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Friday Column

No.223

『Digital Performer 5.0』

お盆休みは終わった感じですが、8月17日(月)札幌行きの飛行機はまだまだ夏休みの家族連れで満席でした。私の隣に座った小学生のお子さん連れの4人家族の若いお母さんが、札幌に到着した時、「あのぉ、KANさんですよね。一緒に写真撮ってもらっていいですか?」と言うので、「はい」と答えて、前の席にいた御主人が撮りました。その隣にいた小学生低学年と思われる男の子はお母さんに「なんで?」と聞き、お母さんが「お歌うたう人よ、ピアノも上手なんだよ」というと、男の子は「ぜったいウソだね。オレは信じないよ」と小声で言いました。なかなか芯のある子です。

と、そんな札幌でいつもの『ロックボンソワ』を収録した後、TRICERATOPSのライブを観せていただきました。札幌 Cube Garden、【Wild Summer Tour 2009】の初日です。去年5月のイベント【LuckyRaccoonNight vol,2】でその演奏を観ていきなりファンになり、ライブは去年の11月以来9ヶ月ぶり3度目でしたが、いやぁぁぁ、今回もカッコヨカッタです。みんな上手い、カッチョイイ、イェイ!。月末まで続く全国ツアー、皆さん是非観に行ってください。ライブが終わったその足でAIR-G’(FM北海道)に直行して、ヨースケ@HOMEくんの番組『SMILEY MONDAY』のゲスト収録で、あることないことしゃべりたおしてきました。週明けの24日(月)20:00からOAされますので、北海道の皆さんは是非聴いてください。その後はヨースケくんのスタッフの皆さんとススキノに繰り出してブリ飲み。ハッと気がついたらもう4時でした。飲み始めが23時でしたからね。仕方がないのでしつこくスープカリーラーメン食べて帰りました。


午前4時のスープカリーラーメン、それも大辛

さ、そんな中、曲づくりは続きます。今週は、デモ音源制作時に使うシーケンスソフト【Digital Performer 5.0】について書きます。これは先週の【RX-11】とは違い比較的最近、渡仏前の2002年始めに購入したソフトです。この後の文中では【DP5】と略して表記しますので、キョトンをしないでください。さぁ、難しいっすよぉ。

まずは、そもそも「シーケンス/sequence」って何?、ってところからです。
辞書で調べてみると「連続、続発、連鎖」とありました。え?、そういう意味だったんすか。あ、そうすか。なんかイメージと違ったなぁ。まぁ、いいや。とにかくですね、シンセサイザーやドラムマシーンなどで演奏データを打ち込んで、そのデータで演奏させるんですよ。わかんないでしょう。うぅぅんとねぇ、なんってゆうのかなぁ、難しいなぁ。それ関係の知識をお持ちでない方にこれをキチッと説明するってのは、難しいですね。ま、とにかくどういうことをやっているかというのを、順を追って説明するうちになんとなくおわかりいただけるような気がするので説明をはじめます。

まず、頭の中に曲の完成型のイメージがあります。これがなきゃ作業は始められません。曲のイメージがどの程度具体的かってのはアーティストによって様々だと思いますが、私の場合は、その曲に必要な楽器は頭の中の段階でほぼ決定されています。そのほとんどの場合にドラムが入っていますので、まずドラムの演奏データを作成します。

さまざまな音が入っている音源モジュールってのがあって、私の場合、自宅デモ録音の時には【Roland SC-8850】というのを使っていますが、この中にドラムの音色も10数セットありまして、そのドラムの個々の音がシンセサイザーの鍵盤にアサインされていて・・・、うぅぅん、モジュールとかアサインとか、説明が必要な単語が出てきていますが、「モジュール/module」ってのは鍵盤がついてなくて音だけ入ってる箱だと思ってください。「アサイン/assign」とは、平たく言うと例えば「ド」の鍵盤には「バスドラム」、「ミ」の鍵盤には「スネア」とか、「ソ」は「シンバル」とか、そのように音色が鍵盤別に割り当てられていることがアサインされてるってことです。なので、例えばバスドラとスネアで「ダッタンドドタン」というリズムを打とうとするなら、「ド・ミ・ドド・ミ」と鍵盤を押してデータを入力するわけです。だから鍵盤を使って【DP5】にドラムのデータを打つのはかなり地道な作業が長く続きます。鍵盤でドラムを叩く“手ドラム”がめちゃくちゃ上手い人とか時々いますけど、私はあれは苦手ですね。そこで私は先週お話した【YAMAHA RX-11】を使ってリズムを打つのです。なんせ25年使ってますから、このほうが打ち込みが断然速いからです。

