなぁ、と改めて感じます。同じように私の新作を楽しみにしていただいている皆さん、たいへん長いことおまたせしました、8月30日、ホントにでます。お待たせしたぶんだけゆっくり長くお聴きいただける作品であることクリームクレンザー自負しています。(うぅぅ、むずかしいかぁ〜っ)
完成の感触をかみしめるイメージ。 (丁半コロコロさんとは関係ありません、念のため) |
2006/08/25
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