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Friday Column

No.431

『大きな声でつぶやこう!』

いきなりですが、今週は広沢タダシくんのエッセイ集の紹介です。

広沢タダシくんは、10月9日(火)に渋谷のO-EASTで行われたNACK5 25th anniversary Special Live、結果的に【ジョンレノン・スーパークイズ 2013】ってことになったたいへんに楽しいライブイベントで、初めて一緒に演奏した、たいへんに素晴らしいアーティストです。

数週前にも書いたと思いますが、そのライブの“打ち合わせと称した飲み会”は9月28日(土)の夜、渋谷のオーチャードホールでの塩谷哲くんのコンサートを観た後に、佐藤竹善さん・藤田千章さん・馬場俊英くん・広沢タダシくん、そして私の5名で行われました。

オーチャードホールの席で広沢くんに合った時に、「初めまして」と言って握手をしましたが、それに対しての広沢くんの挨拶の中に「初めまして」という言葉が含まれていなかったことがコンサートの途中で気になり、その気がかりはだんだんと大きくなりましたが、これではせっかくの素晴らしい演奏を聴くことに集中できないではないかと思い、とりあえず、あとでちゃんと聞いてみよう、ということにしました。

飲み会の席について高級シャンパーニュを注文した後、さっそく「オレ、初めてだよねぇ」と広沢くんに確認すると、「いえ、細かく言うと3回目です。1回目は大阪のヒロTさんのイベントで・・・」と、とにかく3回目ということでしたので、「ごめんねぇ〜」と言うと、すかさず馬場くんが「いやぁ、イベントは一度に多くの人に会いますからねぇ、覚えてないこともありますよねぇ」となぜか私を柔らかくフォローしてくれました。

広沢くんが「今マネージャーにCD持って来てもらいます」と言うので、「いいよ、今度のリハの時で」と言いましたが、マネージャーさんはたまたまこのお店のすぐ近くに住んでいるということで、ほんとにすぐやってきてくれたので、一緒にお酒を飲みました。そこで広沢くんのアルバム1枚と、エッセイ集【大きな声でつぶやこう!】全3巻をいただきました。

「へぇ〜、エッセイも出してるんだ」と言うと、「こいつ、おもしろいんですよぉ〜」と佐藤竹善さんがなぜか自慢げに言いました。

人生の中に“読書”という文字がないと言っても過言の滝でも華厳の滝でもない私ですが、せっかく3冊もいただいたので、がんばって読んでみることにしました。

するとこれが、たいへんにおもしろい。ひとつひとつが短いのでとても読みやすく、小学生時代の【イソップ物語】を除いて本というものを完読したことがないに等しい、“読む”という能力が非常に乏しい私にしては、異例の速度で、ほんの半月でもうすでに3冊のうち1冊目の半分くらいまで読んでしまいましたよ。


広沢タダシ/大きな声でつぶやこう!

今回この文章は、あくまで広沢くんのエッセイ集の宣伝という好意のもとに書いていますから、敢えて言いますが、私が楽しく読み進むことができているのは、なんというんですかね、まず、“とってもくだらない”ということ。

「死ぬまでの暇をいかに楽しく潰せるか」を人生のテーマとして、ふざけつづけて生きている私には、この“くだらなさ”はたまらなく共感できるのです。

そして、もうひとつ共感できる、というか私と共通するのは、基本的に“気が小さい”ことにあるように思えます。いや、“気が小さい”と言うとやや聞こえが悪いかもしれません。少し良さげな言い方をすると“気が細かい”、つまり“繊細”ということなんですが、いや、でも違うな。やっぱり“気が小さい”のほうがしっくり来ますし、“気が小っちゃい”と書いたほうが少しは可愛げがあるかもしれません。

とにかく、“気が小っちゃい”からこそ、普通の人ならなんら気に留めることなどないであろう小っちゃ〜いことを、ああでもないこうでもないとちくちくちくちくコネクリまわし、また、気が小っちゃいからこそ、ほんの小さな語をキッカケにいきなり劇的に飛躍した理論を展開したりもする。それはそう、“ヘリクツの極致”なのです。

この感じ、過去にも読んだことがあるなぁ、と思い起こせば、それは、かなり昔にファンの方からいただいた原田宗典さんのエッセイ集かもしれません。小っちゃいヘリクツ満載の短くくだらないそれは、本を読めない私にもたいへんにおもしろく、かなり読み進んだところで飛行機のシートポケットに置き忘れてきたんだと思います。そう言えば、その前か後かに読みかけた泉麻人さんのコラム集も同じように飛行機のシートポケットに置き忘れたのでしょう。

そう、この感じなんですよ。私が置き忘れていたのは。

2005年5月のオフィシャルサイト開設からこれまでの8年と5ヶ月、430回も書いて来たこの『金曜コラム』も、元々はこの感じだったんだよなぁ。去年後半の更新不調以降、とにかく毎週書けばいい、ということに終始し、私の得意技であるべきな“ヘリクツこねまわしの術”を忘れていたではないか、ということを思い出させてくれてありがとう広沢くん。これからはこの【大きな声でつぶやこう!】に影響を受けながら、“ヘリクツこねまわしの術”をときどき乱発してみたいと思います。

