No.040
『氷の世界へようこそ 〜マニアのための中国ガイド〜』
『弾き語りばったり #3』ツアー全公演終了しました、改めましてありがとうございました。すでに次なるアルバムの曲作りに入っていることもあり、脳中のペース配分がこれまでとはかなり変わってきますので、ここから先はあまりまとまりのない金曜コラムになることが予想できますが、まとまりないっつったら今に始まったことじゃないですし、私の人間性そのものの問題だったりするので、まぁそんな感じで休まず書きますんで、適当におつきあい下さい。
なんだか東京はにわかに暖かくなってきましたが、このまま春になっちゃうんでしょうか。それとももう一回くらい雪ぶり降りするんでしょうか。そんな今日子の五郎、テレビ的にはトリノオリンピックまっぱだかですね。私は言わずと知れた雪好き、寒いとこ好きで、旅行先も自然と北に北に向かっているタイプなんですが、ウィンタースポーツはじぇんじぇんダメでして、特にスキーなんてのはまったくもってセンスゼロです。もちろん、大山、石打丸山、真駒内など計4、5回くらい行ったことはあるんですが、じぇんじぇん楽しめませんでした。85年か86年の3月、いきなり東京に雪ぶり降りして交通機関全マヒになった日の夜中3時頃、青梅街道から中野新橋にむかって緩く下る坂道で当時のアルバイト仲間とスキーやったことありましたが、あれが一番おもしろかったです。
つい先日まで札幌は「雪まつり」でした。もう10数年も毎週通ってるわりにちゃんと見たことありませんで、今年も大通5丁目会場をちらっとかすめた程度で終わっちゃいました。
中国・黒竜江省の省都ハルピンには毎年1月に雪まつりならぬ氷まつり『冰灯游園会(ピンタンヨウヨンホイ)』なるものがありまして、それはなにかというと、1年のうち半分は凍ったままという河幅約1kmの「松花江(ソンファチャン)」から氷を切り出して、街中の公園などに巨大な城や建物、氷像とか巨大滑り台とかを作り、その中にカラフルな灯を仕込んで点灯させるという市をあげてのイベントです。旧式のジェットトコースターを丸ごと氷の建物で覆っちゃったみたいなのもありました。2001年1月にこれ見にハルピンに行ったんですが、いやぁ〜すごかったですよ。なにがすごいってまずひっくり返ったのは、歩行者天国になっているメインストリートが切り出した氷のブロックできれいに鋪装されているんですから、街中がスケートリンクのようなもんです。数分おきにツルッとすべってひっくり返るんですが、らくだシャツもモモヒキも分厚い靴下もなんもかんもダブルで着込んでますから、転んでも痛くないんですがね。 |
冰灯游園会のメイン会場は兆麟公園
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気温は日中でマイナス25度、夜は35度まで下がります。それなのにデパートの前では屋外ファッションショー、その斜め向いの広場ではカラオケ大会が開かれているどころか、私が泊まったホテル『馬迭爾賓館(マァティェア−ピンクヮン)』の脇では、なんとドラム・ベース・ギター・キーボードのストリートバンドが生演奏してるんですから、素手でですよ。中国の歌謡曲らしきものをえんえん演っていて、その演奏といったらもうヨ〜レヨレのベロンベロンなんですが、でもね、マイナス25度ですから。もし彼らが“常温”で演奏したら、塩谷哲くんもゲンナリうなだれてしまうほどの素晴らしいプレーヤーであるかもしれない、という可能性はないとは言い切れません。
10分もあるけばロシア帽の口のまわりは息でパリパリに凍り、リュックサックにいれてあるミネラルウォ−タ−もイイ感じのシャーベット状態、20分も歩けばチ−ンと頭が痛くなってきます。気がつきゃ低温でカメラの液晶が消え、写真も撮れない状態。タクシーもいるにはいるんですが、人口に対して台数が少ないのか、空車はほとんどつかまらず、行動範囲は激狭、ホテルを出て30分以内には歩いてホテルに帰って来れる距離が限界です。コレクションしている大学オフィシャルTシャツを買うために、ホテルでタクシーをチャーターして『ハルピン大学』まで行きましたが、Tシャツは存在しませんでした。いやぁ、それでもね、すべてが信じられないことだらけですから楽しかったです。もう1回行きたいですし、みなさんにもお勧めしますが、でもまぁ、中国マニアそれも寒いとこマニア向けですけどね。水餃子マニアにもたまらない街です。
もうワンランクソフトな寒いとこマニアの方には、北京・前海の「椅子ゾリ」がお勧めです。北京の『故宮』の東側には南海・中海・北海という湖というか大きな池があり、北海の更に北側には、前海・后海・西海が北西に向かって連なっています。2001年1月、たまたま通りかかって偶然見つけたのが前海(チェンハイ)の「椅子ゾリ」。簡素な鉄椅子の足がソリ状になっていて、60cmくらいの鉄棒をストックがわりに、一面ビッチリ凍った池の上をシュイシュイ滑ります。これが、めちゃくちゃおもしろくてねぇ。ちびっ子からお父さんまでみんなでシュイシュイ滑るわけです。そんな中をアイススケートをはいたナイスなペキンガイがシャーッなんてカッコよく滑りぬけたりして、池中央には串焼き屋台がもくもく煙を上げてたりして、ねぇ、楽しそうでしょう。私が海外で体験したアトラクションの中でも群を抜いてハッピーなものでした。これマジでお勧めです。2001年当時のレンタル料は2時間=5元(約70円)、借りる時に保証金としてプラス20元を預けますが、ソリを返す時に戻ってきます。2003年9月から、観光目的で15日以内の滞在ならビザが不要になり、以前よりは行きやすくなりましいたし、次の冬休みは中国、いいんじゃないでしょうか。
前海の椅子ゾリ
さて今回のコラム、予定どおりに落としどころがみつかりませんので、クイズでごまかします。
問題:冬期オリンピック開催中のイタリア・トリノは車の街としても有名です
が、そんなトリノが誇る自動車メーカー『FIAT』の社名は、何の略
でしょうか。次の3つから選び、豆知識として周囲にひけらかしなさい。
1.Fabbrica Italiana Automobili Torino
(ファッブリカ・イタリアーナ・アウトモ−ビリ・トリーノ)
2.Fattoria Indipendente Autorizzata da Torino
(ファットーリア・インディペンデンテ・アウトリッツァータ・ダ・トリーノ)
3.Fettuccine Intaccati Aldente Torinesi
(フェトゥッチーネ・インタッカーティ・アルデンテ・トリネーズィ)
※正解は、コラム「No.042」に掲載されています。
2006/02/17
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