ここから先は、2006年のアルバム『遥かなるまわり道の向こうで』の収録曲で、バイオリン以外のほとんどを打ち込みで作っている「彼女はきっとまた」のイントロ部分のデータ画面を見ながら説明していきます。



これは、イントロ部分にどんなデータが入っているかを確認する「Track」画面。作業中は常に開いておく進行上最も基本的な画面です。小さすぎて見えないと思いますが、上から「Click/Drums/Claps/Perc808/Suzu/Bass/Piano/LogDrum/MuteGt/CleanGt/ SlowStr/Poltsynthe/L.Voice/H.Voice/Harp/Organ」がイントロ部分に入っている音色です。

ドラムのデータを具体的に見るには「MIDI」という画面を開きます。例えば1小節目は、ハイハットが「チチチチチチチチ」と8分音符を刻み、バスドラとスネアは「ドッタドドッタ」というパターンで、1拍目の頭にシンバルが1発入っています。この後、パーカッション類を鍵盤で打ち込んで行きます。



次はベースです。シンセサイザーでベースの音色を選び、先に打ち込んだドラムを鳴らしながら、鍵盤でベースのデータを打ち込みます。これはけっこう好きです。ポール・マッカートニーさんを聴いて大きくなった私は、ベースラインもメロディアスでなければなりません。しかし、このあたりでまず一度不安に苛まれます。というのは、曲の完成イメージは頭の中にあるものの、この段階で実際に鳴っている音はドラムとベースだけですから、「この曲、ホントにいい曲になんのかなぁ」と苛まれるのです。しかし、ここは「だいじょぶ、オレは結構イイ曲書いている」と信じて思い込んで乗り切るのです。下の画面がベースの演奏データです。音の強さの違いが色の濃淡で表示されます。



こうして見てみると意外と簡単そうでしょう。しかし私には、リズムがいつも前ノメリという弱点があります。そんな私のための便利な機能が「クォンタイズ/quantize」です。この機能で微妙にズレてるリズムを正確なタイミングに修正します。部分的に少しずつデータを作り、その都度クォンタイズして、ちょっと間違ったり、隣の鍵盤を触っちゃったりした場合は、【DP5】の「MIDI」画面上で消したり足したり、音符のイチを移動したり。それだけでなく、音符の強さや長さも、画面上で修正できます。という感じでベースのデータが出来上がりました。



上はピアノの演奏データ。これも基本的にはベースと同じ方法ですが、ピアノの場合はペダルがあるのでちょっとややこしいです。音をのばしたり切ったりするサスティーンペダルを踏んだり放したりするのも、すべて時間と数字でデータとして記録されます。なので、例えばAメロまではOKなので、Bメロから続きのデータを作ろう、と思っても、Aメロの最後のペダルを放した時のデータがBメロの小節の頭にかぶってたりすることがあります。このあたりを丁寧にやっておかないと、踏んでないはずのペダルがデータ上ではまだ踏みっぱなしになっていたり、なんてことが起こり、意に反して音が濁って困ったりする場合があります。この状態を“心外ソングライター”と呼びます。こういう場合は、入力した音の音程・タイミング・長さ・強さの他に、ペダルをどのように踏んでどのように放したかのすべての情報が数字で表示される「Event List」という画面を開きます。