と、これだけ書けば、皆さん、なにしろその本を手にとって読んでみようとお思いのことでしょう。

いやしかし、私がいくらおもしろいと書いたところで、それを読んだ皆さんが私と同じようにおもしろいと感じるかどうかは、また別の次元の問題です。

だいたいシンガーソングライターなんてのは、いわゆる通常観念的なものは持ち合わせてないことのほうが通常で、かなり変わった感性の持ち主であるからこそ独自の世界を創作できるわけで、それを簡潔に表現するとすれば“変態”なのです。そう、シンガーソングライターなんてのはだいたい変態ですから、広沢くんも変態です。

待てよ、まだリハを1日やって本番を1回やって、その前後に2回お酒を飲んだだけの浅いつきあいで、しかも、飲んだっつたって広沢くん自身はお酒飲んでないですし、だいたいその前に3度も挨拶を交わしておきながら記憶してなかったような私が、いくらエッセイ集を宣伝しているとは言え、広沢くんを“気が小っちゃい変態”と決めつけるのはどうでしょう。いやでも、たぶん、きっとそうだということにします。でなきゃ、この先のつじつまが合わなくなっていくからです。

ま、とにかく、そんな変態な広沢くんのエッセイを、そういう意味ではきっとずっと上級な変態の私がいくらおもしろいと感じて皆さんに薦めたところで、それを同じようにおもしろいと感じる変態さんがどのくらいいるかと思うと急に心配になります。多くの人に共通する意識・趣味・思考からは理解しにくいとこにいる少数派だからこそ、私たちは“変態”という名誉ある称号を与えられるわけですから、そんな感性の人たちが世の中にたくさんいるとしたらそれこそもっともっと心配です。

ということは、私がおもしろいと感じ推薦する広沢くんのエッセイ集【大きな声でつぶやこう!】をおもしろいと感じる人は、すご〜く少ないということが容易に予測できます。つまりは、「KANさんが金コラでおもしろいって書いてたから買って読んでみたら、別におもしろくもなんともなかったわよ」とガッカリしてしまう方が多くいるであろう可能性のほうがそうとう大きいであろう、ということです。

だとすると、そんなガッカリ感によるデメリットをまともに食らてしまうのは著者である広沢くんなのか、いや、推薦人の私かもしれません。だとしたら、私は広沢くんを推薦することにより私自身の信頼を失うことになる危険性を孕みながら、これを書いているのです。そんなリスクをしょってまで広沢くんのエッセイ集を推薦する必要が今の私にあるのでしょうか。「出す出すといったまま一向に出る気配すら感じさせないニューアルバムの楽曲作りはどうなってるんだ?」「本当はやる気がないんじゃないのか?」「ってゆうか、ただの嘘つきなんだよ」などという、シンガーソングライターとして以前に、人としての股間に関わる疑念を、大切なファンの皆さんに芽生えさせてしまうという最悪の状態に陥るのではないか。それでも私はこのエッセイ集を薦めるのか。

あ、そうだ!

エッセイよりも、アルバムだ。広沢くんのアルバムを皆さんに薦めれば良いのだ。

シンガーソングライターがシンガーソングライターの作品を他者に薦める時に、それがアルバムではなくエッセイ集であること自体がおかしいのだ、だいたいからして。

というわけで、ドン!


広沢タダシ/jamais vu

私がいいただいたのは2011年のアルバム、『ジャメヴ』と読みます。【jamais】とはフランス語で「決して〜〜でない」という意味の、英語でいうと【never】的な単語です。ですから、皆さんよく御存知の【déjè vu/デジャヴュ】=「すでに見た」の反対で、「決して見たことがない」という解釈でしょうか。コレ、良いですよ、とっても。あたりまえかもしれませんが、詞・曲ともに独特の世界観があり、なんたって声が良いですし、5曲目では不思議な弦楽器の音が聴けますし、6曲目でやっと初めてドラムが入ってくるのも、新鮮ですごくうれしい。佐藤竹善さんに「広沢くんのアルバムいいねぇ」と話したら「ね、よかったでしょう」となぜか自慢げに言ってました。よろしければ是非お聴きください。

いや、待てよ。いくら私がこのアルバムを良いと皆さんに薦めたところで、私が変態であることになんら変わりはないわけですから、さっき書いたのとまったく同じリスクをしょうことが懸念されるってことですよね。

じゃぁ、どうすりゃいいんだよ。

私は音楽家になりたくて地道な音楽活動の末、幸運にも音楽家という職業に就いて26年半もやらせていただいていますが、そんな私でも、決して変態になりたくて地道な変態活動の末、幸運にも変態という称号を与えられたのではありません。自身の感性を信じて表現することを繰り返してきた結果、気づけばそれは多くの人とはかなり違った感性であったが故に変態だったのです。ですから私が変態であることは、私が音楽家であるのと同様に今更どうしようもないことなのです。

だからもう考えるのはやめにして、私は正々堂々と広沢タダシくんのエッセイ集とアルバムを皆さんにお薦めします。そして、この『金曜コラム』をお読みの方々が、意外と変態ばっかりだったんだ、ということを心から願うのです。

そして、この【大きな声でつぶやこう!】全3巻は1冊たりとも決して飛行機のシートポケットになんか置き忘れないからね、と心に誓うのです。

2013/10/25

広沢タダシ Official Web Site http://www.hirosawatadashi.com



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