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Friday Column

No.012

『ノスタルジストの大予言』

あぁぁ〜忙しい忙しい。有料サイト『北青山イメージ再開発』8月20日開設に向けての各コンテンツ内容濃化、新コンテンツ作成のための原稿執筆、写真選びその他の膨大な作業に追われる中、このコラムを書いています。いやぁ、でも先々々週、お休みとってベトナム行っといてよかったですよ、ホント。だって、何週間も前から早め早めにバッチリ準備整えるタイプじゃないですからね、昔っから私の場合。ツアー終わって休みもとらずに原稿書き続けていたところで、結局は今ごろ同じ状況にはまり込んでたと思いますし、これで休みとってなかったら「この作業に何の意味があるって言うんだ、こんなもん誰も読んじゃいねぇよ、ってゆうかオレってだいたいなんなんだぁ〜」みたいな変な発想になりがちですからね。あぁ〜よかった休んどいて、だいたい意味なんてないんですしね、人生なんて最初っから最後まで。「ってゆうかKANさん、そろそろ曲書いたらどうなんですか」と言いたげなあなた、そうです、その通り、You Are Right で Yes, I Do。でもね、このサイトってものもひとつの作品と解釈すると、その制作も堂々胸を張れるアーティスト活動のひとつだと思えてならないのですよ、私にとっては。言ってるほど意味はありませんけどね。

という感じで意味もなく言い訳がましく文字を消費したところで、なんとなく先週からの流れで“麺”の話です。

さぁ、何度も言っているように結構長〜く続いているこの空前のラーメンブーム。そんなラーメンブームも東京ではもう、なんかヤな感じが漂いまくってます。そう、先週もちらっとふれました、真の作り手がそこに存在しない“プロデュース系”のラーメン店。ウケる味をウケるスタイルで。壁にはなぐり書き風書体のふぞろい文字でメニューの他に麺やスープへのこだわりが書かれ、どの店もな〜んかみんな同じ雰囲気。従業員の接客法もマニュアル化され、「いらっしゃいませ、こんにちは〜、お先に食券をお求め下さいませ〜。お席はこちらになっております、どうぞ〜。太麺細麺の2種類御用意しておりますが、どちらになさいますかぁ〜? 麺の硬さはいかがいたしますかぁ〜? 只今のお時間、小ライスが無料サービスとなっておりますがお付けしてよろしいでしょうかぁ〜? 少々お待ち下さいませぇ〜。ハイッ、細麺普通でいただきました〜! ありがとうございますぅ〜!」。そんな一連の流れに勢いよく流されるがままのこちらは「はぁ、はい、細・・、ふつうで、いやいいです」と挟み込むのが精一杯といったスピーディーな圧迫感。

このタイプのプロデュース系ラーメン店の接客、その空気って、なんだかもうコンビニエンスストアともマクドナルドとも区別つかない感じです。これをすご〜く極端に例えるならば、はとバスのガイドさんも、JALのスチュワーデスさんも、東京無線のタクシーの運転手さんもみんな全員同じ口調で同じ笑顔で接客するようになっちゃって、どれに乗っても到着地は同じ、ってくらいの恐るべき違和感です。こういうお店でラーメン食べてるときまって後半にだんだん虚しくなってくるんですよ。でもね、これも時代の流れといってしまえばそれまでですし、人がそれを進化と呼ぶのであれば、故き良きを求める私などは進化の止まったただのノスタルジストです。

しかしまぁ、私クラスの“ラーメン刑事(デカ)”になると、だいたい店に入る直前の雰囲気で“プロデュース系”を嗅ぎ分けられるんで、最近はそれほど虚しい思いはしなくなったんですが。とはいいながらこないだはちょっと失敗しました。渋谷区のよく通っていた道に新しいお店ができてたんで「よっしゃぁ」と入ってみて、カウンターに座ってはじめて「やべぇ、プロデュース系か?」と思ったんですが、座る直前にはすでにその位置にお水と紙おしぼりが出てたんで引き返すわけにもいかずラーメンを注文。カウンターにぐるりと囲まれた調理台で若い男女の従業員が楽しそうに私語をしながら作ったラーメンがでてきました。予想通りにひとくち目からガツンとインパクトがあって後はしょっぱいだけのラーメン。明らかに私のミス。まぁ、しょうがねえか、これもひとつのエクスピアレンスと食べきりました。が問題はそのあと。次に入ってきたお客さんのラーメンを作っている女性従業員は、麺を茹でてる最中にかかってきた電話をとり、首を傾けて左肩と左耳で子機を挟んで電話をかけてきた相手と楽しそうに会話しながら、その状態のままシャッシャッと得意げに麺をあげ、ネギやチャーシューを盛り付けました。

私は見ました、この空前のラーメンブームの終わりをそこに見ました。えぇ、ラーメンブームはすでに終わっています。きっと淘汰されるべきは自然に淘汰され、この先は本当に求められるいい店だけが残って行きます。これはノスタルジストの大予言でもなんでもありません。大都会の中の自然の法則です。あぁ、よかった、なんだか勝手に背負っていた肩の荷がおりた、そんな不思議な開放感です。

で、話はやっとここから私の言いたいことの本質へ進んで行くわけですが、お時間の関係でこの続きは次週に持ち越させていただきます。その間に“プロデュース系”のラーメン、話のタネに1杯くらい食べておいてはいかがですか。今のうちだと思いますよ。

※「プロデュース系」とは私のイメージによる感覚的造語であり、その解釈は個人によって差異があります。
2005/08/05


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