はい、どうですか、かなりイヤな雰囲気になってきましたね。なんとなくノリで弾いたピアノがすべて数字という情報で表示されるんですから、正直言って吐き気がします。この画面を見ながら、ペダルを放すタイミングを数字で細かく調整したりします。「そんなややこしいことやってるうちに、もう一回弾けばいいじゃん」という考えもなきにしもアラブですが、ピアノってのは、鍵盤を弾くタイミングとペダルを踏んだり放したりするタイミングが常にずれているもんですから、途中からやり直そうとすると、どうやってもペダル濁り問題が発生してしまうからしょうがないのです。それに私は残念ながら最初っから最後まで全編完璧に弾き通せるほどステキなプレーヤーではないのです。

この後、イントロを構成する数種の音色が重なりあわないようにMIDI画面で確認しながらフレーズを作り、それぞれの演奏データを作りたしていきます。下の図はイントロ部のシンセ類4音色とオルガンの演奏データを表示したMIDI画面。見てるとなんだかカラダのアチコチがかゆくなってきますね。



デモ音源は仮の簡易モジュールで録音しますが、本レコーディングでは、マニュピレーターさんに高級シンセで音を作ってもらって、このデータを使って録音します。ちなみに間奏のバイオリンとBメロのアコースティックギターのみ生演奏で、イントロ・サビパターンのエレキギター音は、2拍のフレーズを3種類弾いてもらってサンプリングした音源を、シーケンサーで走らせて録音しました。もう、なんだかカラダ中がむずかゆくなってきたので、このくらいにしときましょう。

以上のようなことを想像しながらアルバム『遥かなるまわり道の向こうで』の「彼女はきっとまた」を改めて聴いてきただくと、また少し違った楽しみ方ができるでしょう。そんなアルバム持ってねぇよ、というちょっぴり残念な方は、どういう行動をとれば良いのか御自身でよく考えてください。

今回の【Digital Performer 5.0】の説明はあくまでおおまかなもので、具体的にはもっと細かい作業がいちいち絡んでいるんですが、そんなこと書いてる間に、今作ってる曲のフレーズをもっと煮詰めたほうがいいんじゃないかと思うので、今週はこのへんでお開き。とても優れたソフトなので、これさえありゃ何だって作れんじゃんと、と思ったら大間違いです。曲の完成型のイメージが、個々のフレーズが脳の中にしっかり出来上がってないことには、【Digital Performer 5.0】なんて、実体のない文明の進化の空虚な産物でしかないのです。はっはっはっはっは。なんで笑ってるのかはわかりませんが、そうなのです。

この原稿を書いてる間に【Digital Performer 6.0】が出てることに気づきましたが、アップグレードに35,700円かかるっつうから躊躇します。こういうのにJALマイレージバンクのアップグレードクーポン使えるといいんですけどね。だって、【5.0】だってその機能のほんの一部を使ってるだけですから、とりあえずこのままでいいか。という感じで、今作ってるやつの続きやります。だいじょぶです、集中すればうまくいきます。浮いた35,700円でシャンパン7本は買えます。しかし、そうやっていくらデモ音源を録ったところで、問題は歌詞だということに異変はなんら起きません。あぁぁ、メロディにテーマのキーワードを入力して“KAN風”と設定したら、ダーッと歌詞を書いてくれるようなソフト開発してほしいもんです。

はぁぁぁ、いろんなことがだんだんだんだんじりじりじりじり迫って来てます。誰か、たすけてぃ〜!

はい、では先週のクイズの答です。

私が発表した打ち込み楽曲の中に、この【YAMAHA RX-11】のリズムデータだけでなく、内蔵音源をあえてそのまま使ってレコーディングした曲が、1曲だけあります。その曲とは次のうちどれでしょうか。

1.車は走る
2.おしえておくれ
3.東京熱帯SQUEEZE
4.SAY YES

という問題でした。

正解は3.「東京熱帯SQUEEZE」です。
ちなみに、1はデータ作成・録音ともに高橋諭一さんとの作業で、2はデータは【RX-11】で作りましたが、音はマニピュレーターさんによるものです。4は名曲です。

2009/08/21



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