【6×9=53】自主全曲解説

01. Listen to the Music ~Deco☆Version~
  *作曲2008〜11年/作詞2011年
たまたまラジオで聴いたかっこいい外国の曲、そっち方面に詳しそうな友人の話だけを頼りに収録内容も確認できぬまま買ったレコードを、何十回も繰り返し聴き込んでいた私たちの若い時代とは、音楽の価値観がすっかり変わってしまった昨今の現状を嘆く筋合いもなく、音楽家としての変わらぬ意志を描き2011年に発表した楽曲を、ストリングスやグロッケンで可愛くデコってみたDeco☆Version。最後は既存のサックスソロにストリングスがしつこくビッタリ張り付くという、ちょっと乱暴なこともやってみました。

02. 胸の谷間
  with TRICERATOPS  Chorus:菅原龍平
  *作曲2008〜13年/作詞2012〜15年
全時代全男性共通のドリームを歌った、ややプログレッシブなロックナンバーで、念願だったTRICERATOPSの3人とのコラボレーションがやっと実現しました。この演奏で初めてトレモロアームを使用したという和田唱くんと、菅原龍平くんのコーラス・コンビネイションもパーフェクト。多くの男性に間違いなく共感を得るであろう歌詞は、それよりもっと多くの女性を敵に回す危険性を孕んでいます。

03. ポカポカの日曜日がいちばん寂しい
  Duet with 佐藤竹善 (Sing Like Talking)
  *作曲2013〜15年/作詞2015年
高桑英世さんのフルートがなんとも切ない、煮詰まる中年男性のフォークソング。根本要さんから譲り受けた高級アコースティックギターで作曲し始め、Simon & Garfunkel方向になってきたところで自然と佐藤竹善さんの顔が浮かび、そこからは竹善さんと二人で全編をハモるイメージで作り進んだ結果、どちらかというとJoel-McCartneyテイストに仕上がりました。ギターは石成正人くんがアコースティック3本とエレキ1本をダビングしてくれました。

04. 安息
  作詞:桜井和寿 (Mr.Children)
  *作曲2013〜14年/作詞2015年
作曲後1年くらい歌詞の糸口さえも見えぬまま、それでもかなり納得度の高い楽曲だったので、【弾き語りばったり #19】のツアー前半では歌詞のないまま「ラララ〜」で歌唱してみました。年が明けても依然、糸口が掴めぬままのある冬の日、「桜井さんだったらイイの書くんだろうなぁ」と思い立ち、やんわりと作詞を依頼してみたところ快諾をいただき、とても短い期間で素晴らしい歌詞をいただきました。大きな会場で演奏したい王道バラードです。

05. どんくさいほどコンサバ
  EGt:根本要 (Stardust☆Revue)  EPf&APf:塩谷哲
  Chorus:佐藤竹善 (Sing Like Talking)
  *作曲2010〜14年/作詞2014〜15年
Donald Fagen作品を強く意識したほんのりジャズィーなAORナンバー。スタイリッシュなピアノプレイは生・Rhodesともに塩谷哲くん。根本要さんにはギタリストとして参加していただきました。佐藤竹善さんのコーラスがAOR感を増強させてくれます。歌詞は、私の理想的女性感を率直に書いたものです。

06. scene
  Drums:吉田佳史 (TRICERATOPS)
  *作曲2012年/作詞2012年
三幸製菓さんのCMソングのお話をいただき、まずサビ30秒から作り、私としてはめずらしく着想から数ヶ月間で完成・録音した楽曲。Mr.Childrenの2000年代のシングル曲のいくつかを私なりに構造分析・再構築したメロディに、スキマスイッチの代表作の歌詞世界を意識しながら作り進む段階での仮タイトルは『全力箒星』。青空が見えるポップロックが出来ました。

07. ブログ! ブログ! ブログ!
  *作曲2011〜15年/作詞2012〜15年
今、最も尊敬する音楽家のひとりである中田ヤスタカ氏の作品に強い影響を受けた『REGIKOSTAR 〜レジ子スターの刺激〜』(前アルバム収録)に続くガーリッシュ・テクノポップ第2弾。すべての音をコンピューターとシンセサイザーによる“打ち込み”で構築しています。ほぼ100%事実に基づいて書いた歌詞は、結果、このアルバムで最も哀しみ深いものとなりました。曲を通して鳴っていた6小節パターンのチャイム音が最後に微妙にテンポを落としながら、次なるディスコナンバーへと繋がります。

08. 桜ナイトフィーバー ~Album Version~
  Special Guest Guitar Solo:和田唱 (TRICERATOPS)
  *作曲2014年/作詞2014年
複数のシンセサイザー音を座標的アレンジで組み立てたベーシックオケに、流麗なストリングスが心地よいスピード感を醸し出します。和田唱くんのかっちょいいギターソロは、シングル盤では唱くんが作ったフレーズを、このAlbum Versionでは、私のイメージをリクエストして弾いてもらったフレーズをお楽しみいただけます。一年中立ち続ける桜の木を、花が咲いた時だけよってたかってライトアップしてドンチャン騒ぎ。どころか、本来“日本人の心”であるはずの「桜」が、今や街の期間限定企画商品のネタになっている。そんな現代に於けるなんとも軽薄な“桜フィーバー”に問題提起。植物としての桜側からの気持ちを描くという独自のアプローチで制作された“社会派ディスコ”です。

09. 寝てる間のLove Song
  *作曲2015年/作詞2015年
アルバム制作後半、バランス的にやはりしっとりとした弾き語り曲が必要だと考え、Stevie Wonderさんの70年代のバラードを意識して、極めて短い期間で作詞作曲したシンプルなラブソング。

10. ロックンロールに絆されて
  Duet with 馬場俊英
  *作曲2014〜2015年/作詞2014〜2015年
Billy Joelさんが40歳の時に発表した『We Didn’t Start The Fire』的に自分の人生を歌ってみようと思いながら作り進む途中、曲調がなぜかBruce Springsteen寄りになってきた頃に自然と馬場俊英くんの顔が浮かびました。音楽を職業としていれることの誇りと感謝の気持ちを綴った歌詞は馬場くんとの共作。精神的にはこのアルバムのタイトル曲です。

<DVD>

Recording Documentary【6×9=53が成り立つまで】
2012年に録音済みの『scene』以外の全曲のレコーディング風景はもちろん、スタジオ以前のアレンジ段階の映像なども折り込みながら、できるだけわかりやすく構成した、全62分のドキュメンタリー映像。

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